「わたしは最悪。」を観ました。
Fan’s Voice独占オンライン最速試写会が当たり、観せていただきました。(@fansvoicejp)
ストーリーは、
30歳という節目を迎えたユリヤ。いまだ人生の方向性が定まらずにいた。年上の恋人アクセルはグラフィックノベル作家として成功し、結婚を考え始める。アクセルの出版パーティーを抜け出し、招待されていないパーティに紛れ込んだユリヤは、そこで若いアイヴィンに出会う。アクセルと別れ、アイヴァンと暮らし始めるユリヤは、そこに人生の新たな展望を見いだそうとするが・・・。
というお話です。
30歳という節目を迎えたユリヤ。学生時代は成績優秀で医者の道に進むと思われたのだが、突然に身体は診たくないと言って精神医学の道へ。しかし、そこでもしっくりこず、今度は文学やアートの世界にも手を出し始める。
そんな時に知り合った、年上のアクセルと付き合い始める。彼はグラフィックノベル作家であり、一緒に暮らし始めて直ぐにブレイクしてしまう。
成功した年上の恋人アクセルは、ユリヤとの結婚を考え始め、妻や母といったポジションをすすめてくる。
ユリヤは、アクセルの出版パーティーの日、注目される恋人との距離を感じ、パーティーを抜け出して帰宅途中の店で開かれていた招待されていないパーティに紛れ込んだ。そこで、若くて魅力的なアイヴィンに出会う。新たな恋の勢いに乗って、ユリヤは今度こそ自分の人生の主役の座をつかもうとするのだが・・・。後は、映画を観てくださいね。
この映画、主人公のユリヤの優柔不断さに驚かされました。いくら何でも、路線を変更し過ぎでしょ。マジで観ながら笑ってしまいました。私も人の事言えないほど路線変更をした方ですが、さすがにユリヤほどはしませんよ。
だって最初は、医学部に行っていたんじゃないかな。だけど、人間の身体を診るのは違うと言って、精神医学に変更するんです。そして、勉強を始めるんだけど、またもシックリ行かず、うーんと悩んでいる時に、文章やグラフィックを書き始め、こっちが私には合っているのかもと言って、アートの世界に飛び込むんです。そして、恋人のアクセルが売れてしまうと、同じことをしているのが嫌になり、写真だわ!と言って、写真を始めるんですよ。
確かに、若い頃は何がやりたいか解らず、色々なモノに手を出して、あーでもない、こーでもないって騒ぐんだと思うけど、これほど路線変更できるという事は、本当に家が裕福で、色々な事をやらせて貰えたという事だと思います。普通は、30歳になるまでふらふらして職業を変えていたら、生活していけないですよね。本屋のアルバイトだけで、創作活動をするのは難しいですよ。
まぁ、アクセルが売れて、お金を出して貰っていたのかな。でも、自分が主役になりたいのなら、彼氏に頼ったりするのはダメでしょ。自分の力だけで生きて行けるようになってこそ、自分が主役になれるのであって、誰かに頼っていたのでは、主役にはなれません。そんな事が、ユリヤも段々と理解出来てきたようでした。
それにしても、凄く解るなぁ~という部分が多かったです。ユリヤは、ちょっととんでもなかったけど、アクセルは、売れてきて、生活が安定してきたら、家庭を持ちたいと考え始めるのはとても理解が出来ました。でも、他の夫婦が喧嘩をしているのを聞いて結婚に不安を感じたり、子供がいう事を聞かずに親が振り回されるのを見て、やっぱり子供は持てないかもと思ったり、誰もが最初は不安ですよね。だって、やったことが無いし、人間を育てるのは、そりゃ大変です。でも、そこら辺は、もう勢いしかないと思うんだよねぇ。
そんな事を、ユリヤとアクセルが考えている内に、距離が出来てきて、ユリヤは若いアイヴァンの元へ。このアクセルからアイヴァンへ乗り換えるユリヤの気持ちは、とても良く解りました。ユリヤは、アクセルと同じような仕事を目指していたけど、彼だけ売れて、まるで彼の付属品のようになって行く自分に耐えられなかったのだと思うんです。自分の影が薄くなっていくというのが、感じられたんじゃないかな。これは共感出来ました。私も自分の名前ではなく、誰の奥さんと呼ばれるのは耐えられませんもん。
だけど、アイヴァンと暮らし始めて、また、色々な事に気が付き始めるんです。そりゃそうよ。自分より若いんだし、まだまだしっかりした仕事も持っていないし、今度は、自分の付属品が増えたような気持ちになったんじゃないかな。それでも大丈夫な人は良いけど、私なら、付属品が付くと重いなぁと感じ始めると思いました。
思ったのですが、ユリヤのように主人公になりたい人は、自分一人でいるのが一番なのだと思います。誰かが居れば、必ず引っ張られることになるし、我慢することも多いし、助け合いっていうけど、助けられている事に気付かず、自分が助けている事ばかりが頭に残ってしまうようになるんです。年を取ると、余裕が出てくるから、相手がしてくれる事に気が付くようになるけど、若い頃は自分中心だから、気が付かないのよね。このユリヤを観ていたら、自分もこんな時期があったなぁと考えてしまいました。
この映画、確か12章に分かれて描かれていました。小説を読んで行くように、ユリヤが辿る過程を、それぞれに題名を付けて、描いて行きます。なので、ぶつぶつ切れていますが、とても解りやすいです。そして、その章ごとに、唸らせる小さな結末が用意されていました。ネタバレ出来ないから、あまり詳しくは書けないけど、クライマックスで、大きな出来事があり、ユリヤは、大きな一山を超えて、大人になるという感じに見えました。そして、ちょっと素敵な結末も用意されていたかな。
題名が”わたしは最悪。”ですが、確かに、最初は”最悪”です。優柔不断過ぎるぞ!ってツッコミたくなりましたが、色々な出会いと別れを繰り返して、ちゃんと大人になっていく。いや、大人という言葉はおかしいかな。独り立ちしていくという感じかしら。良い映画でした。
私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。ユリヤの心の動きが細かく描かれていて、それに合わせて、相手役もイイ演技をしてくれていて、誰にでも共感出来てしまうような気がしました。若い頃の優柔不断なユリヤはダメだけどね。そして、ストーリー、構成も上手くて、気持ち良く、最後に辿り着きます。ふんわりと着地出来て、観終わった後は、気持ちが良かったです。何となく、世界が好きになるような感じでした。邦題が「わたしは最悪。」というので、ちょっと万人に好まれそうではないけど、内容は良いので、題名を気にせずに観に行って欲しいです。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「私は最悪。」