【イタリア映画祭2022】
「笑いの王」を観てきました。
ストーリーは、
19世紀から20世紀にかけてナポリ演劇を代表する劇作家・役者だったエドゥアルド・スカルペッタの栄枯盛衰を、ナポリ出身のトニ・セルヴィッロの圧巻の演技とともにたどる。喜劇王として大人気で、莫大な富で豪邸も建て、成功を収めていたスカルペッタだが、偉大な詩人ダンヌンツィオの悲劇のパロディを上演することで状況は激変する。
というお話です。
20世紀初頭、ベルエポックの文化的活気にあふれたナポリ。俳優で劇作家のエドゥアルド・スカルペッタは、喜劇王として無比の成功をおさめ、莫大な富を得る。彼が生み出したキャラクター:フェリーチェ・ションシャンモッカは、プルチネッラに代わってナポリの観客の心をつかむ。
妻ローザとの子ヴィンチェンツォ、ローザの姪ルイーザとの間にもうけた非摘出子ティテイーナ、エドゥアルドの3人は、幼い頃から「貧乏人とにせ貴族」のペッペニエッロ役を受け継いで演じるが、田舎暮らしが好きなルイーザの末子ペッピーノは、芝居を学ばせようとするエドゥアルドに強く反発する。
エドゥアルドは当時のイタリア最大の詩人ダンヌンツィオの悲劇「イオリオの娘」のパロディを上演するが、イタリア作家出版社協会から盗作の罪で訴えられ、歴史的な著作権訴訟が始まる。最終弁論の当日、エドゥアルドは舞台さながらの熱弁をふるい、風刺の権利を強く訴える。そして・・・。後は、映画を観てくださいね。
この映画は、イタリアの有名な劇作家・役者だったエドゥアルド・スカルペッタの半生を描いている映画です。イタリアではスカルペッタというのは、国民的な俳優で、喜劇役者としても有名だったようです。そんなに娯楽が多くない時代に、彼の人気は絶大で、大きな家に、沢山の家族、正妻とそれ以外に愛人が何人もいて、非摘出子も何人もいたようです。
彼は巨万の富を築いて、経営する劇場も持っていたようで、そこで自分が企画する戯曲を公演していたようでした。そして、出演者にも家族を入れて、子供たちも出演させて演技の指導をしていたようでした。
それにしても、イタリアの人って、本当に太っ腹というか、正妻は、自分の姪っ子が夫の愛人になっても文句を言わず、一緒に住まわせているんです。誰かが文句をいっても、家族は一緒にいればよいというように言って、夫を責める様子はありませんでした。ちょっとビックリですよね。夫を愛していない訳では無くて、夫の愛した人間は自分が面倒を見るというような、そんな責任感を持っているように見えました。
そんなスカルペッタですが、ある時、「イオリオの娘」という小説のパロディを舞台化したいと思って、小説家や出版社協会に権利を許可して欲しいと頼むのですが、返事を貰えず、勝手にパロディ化して、舞台にしてしまったんです。そしたら、盗作だと訴えられてしまうんですね。
現代でも盗作疑惑とかで、訴えられるというニュースが出てきますが、この時代が最初だったんじゃないかな。でもね、スカルペッタは、パロディにして、話を変えているから盗作ではないと主張するんです。私は、こういう問題って、よく解らないのですが、どうなんでしょ。これ、例えばモノマネの人が、盗作だって言われて訴えられるのと一緒でしょ。でも、モノマネって、マネされる本人にも徳になると思うから、そんなに罪は無いと思うんですけど。
盗作裁判が何年も続き、スカルペッタは段々と元気を失くして行きます。まぁ、年を取っていくから仕方ないんですけどね。そして、子供たちも大きくなっていき、時代が変わっていきます。イタリアのエンタメの時代の幕開けに、どんなことが起こっていたのかという事が描かれており、きっと、イタリアの方には、自分の国の歴史を知る映画なのだと思います。
映画の中では、ナポリ地方の訛り(方言)が多く入っており、公開時には、下にイタリア字幕が出たそうです。日本でも、東北訛りが難しいと字幕を出さないと解らないというのと一緒です。どの国にもあるんですね。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。俳優・劇作家の自伝的映画で、歴史映画です。私もですが、日本人には、ちょっと難しいかなと思いました。イタリアの歴史を知らないと、あまり興味を持てないかもしれません。今回は、映画上映の後に、静岡文化芸術大学高田教授がいらして下さり、その時代のイタリアを説明してくださって、スカルペッタの一族についてお話をしてくださったので、理解が出来ました。楽しかったです。この映画、日本公開するかは解りませんが、私は、イタリアの文化や芸術を知る上で、スカルペッタという人物を知るべきなのかなと思いました。機会があったら、ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「イタリア映画祭2022」