「オートクチュール」を観てきました。
ストーリーは、
ディオールのオートクチュール部門でアトリエ責任者を務めるお針子エステルは、次のコレクションを最後に引退することを決めていた。準備に追われていたある朝、エステルは若い女性にハンドバッグをひったくられる。その犯人ジャドの滑らかに動く指にドレスを縫い上げる才能を直感したエステルは、彼女を警察へ突き出す代わりに見習いとしてアトリエに迎え入れる。反発しあいながらも、時には母娘のように、そして親友のように、美を生み出す繊細な技術をジャドに授けていくエステルだったが・・・。
というお話です。
ディオールのオートクチュール部門のアトリエ責任者であるエステルは、次のコレクションを終えたら退職することが決まっていた。準備に追われていたある朝、地下鉄から降りたところで歌っている若い娘に目をやった隙に、誰かにハンドバッグをひったくられてしまう。取り返してあげると言って走って行った若い娘は、実は仲間で、ひったくったバッグを受け取り、中身を売りさばこうとしていた。
しかし、中にユダヤの星(ユダヤ教の印)が入っていたことから、宗教関係はバチが当たると言われ、住所を調べて持って行くと、盗んだことはバレており、警察に突き出すような勢いのエステルでしたが、その娘・ジャドの手を見て、お針子の才能を持っている事を見抜き、見習いとなるようにと命令します。
何となく興味を持ったジャドは、大人しく従い、ディオールのアトリエの下働きとして働くことになります。ジャドは、滑らかに動く指を持っており、ドレスを縫い上げる才能をエステルは直感したのでした。ジャドを見習いとしてアトリエに迎え入れ、時に反発しながらも、時に母娘のように、そして親友のように美の真髄を追い求め濃密な時間を過ごす二人だったが、ある朝エステルが倒れてしまう・・・。最後のショーは一週間後に迫っていた。後は、映画を観てくださいね。
この映画は、この系統の映画の王道と言って良いかしら。一流の場所に、シンデレラのように迎え入れられた難民の女性が、文句を言いながら、イジメに合いながら、努力を重ねて、自分を見つけてくれた人に恩返しをするという内容です。
結構、こういうお話は多いんだけど、今回は、ディオール専属クチュリエールが監修し、ディオールヘリテイジに保管されていた幻のドレスや貴重なスケッチ画が登場するので、見応えはあります。やっぱり、どこか上品で美しいんですよ。映画なのに、香りが違うという感じなんです。
ですので、話はそれほど期待するほどのものではないですが、出てくるドレスや生地、デッサンなどが、他では見れないものなので、ファッション系が好きな方には、ぜひ観るべき作品なのかなと思いました。
内容は、確かに、ちょっと陳腐ではあります。街中で出会った引ったくり犯人が、指先が綺麗だからお針子に向いているとかって、あり得ないでしょ。まず、引ったくったバッグを返しに来ないって。返しに来るような子なら、元々、引ったくりしないと思います。
そして、突然にエステルがアトリエに連れて行って、ジャドは見習いとして入ることになるんだけど、通常、身元がよく解らないような女性を、ディオールのような有名アトリエが簡単には雇いません。でないと、何を盗まれるか分からないでしょ。もう、その辺りが、おとぎ話のようで、あり得ない展開だよなぁと思いました。
でもね、アトリエで縫われているドレスは、本当に素敵なんです。あの美しいラインをどうやって作るのかなと思っていたら、やっかり生地から凄く選んでいるんですね。ドレープが美しく出るような生地を選び、見ていると、立体的に重ねて作っていくんだなと思って、それは美しくなるだろうなぁと感動しました。紙の上の絵ではなく、本当に立体のものを作っていくんですよね。デザイナーの紙の絵を、あんなに美しく立体に起こして行くというのは、やはり、選ばれた人間にしか出来ないのかなと思いました。
アトリエのお話だけではなく、ジャドの母親の話とか、エステルの娘の話とか、色々と出てくるのですが、どれも蛇足かなと思いました。ジャドの母親の話は、ただ、娘に依存している母親ということで、ジャドの不幸を描きたかったのかもしれないけど、あまり必要は無かったかなと思います。エステルの娘に関しては、一瞬、電話で話すだけで、こちらも、彼女の孤独を描きたかったのかもしれないけど、そんな話を出さなくても、十分に孤独そうだったので、必要無かったんじゃないかなと思いました。
後は、移民の話とか貧困の話とか、ちょろちょろと出てきて、差別されるような事もありましたが、これも、あまり意味が無かったかなと思いました。ちょっと蛇足が多かったですかね。映画としては、十分にディオールと言う部分で面白いので、あまり無駄なものは必要なかったかなと思いました。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。内容は、観たことがあるような、ちょっとありきたりかなと思うような感じでしたが、ディオールが関係しているという部分は、本当に素晴らしいです。このアトリエとドレス、デッサンを見るだけでも、価値があるかなと思いました。本当に美しいです。ファッション関係に興味がある方はもちろん、綺麗なものが好きな方でしたら、ぜひ、観るべきだと思いました。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「オートクチュール」