「バズ・ライトイヤー」を観てきました。
ストーリーは、
バズ・ライトイヤーは有能なスペース・レンジャーだが、自分の力を過信したことで、1200人の乗組員とともに危険な惑星に不時着してしまう。相棒でもある猫型ロボットのソックとともに、全員を地球に帰還させるためのミッションに挑むバズは、個性豊かな新米のジュニアパトロールたちとの出会いを通して、自らの運命を大きく変えていく。
というお話です。
巨大な宇宙移民船が航行中、自動操縦システムのAIが居住可能な惑星を発見。調査のために着陸し、冷凍睡眠中のスペースレンジャーのバズを起こします。バズは上司で友人のアリーシャと共に、惑星の調査を始めると、その星に生息する狂暴な動く蔦や巨大昆虫に襲われ、何とか宇宙船に戻り、その星を脱出しようとしますが、バズがAIの忠告を無視して無理に飛び立とうとした為に、宇宙船は不時着してしまいます。その上、宇宙船の動力であるクリスタルも壊してしまいます。
彼らは惑星に借りの基地を作り、1年後にクリスタルの製造に成功します。バズは、そのクリスタルでテスト飛行を始めますが、彼には4分の飛行でも地上では4年の歳月が経っていました。それからバズは、何度もテスト飛行を重ね、地上の人々はバズを取り残して時を重ね、人生を過ごして行きました。
ある時、相棒だったアリーシャは亡くなり、その後任であるバーンサイドが総督となり、「地球への帰還計画を中止」することに決まったと話し、この惑星に定住することになったと言います。そう、テスト飛行を始めてから、地上では既に40年の歳月が過ぎていたんです。そして、バズには基地を守るレンジャーの長官として任務に就くよう命じます。
バズはアリーシャに約束した、”全員を地球に帰還させる。”事にこだわり、バーンサイドの話を聞かずに、猫型の友達ロボットのソックスと一緒に逃げ出します。そして、コッソリとクリスタルを生成し、宇宙船を盗んで、今度こそとテスト飛行に向かいます。今度は成功し、帰還すると、基地は応答がありません。そして、謎のロボットに襲われ、宇宙船を取られてしまいます。そんなバズを助けてくれたのはイジー。アリーシャの孫でした。そして旅立ってから既に22年の時が経っていたことを知ります。
イジーは、数週間前に「ザーグシップ」という謎の宇宙船が現れ、ロボットからの攻撃を受けたと話します。彼らの目的は解らないが、ロボットの攻撃は、ザーグシップを壊せば止まるはずなので、バズはイジーとその仲間の協力を得て、ザーグシップへの攻撃を始めようとするのですが・・・。後は、映画を観てくださいね。
このお話、SFで良く使われるウラシマ効果を使ったお話なんです。ウラシマ効果とは、アインシュタインの相対性理論でいう、光速に近い速度で動けば時間の経過は遅くなるというもので、簡単に言うと、速く動けば時間が経たないって事です。なので、動いているバズは年を取らず、地上の人々だけ何倍もの速度で年を取ってしまったんです。バズが4分移動している間に4年も経っているという描写は、失敗しても4年も経っていて、最終的に成功したら、4分で22年も経っていたということになっていたんです。
そんなウラシマ効果で、どんどん人々の時間から取り残されていくバズ。そんなバズの友達が、猫ロボットのソックス。ソックスはロボットなので、時間は関係ありません。でも、猫型ロボットなのに、あんまり可愛くないんです。日本人だと、猫型というとドラえもんを考えちゃうから、首を360℃回転させて”ピポピポ”いうのって、不気味に見えちゃうの。もう少し、可愛さが出せなかったのかな。
バズの時間と並行して見せるのが、アリーシャの一族の時間です。アリーシャは、バズの上司でとても有能なレンジャーで、バズの事を心配していました。テスト飛行も止めた方が良いと言っていたんです。でも、バズはいう事を聞かなかった。このバズ、はっきり言って、とても迷惑な男なんです。協調性が無く、人の話を聞かず、”俺が俺が”と言うタイプ。そういうタイプにありがちな、思っているより能力が低いという王道の人間でした。だからアイツになっちゃうんだろうけど、それはネタバレになるからね。
そんな訳で、もし、この移民船にバズというレンジャーが乗っていなければ、こんな大変な事件は起こらなかったのではないかと思ってしまうほど、自分勝手な主人公でしたが、まぁ、最後には改心するから良いのかな。でも、私は嫌いなタイプの主人公だったなぁ。
よく、”失敗は成功の基”と言うけど、それでも、その失敗だけはダメでしょっていう失敗ってあるのよね。挽回出来る失敗なら良いけど、また最初からやり直しとなると、時間も資金も倍掛かるでしょ。それに犠牲者が出てしまっては最悪です。そんな失敗をしているのが、このバズとイジーの仲間だと思うのよ。こんなに失敗して、謝りもせずに誤魔化そうとする姿は、あまり子供には見せたくないと思いました。子供向けアニメだから、時間稼ぎの為に失敗させていたんだと思うけど、間違ったことをしたら、キチンと謝るという事を教えないと、今の政治家のように誤魔化すばかりになってしまいます。
SF的には、よく考えていたと思うし、1人のバズという主人公が見た、周りの人の人生というものが、良く描かれていたと思いました。その中で、アリーシャが同性愛なんだけど、それが問題で、公開中止になったり、その部分を削る話が出たりしたといっていたけど、全く違和感はありませんでした。私の目には、通常の生活のように見えていたので、あそこが問題になったところだと、後から思い出した程です。宗教的に受け入れられないとか、時代錯誤だと思うけど、その宗教にしがみつかなければ生きられない人々もいるのだろうから仕方ないことなのでしょう。
全体的なお話は、しつこいくらい失敗して、繰り返すので、結構、途中で飽きてきた感がありました。行き当たりばったりで着陸した星で暮らし始め、危険な植物や昆虫がいるけど、そこでの生活を選んだという部分は、人生ってそんなもんなんじゃないのと言われているようで、現実っぽかったような気がします。いつも最適が手に入るとは限らないけど、”適”程度でも、十分にしあわせになれるんだよって事を教えてくれたような気がします。何事も、ほどほどに好い塩梅で出来れば、良しとしようという事かな。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。好き嫌いは関係無く、良い映画だと思います。但し、もう少し、バズや仲間が失敗に対して”ごめんなさい”を言えるように設定して欲しかったな。子供向けの映画では、悪いことをしたら謝るというのは徹底して欲しいです。言い訳をするのは、出来の悪い奴ですから。ロクな大人になりません。そこは気を付けて欲しかったな。エンドロールの最後の最後に、続編?という映像が出るので、途中で出て行かないでくださいね。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
P.S : 吹替版で観たのですが、やっぱりバズ役の鈴木さん上手い~!ホントにバズになってました。鼻に付く感じの部分も、共感出来る部分も、演じ分けていて、さすがって思いました。孤狼の時のヤ●ザさんの匂いは一切しませんでした。バズが狂犬だったら怖いもんね。(笑)
「バズ・ライトイヤー」