「FLEE フリー」実話ドキュメンタリーを人物保護の観点からアニメーションで描いています。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「FLEE フリー」を観ました。

 

Fan’s Voice独占オンライン最速試写会が当たり、観せていただきました。(@fansvoicejp)

 

ストーリーは、

父がタリバンに連行されたまま戻ることがなかったアミンは、残された家族とともに生まれ育ったアフガニスタンから脱出した。やがて家族とも離れ離れとなったアミンは、数年後たった1人でデンマークへと亡命する。30代半ばとなり、研究者として成功を収め、恋人の男性と結婚を果たそうとしていたアミンだったが、彼には恋人にも話していない20年以上も心に抱え続けていた秘密があった。親友である映画監督の前で、アミンは自身の過酷な半生を静かに語り始める。

というお話です。

 

 

アフガニスタンで生まれ育ったアミンは、幼い頃、反体制だと思われた父が当局に連行されたまま戻らず、兄も兵士となる為に連行されそうになり国を脱出、残った家族とともに命がけで祖国を脱出した。

ロシアに逃げ延びたのだが、ロシアにいたのでは強制送還されてしまう。兄はスウェーデンに家族を逃がすために、逃がし屋に払うお金を必死で稼いでいた。姉2人が先に北欧へ逃げ延び、アミンと兄、母の3人もウクライナ経由で北欧へ逃げる予定だったが、乗っていた船が捕まってしまい。ロシアへ送り返されてしまう。

ロシアでは、いつ警察に捕まるかという日々を過ごしていたが、何とかアミンだけ、北欧へ送る資金が出来、アミンは逃がし屋の手引きでデンマークへと亡命する。



 

たった一人でデンマークへと亡命した彼は、逃がし屋に言われた通り、家族は殺され、一人で逃げて来たと訴え、デンマークでの生活を手に入れる。真実は心にしまって、作り話を真実だと思い込むようにして生きてきた。

数年後、アミンは30代半ばとなり研究者として成功を収め、恋人の男性と結婚を果たそうとしていた。だが、彼は恋人にも、その過酷な逃亡劇を話していない。以前に、恋人に話をして怖い思いをしたことがあったからだった。

アミンは、20年以上も抱え続けていた、あまりに壮絶で心を揺さぶられずにはいられない過酷な半生を、親友である映画監督の前で、静かに語り始める。後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画は、事実を元に映画が作られていますが、主人公のアミンを始め、周辺の人々の安全を守る為にアニメーションで作られ、名前なども変更してあるそうです。でないと、折角手に入れた生活を壊しかねないという事実がそこにあるからだそうです。恐ろしいですよね。やっと逃げられて、生活を手に入れていながらも、まだまだ、過去が追ってくるというのが、この映画でよく解りました。

 

主人公のアミンは、5人兄姉の末っ子だったのかな。母と兄姉がいるのですが、逃げ延びるために、家族は全て亡くなりましたと言って、亡命が許されたというんです。まだ、15歳くらいの時ではないかと思います。そんな年齢で、命の危険に何度もあって、最終的には一人で、知らない国で生きて行かなければならなかったというのが、あまりにも過酷だし、かわいそうだと思いました。

 

 

1984年頃からお話が始まるのですが、アミンはウォークマンらしきもので音楽を聞いているんです。その音楽が"a-ha"の”テイク・オン・ミー”で、先日、a-haのドキュメンタリーを観てきたところなので、何となく時代が理解出来ました。私もa-haをアミンと同じように聞いていたので、彼の年齢は私と同年代かしら。

 

最初は、まだ、混乱は始まっていたけど、一般の住民たちは、普通にくらしていたように見えました。でも、アミンの父親が反政府と疑われて連れていかれ、ソ連とアメリカが紛争に介入し始め、政府が若者を無理やり徴兵したりという事が行われ始め、アミンたちは、そこに居られなくなるんです。

 

 

普通に暮らしていたのに、なんで一般人までもが巻き込まれるんでしょうね。観ていて、恐ろしいと思いました。突然に街中でバレーボールをして遊んでいたら、軍が来て、男性を連れて行くんですよ。せめて、前もって通告してくれたら、まだ家族も心構えが出来ると思うけど、何の断わりもなく連れて行ったら、誘拐じゃないですか。ま、通告したら逃げちゃうのかもしれないけどね。

 

アミンは、家族と何度も逃げ延び、最後は一人で、過去を偽って亡命をするという選択を強いられます。そうするしか、生きる道が無かったんです。観ていて、こんな若いのに、全部を一人で背負って、よく頑張り抜いたなと思いました。そりゃ、精神的に、少し壊れますよ。これ程の過去を背負っていたら、簡単には人を信じられないと思うし、この話は、そう簡単に話せることではなかったのだろうと、とても理解が出来ました。監督も、辛抱強く、彼の話をずっと聞いてあげたのでしょうね。そこには、強い信頼関係を築いてきたという、2人の関係もあったのだと思います。

 

 

このアミンはゲイなのですが、その事も、彼の心に影を落としていたようでした。イスラム世界では、ゲイは、まだ許されていないのかな。趣向の問題だから、人がどうこう言うことじゃないと思うのですが、国自体が許さないと言っちゃっているのが問題ですよね。好きなものは好きなんだから口を出すなと思うんだけどな。

 

アニメーションで描かれているので、残酷で酷い出来事でも、辛くて観れないという事は無かったので良かったです。あまりにも辛いと、観ていられないとなることがあるのですが、アニメで柔らかい表現にしてくれている事で、しっかり観れて、後から考える時間をくれていたような気がします。流れを忘れないので、アミンの辿った道筋を頭の中で反芻して、現在に生きていられる事を喜べる気持ちになれたと思います。

 

 

自分と同じくらいの方が、こんな人生を歩んで、現在も頑張っているという事を知り、日本で暮らす自分の境遇が、どんなにしあわせなのかという事を感じました。幸せだからこそ、世界の苦しむ人々の声を聞いて、何か出来る事を考えていなかければと考えるのですが、どーも、何をして良いのか解らない私です。やっぱり、寄付をするくらいしかないのかなぁ。

 

この映画、紛争などで苦しむ人々が、どんな生活を送っているのかという事が、とても解りやすく描かれていると思いました。名前などは変えてあるし、地域なども変えてあるようですが、ほとんどドキュメンタリーに近い様に描かれているようです。実際のインタビューをアニメにしているだけなので、これが現実なのだと思います。

 

 

私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。とても辛い映画です。でも、紛争などで振り回される人々の暮らしを解りやすく伝えてくれているし、アニメーションも素晴らしいです。温かみのある絵なので、辛い出来事でも受け入れられます。世界で起こっている問題を、知って欲しいと思いました。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「FLEE フリー」