「リコリス・ピザ」1970年代のちょっとモッタリした時代が人に優しさを与えているように見えました | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「リコリス・ピザ」を観てきました。

 

Fan's Voice独占最速プレミア試写会に参加させていただきました。(@fansvoicejp)

 

ストーリーは、

1973年、ロサンゼルスのサンフェルナンド・バレー。高校生のゲイリー・ヴァレンタインは俳優としても活動していた。そんなある日、ゲイリーは10歳年上の女:アラナ・ケインに一目惚れする。10歳差のため、相手にされないが、必死で頼んで食事に行くことに。それから二人の距離は近づいて行くのだが、そう簡単にはいかない。そして・・・。

というお話です。

 

 

1970年代、ハリウッド近郊、サンフェルナンド・バレー。高校生のゲイリー・ヴァレンタインは子役として活躍していた。アラナ・ケインは将来が見えぬまま、カメラマンアシスタントをしていた。ゲイリーは、高校の写真撮影のためにカメラマンアシスタントとしてやってきたアラナに一目惚れする。

ゲイリーはアラナを食事に誘うが、彼女は25歳、ゲイリーは15歳と解り、全く相手にされない。しかし「君と出会うのは運命なんだよ」と言う強引なゲイリーの誘いが功を奏し、食事をすることになるふたり。

「僕はショーマン。天職だ」将来になんの迷いもなく、自信満々のゲイリー。将来の夢は?何が好き?ゲイリーの言葉にアラナは「分からない」と力なく答える。



 

それでも、ふたりの距離は徐々に近づいていく。ゲイリーに勧められるままに女優のオーディションを受けたアラナはジャック・ホールデンというベテラン俳優と知り合い、映画監督のレックス・ブラウとテーブルを囲む。ポルノの話が出てOKするアラナに、不満を訴えるゲイリー。自分より先に世の中がアラナの胸を見るなんてと嫉妬していたのだ。

ゲイリーがウォーターベッド販売を手掛けるようになり、店に来た女の子に声を掛ける。仲の良さそうなゲイリーの姿を見て、やはり同年代の女子が良いのかと嫉妬するアラナ。ある日、映画プロデューサーのジョン・ピーターズの家へベッドを届けるが、面倒に巻き込まれる。

少しづつすれ違い始めた二人。アラナは、ゲイリーとは別に、カリフォルニア市長選に出馬しているジョエル・ワックスの選挙活動のボランティアを始める。それぞれの道を歩み始めるかのように見えたふたり。出会い、歩み寄り、このまま、すれ違っていくのだろうか。(公式HPより) 後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画、1970年代が舞台なので、観始めた時は、ちょっと笑ってしまうくらい”ダサい”(死語?)と思って違和感があったんだけど、その内、それがかわいく見えてきて、面白い青春恋愛映画だなーって思いました。だって、一見、主演の二人が全然美しくないんですもん。イケメンじゃないし、美女じゃない。でも、そこがリアルで良いんだなと思い始めました。

 

15歳のゲイリーは、子役として売れている俳優です。母親も芸能界で活躍していて、その影響のようでした。そんな訳で、15歳ながらお金に困っていないし、自信過剰と言って良いような性格です。そんなゲイリーが、学校の写真撮影の手伝いに来ていたアラナを気に入ります。一目惚れってヤツかな。声をかけるんだけど、年齢が10歳も離れているから、全く相手にされないんです。でも、15歳ながら世渡りを知っているゲイリーは、言葉巧みにアラナを食事に誘うことに成功します。

 

 

そんな風に始まった二人の関係は、年齢の差もあって一気に恋人に行くことは無く、何となく友達的な感じで続いて行きます。ゲイリーは、資金も、好奇心も、意欲もあるので、時代に合った商売を考えては、実行していきます。アラナは、自分の目標も無く、自信も無いので、いつもゲイリーに付いて行きながら、自問自答しているように見えました。これで良いのか、自分は間違っているんじゃないのか、もう25歳なのに何も成し遂げてなくて、とても不安な気持ちを抱えているようでした。

 

アラナは、ゲイリーに振り回され、ウォーターベッドの販売や、俳優のオーディションなどなど、自分のやりたい事ではないけど、流されて経験していきます。25歳くらいになっても、何をやったら良いのか、良くわかない人って、結構、居ると思うんです。だって、大学を出て、就職は出来たけど、本当にこれでいいのかなって思いますよね。私もそうでしたもん。

 

 

いつまで、この上司に文句を言われながら過ごさなくちゃいけないのかしらって。何の進歩も無い自分でイイのかなって、不安になるって、誰もが経験するんじゃないかな。そんな時に、10歳も年下の男の子に、あれをやろう、これをやろうと振り回されて、何で私が!って思いながらも、楽しんでいる自分を否定出来ないんです。それでも、自分は大人なんだから、子供と一緒に楽しんでいるだけじゃダメよって思って、無理に路線変更しようと思ったり、この映画を観ると、いつの時代も、みんな、同じことを繰り返しているんだなって気が付くんです。

 

懐かしいといっても私は経験した時代じゃないんだけど、どこかダサくて、好感が持てて、ちょっと温かいこの時代、嘘くさいオッサンや酷く差別的な人なんかもいるけど、良い時代だったんじゃないかな。今のように、何か言えば差別と言われ、ちょっと触れるとセクハラと言われ、注意をすればパワハラと言われ、恐くて人と関われなくなった現代に無くなってしまった優しさがあるような気がしました。ホント、転びそうになった人を助けようとしても、引っ張ったと言って暴力と言われ、訴えられたりする時代でしょ。まるで潤いの無い砂漠みたいですね。

 

 

話を戻して、この映画、ポール・トーマス・アンダーソン監督作品なので、有名俳優がこぞって出演しているんです。ちょっと出てきた役の人でも、あれ?見たことある!という感じで、ショーン・ペン、ブラッドリー・クーパー、ベニー・サフディ、トム・ウェイツ、など、楽しそうに演じていました。そして、主演のアラナはこの作品でデビューですが、音楽業界ではトップスターです。ゲイリーを演じているのは、あのフィリップ・シーモア・ホフマンの息子クーパー・ホフマンです。17歳ながら、素晴らしい演技を見せています。今作がデビューだそうです。

 

そうそう、「リコリス・ピザ」という題名ですが、この時代にチェーン展開していたレコード店のようです。現代でも、まだ少し、店舗が残っているようです。レコード店って、昔はいっぱいあったけど、今は配信が主流になっているから、お店が無くなりましたよね。私もCDとかDVDは、Amazonで買っちゃいますもん。映画の中の音楽もレトロで良かったです。

 

 

私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。この時代の人たちも、同じことで悩んでいたんだなってことが解るのと、昔の方が現代より人の心が温かかったように感じた映画でした。私は、好きな映画です。リラックスしながら、ゆっくり観ていたい映画でした。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「リコリス・ピザ」