「tick, tick...BOOM! チック、チック...ブーン!」を観ました。
随分前に観たんですが、アカデミー賞にノミネートで、また話題になってきたので、感想を書いてみます。
ストーリーは、
1990年のニューヨーク。食堂のウェイターとして働きながらミュージカル作曲家としての成功を夢見るジョナサンは、オリジナルのロックミュージカルの楽曲を書いては直しを繰り返していた。もうすぐ30歳を迎え、これまでともに夢を見てきた仲間たちも現実に目を向け始め、焦りを覚えるジョナサン。自分の夢に価値はあるのか、時間を無駄にしているだけではないかと自らに問いかけながらも、時だけが過ぎていき・・・。
というお話です。
1990年初頭、ジョナサンはソーホーのムーンダンス・ダイナーでウェイターとして働きながら、ミュージカル作曲家として成功することを夢見ていました。もうすぐ30歳となるジョナサンは、それまでに何か足掛かりを掴まないとというプレッシャーを感じ、曲を作っては、また作り直すという繰り返しににハマっていた。両親も息子に、もう諦めて普通の仕事に就いて欲しいと考えており、何かと心配して声をかけてくる。
ジョナサンは、今度のオーディションを最後のチャンスと考えていて、そこで失敗したら、この仕事は諦めようと考えていました。ジョナサンの彼女のスーザンは、友人から、ジョナサンに学校の先生の仕事を紹介して貰ったので、行ってみたらどうかと話しますが、ジョナサンはオーディションの事で頭が一杯で、良い返事が返せません。
一方、ジョナサンと同じ夢を追っていた友人のマイケルは、早々と方向転換をし、今は広告業界で成功しています。マイケルもジョナサンを心配して、自分の会社の音楽の仕事を頼みますが、ジョナサンは、こちらの仕事に対しても良い返事が返せず、追い詰められて行きます。
スーザンは、はっきりしないジョナサンに愛想を尽かし、別れを切り出します。何もかも上手く行かないと感じ始めたジョナサンでしたが、エージェントのローザから電話があり、励まされて、やっぱりオーディションの為に作曲をしようと考え、それに取り組み始めます。そして・・・。 後は、映画を観てくださいね。
ネットフリックスで配信された映画です。劇場公開もされました。ジョナサン・ラーソンさんの自伝的ミュージカル作品で、完璧な自伝では無いようですが、自分が成功するまでのお話でした。私は、家で観たのですが、良い作品でした。「RENT」っていうミュージカルは、こんな方が作られたんですね。全然知りませんでした。今、思い返すと、レントの一人一人の生活が、それぞれジョナサンの一面を表していたような気がしました。レントは面白いミュージカルです。確か、映画化もされたと思います。
ジョナサンという人物は、ミュージカル作曲家として成功したいという夢を持っていて、ウェイターのアルバイトをしながら、必死で色々なオーディションに応募しているようでした。でも、いつも何かが足りなくて、落ちていたようなんです。
私、この映画を観て始めて知ったのですが、ミュージカル作曲家って、こんなオーディションがあって、選別されるんですね。私、ミュージカルって、原作在りきで、それに合う音楽を提供出来る人間を探すのかと思っていたのですが、「RENT」は、ラ・ボエームをベースに現代ミュージカルとしてジョナサンが書き換えたようです。ロックオペラという感じかしら。「RENT」は、今でも沢山の人に愛されるミュージカルとして有名ですよね。そんなミュージカルを作った人なのに、このミュージカルが初演を迎える前日に亡くなったそうです。悲しいですね。
この「チック、チック、ブーン!」は、そんなレントが有名になる前のお話で、まだまだ、認めて貰えていないジョナサンが描かれています。努力をしても、何故か認めて貰えず、もうすぐ30歳になると言うのに、アルバイトをしながらオーディションに応募するという状態で、周りから心配されているんです。今から30年以上前の話なので、その頃は、30歳と言ったら、普通に就職しているか、何かで成功していないとおかしいと心配されるような時代でした。今とは、ちょっと違うかな。もうすぐ30歳だからと言って、凄く焦っているんですよ。そんなに焦らなくてもイイのになぁと思いましたが、ジョナサンは、35歳で急死しているので、未来が解っていて、早く成功しなくちゃと焦っていたのかもしれません。
ジョナサンは、高校や大学時代に、既に演劇やミュージカルで賞を貰っていたようなので、凄く自信があったのではないかと思います。だから、プロの世界に入ってみたけど、全然売れないということで、焦ったんじゃないかと思いました。アマチュア時代に成功してしまうと、プロになった時に挫折しやすそうですよね。折れやすそうですもん。そこで、根性を出して頑張った人は、きっとプロでも成功するのだと思うけど、諦めて辞めてしまう方が多いのでしょうね。まぁ、そんなもんです。
でも、ジョナサンは、とても両親に可愛がられていたのかなと思うのですが、音楽の発表の時とかには必ず両親が来ていたし、いつもジョナサンの事を心配しているように見えました。やっぱり、親の愛って大切ですよね。子供にとっては煩い親に見えるかもしれないけど、その愛は、時間が経つと心に沁みてくるんです。いつも自分を心配してくれていたのは両親だったなと思い出して、その愛を感じられるというのは、本当にしあわせな事だと思います。でも、ジョナサンは、ご両親よりも先に、本当にポックリと亡くなってしまったようで、可哀想だと思いました。
主人公をアンドリュー・ガーフィールドが演じていて、良かったですよ。スパイダーマン ノーウエイホームを観た後だったので、なんか、とっても嬉しかったです。アンドリューさんのピーターも好きだったな。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。派手な映画ではありませんが、ジョナサンの人となりが良く描かれていて、色々な社会問題も織り交ぜながら、その時代の色をよく表していました。私は、この映画だけではなく、「RENT」などの、ジョナサンが制作した作品と一緒に観る事をお薦めします。その方が解りやすいです。ジーンと感動するような作品でした。ぜひ、観てみてください。
ぜひ、楽しんでくださいね。
「tick, tick...BOOM! チック、チック、ブーン!」