【イタリア映画祭2022】「3つの鍵」3つの家族の群像劇です。どの出来事もどこか共感出来ました。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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【イタリア映画祭2022】「3つの鍵」を観てきました。

 

ストーリーは、

ローマ の高級住宅街。同じアパートに住む3つの家族。顔見知り程度の隣人たちの扉の向こう側の顔を誰も知らない。ある夜の交通事故をきっかけに、それぞれがした選択が、次第に彼らをぎりぎりの淵まで追い詰めていく。扉を固く閉ざしてしまった彼らの、未来への扉を開く鍵は何なのか?

というお話です。

 

 

ローマの高級住宅地にあるアパートに暮らす、3つの家族。それぞれが顔見知り程度で、各家庭の扉の向こう側にある本当の顔は知らない。

ある夜、3階に住むジョバンニとドーラの裁判官夫婦の息子アンドレアの運転する車が建物に衝突し、ひとりの女性が亡くなる。アンドレアは飲酒運転だった。裁判官の親に罪にならないようにして欲しいと懇願するが、人が一人死んでいて、今まで甘やかしてきたツケが回ってきたと考えたジョバンニは息子を跳ねつけ、裁判を受けさせて罪を償わせようとする。

同じ夜、2階に住む妊婦のモニカは陣痛が始まり、夫が出張中のためひとりで病院に向かう。途中で陣痛が酷くなり、蹲った横を高速の車が走っていき、交通事故を起こしたが、見ていられる状況ではなかった。彼女は病院へ運ばれ、無事に出産をする。



 

1階のルーチョとサラの夫婦は、自分の家に突っ込んできた車の事故処理の為に、娘を隣家の老夫婦の家に預ける。娘は、老夫婦を自分の祖父母のように慕っていた。その後、サラが渋滞で帰宅が送れ、ルーチョが出かける時、娘を隣家にほんの少しだけ預かって貰うと、認知症の老夫と娘が一緒に行方不明になってしまう。ルーチョは、老夫が娘になにか悪戯をしたのではないかと勘繰り、老人を責めるが何も覚えていないと言う。娘もそのことについて口を開こうとしない。もし娘がいたずらをされていたらと焦り始めたルーチョは・・・。

 

それぞれに問題を抱えた家族は、それからも、5年、10年と、そのアパートで暮らして行く。彼らがしあわせになるための鍵は、どこにあるのか。後は、映画を観てくださいね。

 

 

ナンニ・モレッティ監督の新作です。日本では今年9月頃に公開予定になっています。3つの家族の群像劇で、良い作品でした。ご自分で監督されて、弁護士のジョバンニ役で出演されているのですが、映画上映後にリモートでインタビューに答えてくださって、ご自分で演じないのであれば誰に配役しますかという質問に、何人か、自分と同世代の俳優を考えてみたのだが、クリント・イーストウッド監督は90歳で監督主演をしているんだから、俺がやっても良いだろうと思って、自分がやる事にしたとお話してくださいました。とっても気さくな方で、インタビューは楽しかったです。

 

3つの家族の群像劇で、1つ目の家族は、3階に住んでいる弁護士夫婦とその息子のお話です。息子のアンドレアは、父親に厳しく育てられ反発していて、自堕落な生活を送っています。その日の夜、飲酒運転で家に帰ってきて、家の手前で女性を跳ね飛ばし、マンションの1階に突っ込みます。たまたま、マンションの部屋が書斎だったから良いけど、あれ、寝室だったら、何人死んでいたんだろう。

 

 

アンドレアは、飲酒運転で人を跳ねているので、もちろん犯罪なのですが、母親ドーラに飲酒のデータ改ざんは出来ないのかとか、父親に裁判官の友達に無罪になるように頼めとか騒ぎます。酷い息子でしょ。もちろん、亡くなった方への謝罪もしないんです。あまりの酷さに、とうとう父親も呆れて、何も助けないと断言します。そりゃそうですよ。そして、息子は収監されます。

 

そんなアンドレアでもドーラは可愛いと思っているのですが、ジョバンニは、息子には関わるなと言います。もし関わりたいなら、自分と縁を切るようにと言います。それくらい、ジョバンニは自分の育て方が悪かったと思っており、何があっても助けないと決意しているようでした。ドーラは板挟みになってしまい、とても悩みます。でも、ここまで酷い息子になっちゃったのは、ドーラの責任でもあるんだから、それはどこかで線引きしないとね。

