「オフィサー・アンド・スパイ」いつの時代も偉くなると汚い事をしちゃうのかしら。真実を伝えなきゃ。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「オフィサー・アンド・スパイ」を観てきました。

 

ストーリーは、

1894年、ユダヤ系のフランス陸軍大尉ドレフュスが、ドイツに軍事機密を漏洩したスパイ容疑で終身刑を言い渡された。対敵情報活動を率いるピカール中佐はドレフュスの無実を示す証拠を発見し上官に対処を迫るが、隠蔽を図ろうとする上層部から左遷を命じられてしまう。ピカールは作家ゾラらに支援を求め、腐敗した権力や反ユダヤ勢力との過酷な闘いに身を投じていく。

というお話です。

 

 

1894年、フランス。経済的に余裕が出てきたフランスは、外国や植民地への投資を進めていた。しかしまだ普仏戦争(独仏戦争)の傷跡は残っており、ドイツとは良好な関係では無かった。

 

軍は、ドイツのスパイを警戒しており、対敵情報活動という部署が調査を進めていた。ある日、陸軍機密文書の名が列挙された手紙を発見し、ドイツ陸軍武官宛てであることを確認する。筆跡鑑定が行われ、ユダヤ人の陸軍大尉ドレフュスが、ドイツに軍事機密を流したスパイ容疑で終身刑を宣告される。

 

 

ところが、新しく対敵情報活動を率いることになったピカール中佐は、ドレフュスの無実を示す衝撃的な証拠を発見してしまう。上司に訴えるも、軍の体面を保ちたい首相や将軍は、彼の話を聞かずに、事件は終わった事と突き放す。

 

ピカールは、ドレフュスの無実を晴らすため、スキャンダルを恐れ、証拠の捏造や、文書の改竄などあらゆる手で隠蔽をもくろむ国家権力に抗いながら、真実と正義を追い求めていく。しかし、政府の手はピカールへも伸びて、彼までもが逮捕される事に・・・。事件はどうなってしまうのか。後は、映画を観てくださいね。

 

 

実際に起こった事件を映画化した作品です。とても驚きました。軍の全員で、嘘をつきまくっているんですよ。手紙を見たとか、話を聞いたとか、誰が聞いても嘘でしょって解りそうなもんだけど、それで押し通すんです。こんなにも嘘をつかなければならなくなったのは、最初に間違った捜査をして、犯人を捕まえてしまったからで、最初に、きちんとした捜査をしていれば、間違える事は無かったのにね。

 

功績を上げたかったのか、捜査を急いでいたように見えました。ピカールの前任者が病気になってしまい、自分が辞める前に、どうしても手柄を上げたかったのかなと思いました。だから、ずさんな捜査で逮捕して、有罪判決にしてしまったのだと思います。そして、次に来たピカールが、その捜査資料を見たら、酷くずさんな捜査で、手紙の筆跡鑑定が証拠だと言っていたのに、見るからに何かを写した形跡があるんです。酷いでしょ。

 

 

まぁ、解らないでもないんです。軍は大きな組織だし、辞める前に名前を残したいとか思ったのかなとは思うのですが、そのせいで犠牲になる人間の事も考えて欲しいですよね。でも、この時代、フランスでもユダヤ人は嫌われていたようで、軍の中でも、このドレフュスはユダヤ人という事で、周りから冷たい目で見られていました。差別が横行していて、このような事件がいくつも起こったことで、イスラエル建国という話になったようです。

 

軍の幹部から兵士まで、全員で隠そうとするので、ピカールは不利ですよね。そこで、記者や作家を仲間に付けて、裁判に持ち込むんです。公の場で、沢山の人の聞いて貰おうとするのですが、そこでも軍は嘘を突き通し、民衆もユダヤ人ということで、あまり味方になってくれないんです。ピカールは追い込まれていき、彼も逮捕されることになってしまいます。え?何で?って思ったけど、軍はその時代、凄い力を持っていて、なんだかやりたい放題でした。

 

 

諦めずにドレフュスのお兄さんとか、記者とか、作家のエミール・ゾラが味方になってくれて、ピカールが拘束されているにも関わらず、裁判を続けて行くと、どんどん嘘の資料などが出てきて、軍も追い詰められて行きます。ネタバレ出来ませんが、追い詰められた軍は、ある酷い事件も起こすのですが、それについては、あまり映画の中で語られずに、こんなことがあったという事が描かれただけでした。

 

それにしても、この時代に、よく権力と闘ったと思います。中佐という立場で、将軍や首相を相手に裁判をするのですから、普通じゃないですよね。それでも、彼がいたおかげで、軍の嘘が暴かれたというのは、良かったと思います。いつの時代でも、権力者の嘘はダメですよ。

 

 

この映画、本当に良く出来ていて面白かったです。特に、ドレフュス役の方が、実物に凄く似せているんです。ドレフュス大尉の絵を見ると、そっくりに作っています。ルイ・ガレルが好演していました。ピカール役を「アーティスト」のジャン・デュジャルダンが演じていて、カッコいいです。弁護士役にメルヴィル・プポー、筆跡鑑定士役にマチュー・アルマリック、ピカールの恋人・ポーリーヌ役にエマニュエル・セニエ、とフランスの名優が揃って出演しています。監督が、あのロマン・ポランスキーですから、みんな、出演するわよね。

 

 

私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。実話を元にした歴史映画で、サスペンスミステリーの要素もあり、本当に楽しめました。この時代の背景も良く描かれていて、こんな事があったからこそ、ユダヤ人は自分の国を欲しがったんだなと思いました。誰からも差別されない自分の国があれば、こんな酷い屈辱を受けなくても良かったと考えたのでしょう。それくらい、大事件だったようです。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「オフィサー・アンド・スパイ」