【イタリア映画祭2022】
「ある日、ローマの別れ」を観てきました。
ストーリーは、
小説家トンマーゾは、本名を明かさずペンネームで恋愛相談コラムの執筆もしていた。ある日、長い付き合いとなった恋人を傷つけずに別れたいという相談が寄せられるが、相談者は恋人のゾエだった。
というお話です。
小説家トンマーゾは、ガルシア・マルケスの名で恋愛相談コラムの執筆もしている。ある日、「10年来同棲している恋人と別れたいが、彼を傷つけたくない。」という相談が届く。相談者は恋人のゾエだと確信したトンマーゾは、正体を明かさずにチャットで彼女と個人的なやり取りを始める。
スペイン人のゾエはゲーム会社のエグゼクティブとして精力的に仕事をしており、会社から昇進してロンドンに赴任する打診を受けていた。仕事を優先する彼女は、トンマーゾに気を使いながら出張したり、転勤したりすることが煩わしくなり、本音を言い合えない彼との関係に行き詰っていた。
一見、喧嘩ひとつせず、表面上は順調に見える二人の関係にやりきれない思いを抱き、関係を終わらせたいと望む彼女のチャット内容を読み、トンマーゾは自分の行動を変えることで彼女を繋ぎ止めようと考える。しかし、10年も続けてきた関係を変化させようとするのは至難の業で、何をやっても彼女の反応は変わらず、良い結果は現れない。
彼の努力も虚しく二人は、結局破局してしまい、アパートからゾエが出て行ってしまう。ゾエはロンドンへの転勤を決めたようだ。数日後、トンマーゾの新作小説が発表され、サイン会を訪れたゾエは、彼がマルケスであったことを知る。二人は、初めて激しい言葉で本音を言い合い、将来への一歩を踏み出す。 後は、映画を観てくださいね。
この映画、面白かった。凄く良く解る恋愛映画でした。これ、恋人同士のお話ですが、結婚していても、こんな感じだと思います。表面上は上手く行っていて喧嘩もしないのですが、お互いに分かり合えていないというか、分かり合おうとしていない二人なんです。お互いに仕事をしていて、それなりに充実しているので、パートナーに対して、それほど注意を払っていないという感じかしら。
私も仕事をしているので解るのですが、自分の仕事が乗ってくると、もうそれだけで手一杯になっているので、そばにいる人のことにかまっていられないんですよ。もちろん、相手もそうだと思います。お互いにそうだと、10年同棲していても、ただの同居人のようになってしまうと思うんです。それが結婚していてもそうだと思いますよ。妻は子供に手一杯で、夫は仕事に手一杯だと、一緒にいても、ただ同居しているだけってなりますよね。それなんです。
この二人は、まさにそんな感じで、ゾエの方は昇進して転勤の話が持ち上がり、仕事が波に乗っているので、昇進して仕事をしたいという気持ちが高まっているんです。なので、トンマーゾが足かせになってしまうんですよ。もし、本当にお互いを分かり合って愛しているなら、昇進も転勤も、彼に話していると思うんですよね。別々に暮らすことになっても仕方ないじゃないですか。それが嫌なら、トンマーゾが付いていけば良いんです。相談が出来ないということは、仕事の為に男は要らなくなっているので、もうゾエは別れる前提なんですよ。それを引き留めようと思っても、無理だよなぁ。
もし、トンマーゾがどうしてもゾエと別れたくなければ、彼女にすがって、一緒にロンドンに行くというしかなかったと思うんです。でも、彼はそれも出来ないんですよねぇ。愛しているけど、自分の生き方を捨ててまで愛していないということなのかな。難しいですよね。相手に合わせると感じてしまったら、もう、それは愛じゃないのかもしれません。
そんな二人の恋愛なんだけど、ゾエが恋愛相談コラムに相談を送ったことで、もっとこんがらがります。まさか、自分が相談している相手が、別れようとしている相手とは思わないでしょ。その部分が、とっても間抜けで面白かったです。トンマーゾも知らない振りを続けるのは、人が悪いよね。
この二人のお話と並行して、トンマーゾの友達の夫婦で、妻がローマ市長をしていて、夫が子供の世話やら家庭の事をしているんですけど、ローマ市長ですから、超忙しいんです。なので、家庭の団らんが壊されたり、子供と一緒にいられないということが増えてきて、夫が怒って、別れたいというというお話が出てきます。
この映画では、女性の社会進出が男性の心理にどう関わってくるのかも描いていて、考えさせられました。イタリアも、まだ女性の社会進出に関しては、男性の理解が進んでいるとは言えないそうです。日本よりは良いとは思いますけどね。もっと、女性が上に立つようになってくれば、自然と男性も、その心構えというか、相手に合わせるという感覚を理解出来てくるのかな。今のところ、ほとんどは女性が男性に合わせるということが標準化されているので、間違っているよなぁと思っている私です。我が家は、夫が私に合わせてくれることも多々ありますよ。それは話し合いですよね。
とっても笑えて、恋愛の面白さ、難しさを良く描いていたと思います。恋愛映画であり、コメディ映画であり、ヒューマンドラマでもあると思いました。良いお話です。私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。これは、ぜひ、日本公開して欲しいなぁ。誰もが楽しめて考えてくれそうな映画でしたもん。もうすぐ、オンライン上映があると思います。気になったら、ぜひ、観てみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「イタリア映画祭2022」