「親愛なる同士たちへ」ソ連時代に表に出てこなかった事件を描いていますが、今も状況は同じなのかも。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「親愛なる同士たちへ」を観ました。

 

Fan’s Voice独占最速オンライン試写会が当たり、観せていただきました。(@fansvoicejp)。

 

ストーリーは、

1962年6月1日、ソ連南部ノボチェルカッスクの機関車工場で大規模なストライキが発生した。フルシチョフ政権が目指した豊かな共産主義統治にも陰りが見え始め、生活に困窮した労働者たちが物価高騰や給与カットに抗議の意思を示したのだ。フルシチョフ政権は、スト鎮静化と情報遮断のために現地へ高官を派遣。翌日、約5000人のデモ隊や市民に対して無差別に銃撃が行われ、広場がすさまじいパニックに陥る中、共産党員として国家に忠誠を誓ってきたリューダは、18歳の愛娘スヴェッカの行方を捜して奔走する。

というお話です。

 

 

1962年6月1日、フルシチョフ政権下のソ連では、物価高騰と食糧不足が蔓延していた。第二次世界大戦の最前線で看護師を務め、共産党市政委員会のメンバーであるリューダは、国中が貧しい中でも贅沢品を手に入れるなど、党の特権を使いながら、父と18歳の娘スヴェッカの3人で穏やかな生活を送っていた。

そんな中、ソ連南西部ノボチェルカッスクの機関車工場で大規模なストライキが勃発する。生活の困窮にあえぐ労働者たちが、物価の高騰や給与カットに抗議の意思を表したのだ。



 

この問題を重大視したモスクワのフルシチョフ政権は、スト鎮静化と情報遮断のために高官を現地に派遣する。そして翌2日、街の中心部に集まった約5000人のデモ隊や市民は、とうとう高官たちが集まっている建物への襲撃を始めてしまう。それでも高官たちはは銃の使用を許可しなかったが、現場の兵士たちは、恐怖からか、銃を使ってしまい、市民を狙った無差別銃撃事件に発展してしまう。

リューダは、工場に勤めていた愛娘スヴェッカの身を案じ、凄まじい群衆パニックが巻き起こった広場を駆けずり回る。スヴェッカはどこにいるのか、すでに銃撃の犠牲者となって“処分”されてしまったのか。

長らく忠誠を誓ってきた共産党への疑念に揺れるリューダが、必死の捜索の果てにたどり着いた真実とは。後は、映画を観てくださいね。

 

 

今、この状況でロシア映画を観るのは、ちょっと違和感がありましたが、観てみたら、今も昔も、この国は、同じような事をしているんだなと思いました。この映画、ロシアを知る上で、今、観るべき映画なのかなと感じました。

 

スターリン時代から変わって、フルシチョフ政権になり、一時は共産主義政権として上手く行っていたようなのですが、経済は悪くなり、労働者たちが大規模なストライキを起こす程になっていきます。スターリンの部下だったフルシチョフですが、スターリンの後を継いだとたん、スターリン批判に変わり、それによって、人気が出たようでした。そしてフルシチョフ時代に、宇宙開発を始め、外交も積極的にするようになったので、資本主義国家との交流も進むのですが、キューバとの関係が深くなり、”キューバ危機”を迎えることとなりました。

 

 

そんなソ連の黄金期を作ったフルシチョフですが、国民は生活が苦しくなっていき、店に行っても食べ物が売っていないというようなことが続いていたそうです。共産主義なのに、物価がどんどん上がっていくというのが、どーも、私には理解が出来ないのですが、どうなのかしら。

 

私の感覚だと、共産主義というのは、国が仕事を与えて、それぞれに給料を貰って、みんな平等に生活が出来るというのが理想なんでしょ。同じだけみんなが給料を貰っていて、同じように働いているのなら、物価って上がらないような気がしませんか?もし、物価が上がるのなら、みんなの給料も上がるハズだから、普通は困る事は無いよね。それが共産主義ってもんじゃないの?うーん、不思議でした。

 

 

そして、ストライキが起こり、労働者たちが襲撃を行って、軍が対抗して、無差別銃撃事件を起こすことになります。高官たちは、自分の国の国民なんだから、銃をつかってはいけないと考えているのですが、一人が危険だから銃の携帯はさせましょうということになって、そして、現場に行ってしまえば、そりゃ、襲ってこられれば、恐いので対抗して撃ってしまいますよね。だってソ連ですから、国民が軍に刃向かうとか、なかったんでしょ。それが、石を投げてきたり、殴りかかって来れば、それは怖かったんじゃないかな。

 

でも、そういう時の為に指揮官がいて、冷静に判断しなきゃいけないハズですよね。一度引いて、高い場所から狙って、撃ちたくないから静かにしてくれと警告するべきなのに、映画の中では、ただ、ワイワイしている国民に向かって、無差別に撃っていました。恐ろしいと思いました。だって、群衆に向かって撃つから、誰かを狙っている訳じゃないんです。沢山の人がダンゴ状態になっている所に撃つから、必ず誰かに当たって死んでしまうんです。表向きには30人くらい死んだかなと言っていますが、本当は100人以上だっただろうと言われています。この事件、事実なので、ロシアから報告書が出ているんです。

 

 

この映画の主人公リョーダは、模範的な共産党員で、国が決めたり言ったりすることは絶対だと思ってきたような女性です。なので、国に対して文句を言うなんて、以ての外と考えてきたんです。でも、この無差別銃撃事件の現場に娘がいたはずだと解り、国のやり方に疑問を持ち始めます。ずっと、国は、国民を守ってくれていると思ってきたのに、国民に向けて銃を撃つというのは、あってはいけないことなんです。

 

娘が殺されたかもしれないと解り、必死で娘を探し、病院や遺体安置所に向かうのですが、娘の姿はありません。そして、調べていくと、政府が裏で死体を処理していたのではないかという話を聞きます。それが本当なのか、嘘なのか。国を信じたい自分と、娘を見つけたい自分がいて、リョーダはどうして良いのか、よく解らなくなっていきます。

 

 

難しいですよね。今まで、何の疑いも無く信じていたものが、全て崩れ去るとなったら、もう、何を信じて良いのか、自分さえも信じられなくなって、おかしくなってしまうと思います。このリョーダの気持ちも、よく解りました。

 

全編がモノクロで、スクリーンの大きさも、ちょっと独特だったのかな。いつもの映画とはスクリーンの形が違うようでした。昔のソ連という感じが出ていて、映像も良かったと思います。

 

 

私は、この映画、お薦めしたいと思います。今、ロシアとウクライナが戦争しているという時に、昔のソ連時代にあった事件を映画化していて、このロシアという国がどういう国なのか、少し理解が出来ると思います。昔から、性質は変わっていないのだと思いました。今見ると、本当に凄くそう思いました。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「親愛なる同士たちへ」