「カモンカモン」子供だと思って甘く見ないで。ちゃんと理解しているんだから。子供に降参ですっ! | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

 

「カモンカモン」を観てきました。

 

Fan's Voiceさんのジャパンプレミア試写会で観せて頂きました。(@fansvoicejp)

 

ストーリーは、

ニューヨークでひとり暮らしをしていたラジオジャーナリストのジョニーは、妹から頼まれて9歳の甥ジェシーの面倒を数日間みることになり、ロサンゼルスの妹の家で甥っ子との共同生活が始まる。好奇心旺盛なジェシーは、疑問に思うことを次々とストレートに投げかけてきてジョニーを困らせるが、その一方でジョニーの仕事や録音機材にも興味を示してくる。それをきっかけに次第に距離を縮めていく2人。仕事のためニューヨークに戻ることになったジョニーは、ジェシーを連れて行くことを決めるが・・・。

というお話です。

 

 

NYでラジオジャーナリストとして1人で暮らすジョニーは、妹から頼まれ、9歳の甥・ジェシーの面倒を数日間みることに。実は、ジョニーは妹のヴィヴとはあまり上手く行っていなかった。認知症の母親が亡くなる前にその面倒の見方で随分と対立があったからだった。

そんなヴィヴがジョニーに息子を頼んだのは、音楽家の元夫ポールの精神状態が不安定になり、どうしてもついていなければならなくなったからだった。

LAの妹の家で突然始まった共同生活は、戸惑いの連続。好奇心旺盛なジェシーは、ジョニーとヴィヴのぎこちない兄妹関係を追及したり、いまだ独身でいる理由を問い詰めたり、ジョニーが答えに詰まるようなことばかり。その上、自分の父親の病気に関する疑問をストレートに投げかけ、不安を募らせて不安定になることもしばしば。ジョニーが子供をあやすような態度をとると、バカにするなと言わんばかりに怒ったりする。



 

その一方で、ジョニーの仕事や録音機材に興味を示し、二人は次第に距離を縮めていく。仕事のためNYに戻ることになったジョニーは、ジェシーを連れて行くことを決めて、ヴィヴに許可を取ります。

ニューヨークで暮らし始めた二人ですが、ジェシーはどんどん不安定になり、ジョニーを困らせてばかり。とうとうジョニーが怒ると怖がるようになってしまいます。その上、ジェシーがホームシックになった為にLAに帰らせようとするのですが、空港に行く途中で”帰りたくない。”と言い出し、結局、引き返すことに。そして・・・。後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画、何だか凄く、心に残りました。甥っ子の面倒を突然に見ることになったジョニー。子供なんて簡単だと思っていたのだと思いますが、あまりの知識に驚き、全く思い通りにならず、答えに困窮することばかり聞かれて、夜には興奮して寝ることもしない。もうお手上げって感じで、あたふたしている姿が、最初の頃は面白いんです。

 

子供って、大人が思っているよりもよっぽど大人なんです。もちろん大人より世界は狭いけど、狭い世界を事細かく調べて見ているので、知識としては、全く大人と変わらないんです。それに、狭い世界に生きているので、大人の行動を良く見ているんです。大人は、自分でも忘れていたようなことを、子供が覚えていて驚くことがあると思います。子供の前では最新の注意を払い、悪い事、ズルい事は絶対に見せないと思っていないと、後から驚くようなしっぺ返しをされることになります。

 

 

ジョニーも、甥っ子ジェシーに振り回されることになり、生きた心地がしません。突然に消えてしまったり、現れたり、怒ったり、癇癪を起したり、別人の振りをしたり、本当に大変そうでした。このジェシー、ちょっとアスペルガーっぽい感じかな。素直に気持ちを伝えられないし、相手のことを考えられない感じでした。でも、とても子供らしい子供だと思いました。子供って、自分の気持ちを素直に伝えられないんですよね。このジェシーを観ていると、好きな子を虐めちゃうというような感じがありあり見えるんです。

 

ジョニーは、甥のジェシーの面倒を見ながら、ラジオジャーナリストとして、色々な地域の移民の子供たちにインタビューをしています。このインタビュー、脚本も何もなく、ドキュメンタリーなんです。21人にインタビューをして、19人分を使ったそうです。そして、誰もが未来を夢見ていて、大人が考えているよりも、しっかり未来を見据えているんです。でも、何故か大人になると、夢も無くなり、未来が見えなくなり、周りに合わせることが大切になってしまう。なんででしょうね。

 

 

10代半ばを過ぎると、社会のルールを押し付けられることになり、それまでの自由な発想が消えていき、型にはまった考え方になってしまう。寂しいですよね。あんなに豊かだった感情が、段々と薄っぺらになって、面白くない型にはまった大人になってしまう。それを嫌がったとしても、社会で生活を続けていくためには、どうしてもどこかで妥協が必要になってくる。仕方ないとは思いつつ、子供の頃は良かったなぁと思い出しました。

 

ジョニーは、ジェシーと一緒に暮らしながら、段々と、彼を対等の人間として見るようになっていき、その気持ちを理解しようと努力をしていきます。ジェシーも、そんなジョニーを見て、彼に懐いていくんです。この自然に近づいていく二人の雰囲気が、とても良く描かれていました。でも、このジェシー、9歳にしては、ちょっと幼い感じだったかな。日本の9歳の子供は、もう少し、大人に対して”仕方ないな。”という妥協策を提示してくれます。ジェシーは、とても頑固な性格のように見えました。うーん、とっても扱いにくい子供って感じでしたね。

 

 

でもね、ジェシー、とっても可愛いんです。こんなに可愛いから、母親から甘やかされているのかな。大人にダメと言われたら、ある程度で諦めると思うけど、この子は諦めませんもん。いやぁ、大変そうでした。しゃべる歯ブラシを買った時は、ホントに、「その歯ブラシ、折ってやる!」って言いたくなっちゃった。イライラしたわぁ~!

 

それにしても、子供が望んでいることと反対の事を言って、大人の反応を見ている姿って、イヤですねぇ。つい、子供に騙されているよぉ~ってアドバイスしたくなってしまいました。ある程度、子供の面倒を見ていれば、この行動に慣れると思うのですが、最初は戸惑いますよね。ジョニーの気持ちが痛いほど解って、助けたかったな。

 

 

全編、モノクロで描かれているのですが、何故か、とっても温かい雰囲気がして、時々、色が見えるような気持ちになりました。音楽が印象的なので、音楽から色が見えたのかもしれません。素敵な映画でした。

 

ホアキンさん、こういう役も良いですね。真剣に子供に向き合っている姿は、本当の父親のように見えました。彼を見ていて思ったのですが、例え親でなくても、関わる子供に対しては真摯に向き合い、恥ずかしくない行動をとらなければいけないと考えました。子供は必ず見ていますから。あの人、こんな事をしていたと言われないよう、ちゃんと生きなくちゃね。

 

 

私は、この映画、超!超!超!お薦めしたいと思います。この映画、好きです。ホアキンさんも素敵だし、ジェシー役のウディくんもかわいいの。もー、こんなかわいい甥っ子がいたら、ぐりぐりしちゃうと思います。映画の雰囲気も良いし、美しいし、なんたって、子供の気持ちが繊細に描かれていて、誰が観ても、頷いてしまうのではないかと思いました。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「カモンカモン」