「ハケンアニメ!」お仕事映画として感動出来るし、アニメ好きにはタマらない場面が幾つもあります。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

 

「ハケンアニメ!」を試写で観せていただきました。

 

ストーリーは、

地方公務員からアニメ業界に飛び込んだ新人監督・斎藤瞳は、デビュー作で憧れの天才監督・王子千晴と業界の覇権をかけて争うことに。王子は過去にメガヒット作品を生み出したものの、その過剰なほどのこだわりとわがままぶりが災いして降板が続いていた。プロデューサーの有科香屋子は、そんな王子を8年ぶりに監督復帰させるため大勝負に出る。一方、瞳はクセ者プロデューサーの行城理や個性的な仲間たちとともに、アニメ界の頂点を目指して奮闘するが・・・。

というお話です。

 

 

連続アニメ『サウンドバック 奏の石』で夢の監督デビューが決定した斎藤瞳。噂では他の監督に断られて二番手として起用されたらしい。彼女は、映画会社に入って7年。公務員を辞めてこの世界に飛び込んだという異色の経歴だ。

意欲は山ほどあるのだが、気合いが空回りして制作現場には早くも暗雲が立ち込める。その上、瞳を大抜擢してくれたはずのプロデューサー・行城理は、ビジネス最優先で瞳にとって最大のストレスメーカー。それでも彼女の意志は強く、日本中に最高のアニメを届けたい! と意気込んでいる。



 

最大のライバルは『運命戦線リデルライト』。瞳も憧れる天才・王子千晴監督の復帰作だ。何と王子のアニメは、斎藤のアニメと同時間枠でぶつかっていた。王子復活に懸けるのはその才能に惚れ抜いたプロデューサーの有科香屋子。しかし、彼女も王子の超ワガママ、気まぐれに振り回され、開口一発「お前、ほんっとーに、ふざけんな!」とパンチを浴びせる始末。

瞳は一筋縄じゃいかないスタッフや声優たちも巻き込んで、熱い“想い”をぶつけ合いながら “ハケン=覇権” を争う戦いを繰り広げる!!
その勝負の行方は!? アニメの仕事人たちを待つのは栄冠か? 果たして、瞳の想いは人々の胸に刺さるのか?(公式HPより) 後は、映画を観てくださいね。

 

 

原作は未読なのですが、この映画、アニメ制作の現場を、結構、よく再現していたように思います。監督とかの様子じゃなくて、現場の動きが、何とも生々しくて唸りました。あの下請けのアニメーションスタジオに出して、下請け業者は徹夜で仕上げるとか(ま、元請け会社も徹夜しているんだけど。)、過酷な労働状況がとっても辛いですよねぇ。これ、現代でもそうなのかしら。労働基準違反になっちゃうから、会社としてやっていたらアウトなんだけどね。

 

この映画を観ていたら、自分の若い頃を思い出しました。アニメって、ハマるとのめり込むというか、人生観が変わるのよねぇ。私、本当に機動戦士ガンダムで人生観変わりましたもん。私は、一度ガンダムが終わって、直ぐに再放送があったのかな。それで観たと思うのですが、あれで初めて群像劇というのを理解したし、戦争って、相手も人間なんだよねって認識したと思います。それまでのアニメは、悪い奴は悪と描かれていて、主人公は正義のヒーローだったから、それを疑ってなかったんです。子供の頃からアニメが好きで、ハマっていたけど、ガンダムで人生観が変わったのは本当です。1本のアニメには、それだけの力があるんです。

 

 

そんなアニメを、この有名監督・王子が作り、それに感銘を受けた斎藤が、公務員を辞めて、アニメ監督になるというお話なんです。そして、最初に監督に抜擢された時間枠が、王子監督の裏だという、何とも恐ろしい対決になって行きます。いやぁ、有名アニメ監督の裏番組って、ダメでしょ。新人監督が可哀想すぎます。ま、この斎藤、根性だけは座っているんですけどね。

 

