「こちらあみ子」ほのぼの映画かと思ったら、発達障害についてとても考えさせられる内容でした。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「こちらあみ子」を観てきました。

 

ストーリーは、

広島で暮らす小学5年生のあみ子。少し風変わりな彼女は、家族を優しく見守る父と、書道教室の先生でお腹に赤ちゃんがいる母、一緒に登下校してくれる兄、憧れの存在である同級生の男の子のり君ら、多くの人たちに囲まれて元気に過ごしていた。そんな彼女のあまりにも純粋で素直な行動は、周囲の人たちを否応なく変えていく。

というお話です。

 

 

あみ子はちょっと風変わりな女の子。優しいお父さん、いっしょに遊んでくれるお兄ちゃん、書道教室の先生でお腹には赤ちゃんがいるお母さん、憧れの同級生のり君、たくさんの人に見守られながら元気いっぱいに過ごしていた。

今の母親はあみ子がまだ小さい頃、父親と再婚した人だった。母親の顎のほくろばかりが気になっているあみ子だが、ちゃんとお母さんと自覚していた。



 

誕生日にもらったトランシーバーに話しかけるあみ子。「応答せよ、応答せよ。こちらあみ子」。そんなある日、母親が破水して病院に運ばれる。赤ちゃんは死産だったらしい。子供が何処に行ったか解らず、こだわるあみ子によって、母親は苦しんで精神的に参ってしまう。

あみ子は、素直に思ったままをぶつけているのだが、そのあまりに純粋無垢な行動は、周囲の人たちを否応なく変えていくことになる。兄は不良となり、家や学校に寄り付かなくなり、父親は母親の介護疲れも重なって、あみ子の面倒も見れなくなっていく。



 

ひとり、周りから取り残されるあみ子は、おばけと行進したり、トランシーバーで答えない誰かと話しをしたり、寂しさを抱えながらも真っ直ぐに生きていく。後は、映画を観てくださいね。

 

この映画、雰囲気的には、ほのぼのした家族のハートフルコメディっぽく見えていたのですが、内容は結構ハードな感じに思えました。主人公のあみ子は発達障害を持っていて、最初の頃は、周りはそれほど気にしていないのですが、彼女は人の気持ちや行動の意味が全く理解出来ないので、無意識のうちに、相手を深く傷つけているんです。家族は我慢しているのですが、ある出来事があって、一気に崩れていきます。

 

 

発達障害って、最近は研究も進んで、この性質は発達障害だと解るようになってきたと思いますが、昔は変わった子で終っていて、周りの人間が苦労をする事が多かったと思います。映画の中でも、あみ子に振り回されていく家族は、最初はそこら辺の普通の家族に見えるのに、あみ子の言葉によって、心を壊されて行くんです。でも、あみ子は、それが悪い事とは解らないので、本当に始末に負えないです。これは、本当に問題で、やっぱり誰かが診断を下して、こういう性質の子供だからという事を周りに認知させる必要があると思いました。

 

以前も他の作品で書きましたが、養老孟司先生の「子供が心配」という本があるのですが、人間には3つの機能が必要で、「認知能力」「共感する力」「自分の頭で考える力」が重要だと書かれています。発達障害だと、この3つの機能が低いので、その部分を教育する必要があるということが書いてあります。発達障害は、何度も訓練を重ねる事で、ある程度、3つの力を認識出来るようになります。なので、早めに診断をして、特別な教育をするべきなんです。

 

 

この映画では、あみ子は診断も受けておらず、親は普通の子として育てているので、何度もしつこく聞いてきたり、人の言っている事を聞かなかったり、観ていて、これ、解っていて嫌がらせをしているんじゃないかと思うほど、酷い言葉を投げかけるんです。誰が考えても、相手が傷つくだろう言葉を平然と言うので、それを受けた側は崩れちゃいますよ。でも、どうして相手が傷ついているのか、あみ子には解らないんです。これ、本当に困った事だと思いました。何の悪気も無いんですから、対処のしようが無いです。

 

あみ子は成長して行くのですが、周りはどんどん変わっていくのに、あみ子だけ小学生の頃から変わらず、人の気持ちが解らないままで、どんどん孤立していきます。親もどうしてよいのか解らず、対処のしようが無いんです。本当に不幸だと思いました。でも、あみ子は、自分が周りを不幸にしているという自覚が無いんです。

 

 

差別と言われてしまうかもしれませんが、はっきり言って、本当に迷惑な存在だと思いました。誰も何もしなければ、あみ子も変わらず、もっと人を傷つけることになってしまう。今、この発達障害については、随分と教育の仕方が研究されて、訓練をすることにより、社会性も身に付けていく事が出来るんです。やっぱり、おかしいと思ったら、誰かに相談するべきだと思いました。これはダメでしょ。親の苦しみが伝わってきて、もう、観ているこちらも辛かったです。

 

ネタバレになるので、あまり内容は書けませんが、変化の起き始めは、あみ子が「禁じられた遊び」のような事にハマって、そこから変わって行ったように思います。この出来事があった時に、直ぐに父親が対処をしていれば、何か変わったかもしれないけど、そのまま放置では、酷くなっていく一方ですよ。優しかったお兄さんも消えて行ってしまうし、もし、あみ子が、人の気持ちを理解出来る人間だったなら、しあわせは長く続いていただろうにと思いました。

 

 

この映画、私は、超!お薦めしたいと思います。凄い映画なんだけど、難しい題材を扱っているので、とても感想が書きにくいです。簡単に発達障害と言ってしまいますが、とても難しい問題です。病気ではないし、かと言って、そのまま放置していたのでは、社会性が身に付かない。社会性が無いから問題を起こして、少年院に入ったりという子が沢山いるんです。現代になって、とても問題視されている事が題材となっているので、悩んでしまいました。映画を観る前に、養老孟司先生の「子供が心配」という本を読んでおいて良かったです。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「こちらあみ子」