「TITANE/チタン」チタンプレートにより金属寄りになってしまったアレクシアは愛により再生する | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

 

「TITANE/チタン」を観ました。

 

Fan’s Voice独占最速オンライン試写会にて観せていただきました。(@fansvoicejp)

 

ストーリーは、

幼い頃、交通事故で頭蓋骨にチタンプレートを埋め込まれた、アレクシア。彼女はそれ以来、“車”に対して異常な執着を抱くようになる。ある日、罪を犯し行き場を失ったアレクシアは、消防士のヴィンセントと出会う。ふたりは、奇妙な共同生活を始めるが・・・。

というお話です。

 

 

娘アレクシアを後ろに乗せた父親が車を運転している。娘は反抗的でいきなりシートベルトを外し、驚いた父親が後ろを向いて怒った拍子に事故を起こしてしまいます。事故により頭を打ったアレクシアは、病院で頭蓋骨を固定する為に”チタンプレート”を入れ、退院しました。

それから数年後、アレクシアは成長し、クラブでダンサーとして働いています。美しくスタイルも良いアレクシアですが、実は、自分に近づいてきた男性や女性を何人も殺しています。殺した後は、彼女が愛する合金の車とSEXを楽しんでいました。そんな娘の犯行に、両親は全く気が付いていません。アレクシアに無関心なんです。

ある日、同僚のジャスティンとハウスパーティーに出席し、彼女とのSEXの後に彼女を殺し、パーティーに参加していた人々も殺します。そして家に戻り、寝ている両親を寝室に閉じ込め、自宅に火を放ちます。



 

沢山の人を殺したアレクシアは、捕まるのを恐れ、別人に成りすまそうと10年前に失踪した少年アドリアンに成りすまします。鼻を折り胸を潰して、アドリアンだと言って警察に名乗り出ます。

息子を連れに来た消防士である父親のヴィンセントは、誰であろうとアドリアンとして受け入れる気持ちのようで、DNA鑑定も断り、連れ帰り、息子として一緒に暮らし始めます。言葉を発しないアドリアンを心配しながらも、自分の職場で一緒に働かせ、世話をやきます。

アドリアンとして生き始めたアレクシアは、車との子を妊娠し、お腹が大きくなっていきます。ヴィンセントは知らない振りをしていますが、彼の元妻でありアドリアンの母親は、息子が女であることを知りますが、ヴィンセントがアドリアンが帰ってきたことで正常になっている事を理解し、彼を守ってくれるようにと頼んで帰っていきます。

アドリアンのお腹はどんどん大きくなっていき、隠すのも辛くなっていきます。そして・・・。後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画、通常の考え方を持ったまま観たのでは、ちょっと理解が出来ないのではないかと思うほど、ブッ飛んだ作品でした。まだ、私も理解出来ていないと思うのですが、感想を書いていきますね。書きながら理解出来るかもしれません。

 

アレクシアという少女は、きっと子供の頃から、アスペルガーなどの障害があったのではないかと思いますが、両親はそんな娘を理解しようとはせず、冷たかったのかなぁと思います。なので、事故を起こして、頭の手術によりチタンプレートが埋め込まれた時、彼女の身体は変化したのかなと思いました。

 

想像では、プレートを埋め込まれた時に、金属が脳と反応し、半分人間半分チタン(金属)という意識となり、身体の構造も変わって行ったのかなと思いました。両親が娘を愛していたなら変わっていたかもしれませんが、無関心では娘の異変に気が付きません。不思議ですけどね。だからアレクシアは、人間を殺しても何も感じず、ただ、前に出てきた邪魔な生物を排除しただけという感じでした。

そして、車とのSEXの場面があるのですが、最初、何をしているのかなと不思議になりました。車の中で一人で興奮している映像なので、まさか車と行為をしているとは考えられず、死体としているのか、自慰行為なのか、その時点では、理解が出来ていませんでした。でも、妊娠したという描写があり、どう考えても人間の子じゃないと思って(女性としか行為をしていなかったので。)、車=金属との子供と思ったんです。脳がブッ飛びました。普通の考え方をしていたのでは、この映画、付いて行けないなと思って、ファンタジーホラー脳に切り替えました。

