「MEMORIA メモリア」不思議なアピチャッポン監督の世界を楽しんで。私はSF映画だと思います | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

 

「MEMORIA メモリア」を観てきました。

 

ストーリーは、

とある明け方、ジェシカは大きな爆発音で目を覚ます。それ以来、彼女は自分にしか聞こえない爆発音に悩まされるように。姉が暮らす街ボゴタに滞在するジェシカは、建設中のトンネルから発見された人骨を研究する考古学者アグネスと親しくなり、彼女に会うため発掘現場近くの町を訪れる。そこでジェシカは魚の鱗取り職人エルナンと出会い、川のほとりで思い出を語り合う。そして1日の終わりに、ジェシカは目の醒めるような感覚に襲われる。

というお話です。

 

 

とある明け方、大きな爆発音に驚き目覚めたジェシカは、その日以来自分にしか聞こえない爆発音に悩まされるようになります。近所の工事現場の音かと思ったのですが、そうではなさそうです。どうもその音は、自分にしか聞こえないようでした。

ボコタの病院に入院中の妹を訪ねたジェシカは、朝、話をして、また長い時間眠り続ける妹に付き添っていました。突然に目を覚ました妹は、自分が病気になったのは、車に轢かれた犬を助けられなかったからじゃないかとジェシカに話します。でも、朝にジェシカと話をしたことは忘れていました。



 

ジェシカは、頭の中に聞こえる音が気になり、その音を再現して貰おうと、音響技師のエルナンを録音スタジオに訪ねます。彼に音の説明をして、近い音の再現を頼みます。後日、再現が出来たと言うので公園で待合わせ、音を受け取ります。

妹が退院し、妹家族とレストランで食事をしていると、義弟が”アマゾンの部族の儀式”の取材に行ったから病気になったんじゃないかと話し、ジェシカが”犬のせいと言ってたわよ。”と言うと、妹は自分は言っていないと言います。



 

不眠が続き、自分の記憶に自信が持てなくなったジェシカは、病院へ行き、診察を受けて薬を頼みます。医者は精神安定剤は依存度が高いからと注意をしながらも処方をしてくれます。

その後、考古学者のアニエスと知り合い、トンネルから発掘された6000年前の子供の頭蓋骨を見せてもらいます。すると頭蓋骨に小さな穴が開いているのに気が付きます。

森の中の川の傍を歩いていると、またあの音の襲われ、不安な顔をしているジェシカに、心配してある男が声を掛けます。彼はエルナンと名乗り、先日の音響技師と同じ名前でした。そして、彼と話をすると、彼は、”自分は全てを記憶する。”と語り、不思議な能力の事をジェシカに話すと・・・。後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画、何も考えずに観ていると、不思議なだけで終わってしまいます。でも、SF映画だと考えて、沢山の項目を、”爆音”に繋げていくと、沢山の宇宙、沢山の時空を移動しているのかもしれないという考えに辿り着くかなと思いました。なので、今日の感想は、実際に監督が描きたかったことではないかもしれませんが、私が自分の考えで解釈し、理解した感想です。

 

ジェシカはきっと、不穏な爆音を聞いた時から、次元を渡っている何かに引っ張られるようになってしまったのだと思いました。そして、アンテナ的な役割を持つようになってしまったのだと思います。自分では理解が追いついていなかったけど、彼女自身は、自分が存在する次元に留まっていたのだろうけど、精神だけ、色々な次元に移動してしまっていたから、妹が違うことを言っていたり、いると思っていた人が居なかったり、突然に、違うような場所にいたりしたのかしらと思いました。

 

 

だって、音が気になり始めてから、どんどん色々な事が食い違って行き、知らなかった記憶が沢山、ジェシカの中に生まれて来ていたので、それは全て、誰かの記憶が、彼女の中に流れ込んでしまったのだと思います。全てのモノに記憶があるとエルナンが言っていたので、移動する場所、次元で、新しい記憶を拾っていたのでしょう。でも、それは悪い事じゃないんじゃないかな。6000年前の記憶も現代の記憶も、彼女が読んで、ハードディスクに記憶していけるんじゃないかなと思ったんです。アンテナが読んで、集めて、ハードに記録していく。世界の記憶を忘れないために、あの”爆音の何か”たちが、ジェシカやエルナンを使ってあつめていたんじゃないかな。

 

それにしても、音が聞こえる度に、少しづつ横にズレているような感覚が、とっても不思議で面白いなと思いました。全く異世界に入っていくのではなく、少しづつズレるという感じを、このアピチャッポン監督の映画で、私は毎回、感じるんです。それが何とも、好きなんです。

 

 

それに、人がよく眠っている場面が多いんですよね。何か、死んでいるんだから、生きているんだか、ちょっと解らない感じで、眠りというものが、異世界に入る入口のような感覚があるのかしら。目を瞑って寝ていると、何か人形のように見えるんです。あれも、きっと狙いなんでしょうね。

 

今回のアピチャッポン監督の映画は、思ったよりも理解しやすかったような気がします。以前は、知っている俳優が出演しておらず、アジア系の人ばかりだと顔の違いがよく解らず、随分と苦労したような気がします。「ブンミおじさんの森」なんて、何度観ても、よく解らなかったもんなぁ~。雰囲気は不思議で良いんですけどね。何が面白いのか、よく解らなかったんです。今回は、SF映画だなと理解して、楽しめました。


 

私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。私はSF映画と理解しました。そして、雰囲気で進んで行く内容も、楽しめました。映像も美しくて、何とも言えない雰囲気が素敵です。でも、観る人によって、色々と解釈が出来るように作ってあるのではと思うので、頭を使って観る映画が得意ではない方には、ちょっと向かないかもしれません。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。

 

 

「MEMORIA メモリア」