 

 

2つ目の家族は、1階に住むルーチョとサラ夫婦とその娘。1階に車が突っ込んできて、茫然とする家族ですが、事故処理をするために、娘を隣家に預けます。以前から仲が良かったのですが、事故現場は危ないので、そこから遠ざけるために預かって貰います。それから夫婦は、何かある時は、隣家に娘を預かって貰うようになります。図々しいでしょ。隣家の老夫婦は、子供が来ると楽しいと言うので、甘えていたのだと思いますが、隣の状況を何も知らずに預けると言うのはやっぱりマズいですよね。

 

そんなある日、いつもの軽い気持ちで娘を預けると、老夫と娘がどこかへ行って、行方不明になってしまいます。警察も出動して探し回り、ルーチョは、いつも娘と行く公園にいるかもしれないと行ってみると、そこに老夫と娘がいました。その状況から、ルーチョは、まさか娘がいたずらをされたのではないかと考えます。その上、老夫は認知症のようで、何も覚えていないと言います。娘を簡単に預けてしまった事、老夫婦だと思って何も調べなかった事など、ルーチョは自分を責めて、何とか真実を知ろうと、娘に話を聞きますが、娘は公園でパパを待っていただけと答えるばかり。何かあったとしても、女の子が父親にいう事は難しいです。

 

 

ルーチョは、もしかしてという事を頭から消すことが出来ず、何処までも老夫を追求し、問題になって行きます。まず、隣家に預けるのはダメでしょ。無料で楽だからと思ってだと思うけど、それはやってはいけない事だと思います。安全はお金をかけて手に入れるものだし、もし、都合がつかなければ、自分たちの予定を変えるしかないんです。もちろん、親になっても自分の好きな事もやりたいだろうけど、そこは手配をしてからの事でしょ。何をしても良いけど、安易な考えはダメだと思いました。それから何年もルーチョは苦しむんです。バカだよね。

 

3つ目の家族は、2階に住むモニカ。夫と二人暮らしなんだけど、夫はローマに単身赴任していて、モニカは妊娠しています。もう陣痛が来たので病院へ行こうと家を出ると、その横を猛スピードで車が走り、女性を跳ねて、マンションに衝突します。でも、モニカは陣痛が酷くなり、事故の事を見ている場合ではなく、病院へ運ばれます。そして娘が生まれます。

 

娘をつれて部屋に帰ってきても自分一人。夫は帰ってきません。酷いでしょ。一人で不安な毎日を過ごしていて、子育ての事を教えてくれる人もいません。モニカの母親は、実はモニカを産んだ後に精神的に不安定になり病院に収容されています。モニカは、自分も子供を産んだら母親のようになるのではないかと不安に思っていて、医者にも相談するのですが、この病気は遺伝することは無いからと言われます。夫に、不安な事を話しても、取り合ってはくれず、一人で耐えるしかありません。とても可哀想だなと思いました。こういう母親を助けてくれるサービスみたいのが無いのかしら。一人での子育ては大変ですよ。

 

 

そして、2人目の子が出来て産まれるのですが、モニカの不安はどんどん大きくなります。今回は、夫も帰ってきて、一緒に出産に立ち会ってくれたのですが、それでもモニカの不安は拭えません。彼女には、部屋の中にカラスが見えたり、他にも見えたりして、自分でも良く解らなくなっていくんです。このモニカのお話は可哀想だなと思いました。

 

3つのお話ですが、弁護士のお話と、隣家との話は、自業自得の部分もあるのではと思ったけど、モニカのお話は遺伝的なものもあったのかもしれませんが、やっぱり誰か助けてあげれば問題は起きなかったのではと思いました。

 

どのお話も、どこか自分の身近にありそうなことで、考えさせられました。ちょっとしたことで、自分の人生が狂って行くという事もあるのだと思いました。上手く出来ていたと思います。

 

 

私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。私は、とても楽しめましたし、公開されたら観に行っても良いかなと思いました。モレッティ監督の作品は、日本人が観ても、とても共感が出来るのではないかなと思いました。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「3つの鍵」

 

「イタリア映画祭2022」