「犬王」素晴らしいミュージカルアニメでした。内容が素晴らしく音楽も良かったです。これは押しです。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「犬王」を観てきました。

 

ストーリーは、

京の都・近江猿楽の比叡座の家に、1人の子どもが誕生した。その子どもこそが後に民衆を熱狂させる能楽師・犬王だったが、その姿はあまりに奇怪で、大人たちは犬王の全身を衣服で包み、顔には面を被せた。ある日、犬王は盲目の琵琶法師の少年・友魚(ともな)と出会う。世を生き抜くための固い友情で結ばれた2人は、互いの才能を開花させてヒット曲を連発。舞台で観客を魅了するようになった犬王は、演じるたびに身体の一部を解き、唯一無二の美を獲得していく。

というお話です。

 

 

室町時代。かつて戦に敗れた平家の骸と遺物が今も海中に眠る壇ノ浦に、ひとりの少年が暮らしていた。名を五百の友魚という。ある日、友魚とその父親は、都から来た連中に乞われ、海に没したという平家の「剣」(三種の神器のひとつ)を探しに海へ漕ぎだす。しかし、友魚の父は、その件を露わにした天罰により命を落とし、友魚は両目の視力を失ってしまう。

 

無念を叫ぶ父の亡霊と母に背中を押されるように、友魚はひとり、都へ向かう。その途中、彼は琵琶法師・谷一に出会い、その弟子となった。都にたどり着いたとも魚は、谷一が属する覚一の座に迎えられ「友一」の名を与えられる。しかし、新しい名を受け入れて左に入るべきか悩み、再び旅支度をしてひとり夜の都を彷徨う。

 

 

都には、またひとり別の少年がいた。父親は猿楽能の一派、比叡座の棟梁。犬のように野外に放り出されて育った少年は、しかし能楽師の才能はしっかりと受け継いでいた。見よう見まねで能を学び、その特異な身体つきを活かして人とは違う舞を舞った。瓢箪の面をかぶり、己の異形が人々の目を引くのをあえて楽しむかのようにと都大路を駆けた。

 

そして、ふたりの少年は出会う。音を奏でる者と舞う者。ぴたりと息の合った彼らは一瞬にして意気投合する。能を舞う少年は、のちに自らを「犬王」と名乗った。そこから新たな物語が幕を開ける。後は、映画を観てくださいね。

 

この映画、実在の犬王という人物を描いているのですが、犬王については、ほとんど文献が残っていないようで、自由に描いた作品でした。とても面白い解釈をしていて、良く出来ていたと思います。作画も美しく、これは、凄い作品だと思いました。

 

今、「鎌倉殿の13人」で鎌倉時代を描いていますよね。この映画では、その鎌倉を滅ぼして、南北朝時代に足利が南北朝を統一した時代を描いています。鎌倉時代に2つに分かれてしまった天皇家は南北朝となり、鎌倉幕府が倒れた後に足利義満が北朝を助け、南北朝は統一をして北朝の天皇であった後小松天皇が唯一の天皇となります。

 

 

そんな時代、盲目の友魚(のちに友有)が琵琶法師となり、犬王という猿楽の家に生まれた少年と出会って、一斉を風靡する能を披露したというお話を描いています。

 

犬王は、近江猿楽の比叡座の家に生まれたのですが、ある出来事があり、酷い障害を持って生まれてきます。親に疎まれ、食事もろくにさせてもらえず、生きていました。この部分は、手塚治虫の「どろろ」に出てくる”百鬼丸”と同じ感じかしら。そんな身の上ですが、能に関しては素晴らしい才能を秘めていて。独学で能を学びます。

 

 

一方、友魚は、壇之浦の漁村に生まれたのですが、平家の沈んだ財宝を引き上げてはお金を稼いでいました。ある日、三種の神器の剣を引き上げて、箱を開けてしまった為に、祟りで、父親を亡くし、目が見えなくなります。仕方なく旅をして、琵琶法師となったところで、犬王と出会うんです。

 

意気投合した二人は、平家物語を語りながら、能を披露することを繰り返し、その時代の流行となっていきます。その時代、芸術を愛でて、保護をしていた足利義満は、猿楽も珍重していたのですが、犬王のあまりの人気に、政治が脅かされることを恐れ、自分が制定した平家物語のみを良しとし、それ以外の能を披露することを禁止しようと考え始めます。

 

 

平家物語のお話は、琵琶法師が流れ聞いた話をまとめて一つのお話としていましたが、この時代、まだまだ、色々な人物から新しい話が出てきて、何人もの琵琶法師が、自由に平家物語を語っていました。しかし、何故か新しい平家物語を語り始めると殺されてしまうという事件が起こっていました。何故、そんな連続殺人事件が起きるのかと話題になっていたのですが、この事件は、ある人物のたくらみでした。それは、最後の方で明かされていきます。

 

友魚は友有と名前を変えて、新しい平家物語を語り、犬王が能を舞って、どんどん有名になっていき、京では、名を知らぬものはいないというほどになっていきました。しかし、時代はそれを許しませんでした。

 

あの鎌倉時代が終わると、こんな時代になるんだということが描かれていて、そんな時代に、平家物語が重要な意味を持っていたということは、源氏は鎌倉幕府を立ち上げて、北条は力を持っていたけど、歴史は平家を忘れない事を選んだのかなと思いました。悲しい終わり方をした平家を、琵琶法師が伝えていったのは本当の事ですよね。

 

 

ネタバレが出来ないから、重要な部分のお話は出来ないけど、友魚と犬王は、心から通じ合っていて、素晴らしい能楽を披露していたのですが、足利義満が制定した平家物語以外は認めないというお話から、段々と違う道を進んでいきます。どちらも間違っていないのですが、どんな人間にも、曲げられない部分があるでしょ。その選択によって、歴史に残るか、残らないかが分れるのではないかな。

 

犬王は実在の人物だそうですが、歴史上、ほとんど記録が無くて、重要視されていなかったようです。一方、藤若という能楽師は、足利に取りたてられ、世阿弥となって、能の創始者として有名となります。よって、犬王は、素晴らしい才能を持っていたのかもしれませんが、歴史は彼を拒んだんです。そんな彼の歴史が描かれていました。

 

 

結局、平家が彼らの人生を左右したと言ってよいと思います。恐ろしいことです。たまたま、壇之浦に生まれた友魚と、京で能の家に生まれた犬王。二人が出会ったことで、平家の成仏出来ない魂を呼んでしまったのかもしれません。犬王は、まぁ、生まれる前から呪われていたんですけどね。

 

良く出来たお話でした。映像も素晴らしかったです。さすが湯浅監督作品だと思いました。アニメーションの描き方といい、音楽の振り付けといい、歴史と現代を融合させ、そこにすべてを昇華させたように思えました。琵琶の音色とロックの融合が素晴らしかったです。それに合わせた映像も、良く出来ていました。美しかったです。目が離せなくなるような映像でした。

 

 

私は、この映画、超!超!超!お薦めしたいと思います。トップガンに続き、またという感じですが、これは素晴らしかった。今、鎌倉時代にハマっていうこともあるのかもしれないけど、鎌倉が滅ぼされて南北朝に繋がっていくことが想像出来て、「諸行無常」という言葉が良くあらわされていたと思います。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「犬王」