どちらの監督もアニメを12話まで、脚本を考えて絵コンテを切っていくのですが、辛そうでした。これね、早く切らないと、制作が追いつかないので、とにかく押せ押せになって言っちゃうんです。でも、急いで描いて出しちゃうと、やっぱり直したい部分が出てきちゃって、大変な事になり、文句を言われ、下手すると間に合わないという事態に陥ります。アニメーションスタジオって、毎度の事ながら、この恐怖に襲われてますよね。うーん、辛そうです。特に、王子監督も斎藤監督も、良いモノをっていうこだわりがあって、悪いモノなら出さないという考え方だから、大変なんですよ。

 

 

でも、気持ちは凄く解るんです。建築でも、最後の最後までこだわって、こうならないか、ああならないかと検討を重ねるので、最後は現場に行って指示するしかないとなるのですが、この映画でも、結局、監督が全ての部署を周りながら指示を出して行くしか無くなるというのが、痛いほど伝わってきて、頭を抱えそうになりました。はぁ~、しんどい仕事を終わらせた後に観たので、良かった。これ、辛い時に観たら、大泣きしてます。

 

この映画の主役は、アニメ監督ですが、裏の主役はプロデューサーなんです。このプロデューサーの手腕で、監督が動かされていくというのが、よく描かれていました。確かに、監督に才能があるのだろうけど、それを発揮出来るのは、プロデューサーが裏で動いて、監督たちをフォローしているからなんです。プロデューサーを、柄本さんと尾野さんが演じていて、さすがと思いました。上手かったよなぁ。主演をはれる二人が、最後に控えているからこそ、面白い映画に仕上がったのだと思いました。

 

 

最初、この斎藤監督って、凄くイヤな奴なんです。本当に面倒臭くて、愛想も無く、優しい言葉をかけることもなく、自分の要望ばかりを押し付けようとするんです。でも、行城の助けや、王子の言葉によって、自分のやり方が間違っている事に気が付いて行くんです。成長していくんです。周りとのコミュニケーションも取れて、自分の気持ちもぶつけて、良いものを作り上げていくようになっていきます。

 

一方、天才と呼ばれる王子は、素晴らしいアニメを作ってきたけど、周りの期待が大きすぎて、プレッシャーに押しつぶされそうになっているんです。それをプロデューサーの有科がフォローして、再度、アニメーションを作る事が出来るんです。思うのですが、本当に天才と呼ばれる人って、文句を言いながらも、人のいう事を良く聞いてますよね。ちゃんと周りに目配せをして、状況を掴んでいるんです。そして、一番良い方法を選び取っていく。そんな風に成長してきた人が、天才と呼ばれるんだろうなぁと感じました。この王子も、そんな人なのかなと思いました。最後、良い場面がありましたけど。あの後、どうしたのかなぁ。うふふ。

 

 

ま、色々な出来事があり、感動する作品です。でも、私のようにアニメにハマったことがある人間には、ピタッときたけど、アニメを知らない人にはどうなのかしら。だって、下請けスタジオとの関係って、アニメ制作を知らないと、この雰囲気の重要さが解らないから、この場面いるのかな?って思われちゃいそうかもって思いました。小さいスタジオって、地方にあるんです。それも知らないですよね。

 

それに、歴代アニメの有名なセリフを使っていて大笑い出来たのも、知らないと笑えないですもんね。往年のアニメオタクには、うんうん、それそれって言われるようなセリフでも、もう、昔のアニメだから、今の人に解って貰えるかどうかって、ちょっと思いました。でも、私には、凄く嬉しかったし、笑えたし、しあわせな気持ちにさせて貰えました。

 

 

私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。お仕事映画としては、楽しめると思いますよ。熱くなってしまう人間って、ウザいとか言われそうだけど、仕事を達成した時の爽快感は、熱くならないと味わえないんです。一生に一度、有るか無いかだと思うけど、この爽快感を味わったことのある人間は、きっと、人生成功したと思って生きていけるんじゃないかな。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「ハケンアニメ!」