 

 

そして、ヴィンセントと出会うのですが、ヴィンセントは、幼い息子が行方不明になり見つからないという不幸があり、妻とも離婚し、今は消防士として身体を鍛えて、若い隊員たちに負けないように仕事に励んでいます。今でも、息子は生きていると信じているんです。そんな彼の前に、アドリアンを名乗るアレクシアが現れます。10年も前に失踪した息子なので、容姿は変わっているとは思いますが、やはり父親なので、本当の息子ではないと一瞬で気が付いたのでしょう。DNA鑑定を断ります。

 

アレクシアは、既に連続殺人犯として指名手配されているので、アドリアンとしてヴィンセントの所に潜り込めれば、子供を生むまでは逃げられると思ったのだと思います。でも、通常なら、これは息子じゃありませんと言われるところを、受け入れてくれたというのは、アレクシアも驚いたと思います。一か八かの賭けだったようにみえたので。

 

そしてヴィンセントの息子としての生活を始めると、今までに味わったことが無いような父親の愛を受けて、アレクシアも変わって行ったんじゃないかなと思いました。これを観ると、やっぱり親の無償の愛というのは、子供が成長するのに必要ものなのだろうと感じました。愛されずに育った子供は、やっぱりどこか欠けてしまうんじゃないかな。半分金属として生きてきたアレクシアが、ヴィンセントと出会う事で、人間へと変化していったような気がしました。

 

 

ヴィンセントが出てくるまでは、映画の中の世界が荒れているような感じなのですが、彼が出てくると、不思議と現実に戻って、正常な世界がそこにあるような雰囲気になるんです。この映画は、前半は、アレクシアの狂った世界を描いていて、後半は、ヴィンセントが観ている現実世界を描いているように見えて、面白いと思いました。前半は、アレクシアが世界を支配しているようなのに、後半はヴィンセントが支配する世界で、弱いアレクシアが保護されているように見せている。なので、犯罪を犯したのは、弱いアレクシアを愛してやれなかった周りの責任もあり、もし、愛してあげられる人がいれば、きっと犯罪は無かったのではないかと感じました。

 

アレクシア役は、初めて見る俳優さんでしたが、ヴィンセント役は、フランスの名優ヴァンサン・ランドンさんです。彼が出てくると、本当に世界が変わるんですよ。やっぱり名優の存在感というのは、素晴らしいですね。

 

これは、私の感想で、ちょっと難しい映画なので、観る人によって、この映画が訴えている事は感じ方が違うかもしれません。でも、アレクシアは、本当の愛が欲しかったんだろうなぁ。だから人間より金属を選んで、そちらに寄ってしまったんだろうと思います。それをヴィンセントが人間側に引き戻したのかな、なんて思いました。ヴィンセントの愛は、無償の愛だったんです。愛を知れば心が生まれ、命の尊さを感じて、妊娠しているお腹の子供に対しても、愛情が生まれてきたのかなと思いました。考えてみると、ちょっと悲しいお話でした。

 

 

私は、この映画、お薦めしたいと思います。本当は超3お薦めしたいけど、難しいので止めておきます。何度も考えて、理解するような映画なのかなと思いました。一回観ただけで、簡単に判断出来ないのかもしれません。なので、ここまでが、私が今日、初めて観た感想です。公開したら、また観てみたいと思います。この作品、受賞歴が凄いです。カンヌのパルムドールを筆頭に、トロント、シカゴ、ヨーロッパ、シアトル、フロリダなどなど、多数の映画祭で賞を取っています。難しいので、観て直ぐには解からないかもしれませんが、感じてみて欲しい作品です。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「TITANE/チタン」