「アネット」を観てきました。
ストーリーは、
ロサンゼルス。 攻撃的なユーモアセンスをもったスタンダップ・コメディアンのヘンリーと、国際的に有名なオペラ歌手のアン。“美女と野人”とはやされる程にかけ離れた二人が恋に落ち、やがて世間から注目されるようになる。だが二人の間にミステリアスで非凡な才能をもったアネットが生まれたことで、彼らの人生は狂い始める。
というお話です。
スタンダップコメディアンのヘンリーと有名なオペラ歌手のアンはロサンゼルスで出会い、恋に落ちる。"美女と野人”とはやされる程にかけ離れた2人は、世間から注目されるようになる。
そして2人の間には、ミステリアスで非凡な才能を持ったアネットが生まれます。その頃、アンは、ヘンリーが女性に対して虐待をし、女性たちがアンに気を付けなさいと訴える夢を見ます。
ヘンリーは、段々と問題行動によって人気が落ちていきます。反対にどんどん人気になるアンに嫉妬心を抱き始め、2人の仲は冷めていきます。
ある時、船で旅に出たヘンリーとアン。酔っぱらったヘンリーが嵐の夜にアンを船外に連れ出し、無理やりダンスを始め、海に投げ出されたアンは亡くなってしまいます。ヘンリーは、島にアネットと一緒に辿り着き、助かります。
ヘンリーはアネットの歌声が売れると考え、アネットを歌わせると大人気になり、世界中が彼女の夢中になり始めます。子供を売り物にしていると批判もあり、反発しているヘンリーでしたが・・・。後は、映画を観てくださいね。
この映画、素晴らしかったです。私は好きな映画の1つになりそうです。映像が美しく、とてもテンポが良く、楽しく観れるのですが、実は、内容はとてもダークで、人間の恐ろしい姿を描いていました。ネタバレしないように解説をしようと思いますが、どうしても、少しネタバレになってしまうと思います。それを承知で読んでください。
コメディアンのヘンリーとオペラ歌手のアン。全く違う世界ですが、違うからこそ、相手を尊敬して、一緒に居られるのかなと思ったのですが、この二人は、段々と離れていくようでした。そして、ヘンリーは、アンの代わりにアネットを自分のモノとして、可愛がり始めます。
この映画の面白いところは、アネットが人形で描かれるんです。何故かと言うと、ヘンリーの目には、アネットが人間の娘とは映らずに、人形として見えているのだということだと思いました。産まれた時は人間だったのに、ある時から人形なんです。きっとステージママとかには、自分の子供はこんな風に見えているんでしょうね。稼いでくれる人形と映っているなんて、恐ろしいことです。
そんな残酷なヘンリーに気が付いて、アンは、恐ろしい夢を見たのだろうと思います。危険を察知していたのに、離れることが出来なかったんです。可哀想でした。でも、ヘンリーの舞台を観ていれば、付き合う前に解ったと思うんだけどなぁ。内容が雑で、酷く下品な感じだったので、このコメディの何が人気だったのか解らないのですが、笑いのツボが違うのでしょう。お客に対して、あんな舞台を見せて、喜ばれているというのに驚きでした。
アネットの歌声が世界で大人気となり、ツアーで周り始めます。ヘンリーは、ステージパパとして活動し、コメディアンの仕事は辞めてしまいます。そして、指揮者だけどピアノ伴奏者として、ヘンリーとアンの近くにいた男が、アネットの伴奏者としてツアーに同行することになります。この男、オープニングから出演していて、色々と歌っていて、実は、重要な役なのですが、途中までは目立ちません。
なんか、ごめんなさい。感想にまとまりが無いですね。この映画、難しいんですよ。どう書いていって良いのか、凄く悩むんです。観た後、あまりの情報量の多さと、ストーリーの深さに、頭がぐるぐるするのですが、それを、一つ一つ、考えて謎を解いていくと、凄く面白くて、美しくて、音楽が良かったなぁ~となるんです。とにかく、出てくるモノのほとんどに理由付けがあって、その理由を考えると、恐い考えになっていくという内容なんです。
そして、全てが繋がっていると言って良いかな。ヘンリーが着ているガウンやジャケットの色が緑で狂気を表していて、アンが舞台に立つと死を演出しているので青を使っていて、舞台から降りていると赤を身に付けて生を演出しているんです。色の使い方にも、意味を持たせていて、面白いなぁと思いました。本当に細かい映画だと思いました。
最後に音楽についてですが、最初は、スパークス・ブラザーズが出てきて、モノクロで映画が進んで行き、段々と色が付いて行きます。ミュージカル映画なので、みんなで歌って、踊って、進んで行きますが、全然、イヤな感じはありません。とても自然ですし、セリフを歌いながら、演技は普通にしていて、ダンスは減るので、違和感は無いんです。楽しかったし、気持ち良く観ることが出来ました。
私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。音楽も良く、映像が素敵なので、何かをしながら、流しておきたいような映画でした。表面だけ観る映画ではなく、その画面に出ている全てが、何かに繋がる暗示を含んでいるので、観た後に、あれは何だったのかなと考えて楽しめる映画だと思いました。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
P.S : 8日から”スパークス・ブラザーズ”の映画も公開されますので、ぜひ、そちらもお楽しみに。私も観に行かなくちゃ。
「アネット」