「シラノ」を観てきました。
ストーリーは、
17世紀のフランス。剣の腕前だけでなく、すぐれた詩を書く才能を持つフランス軍きっての騎士シラノは、自身の外見に自信が持てず、思いを寄せるロクサーヌにその気持ちを告げることができずにいた。そんな彼の思いを知らないロクサーヌは、シラノと同じ隊のクリスチャンに惹かれ、シラノは2人の恋の仲立ちをすることに。愛する人の願いをかなえるため、シラノはクリスチャンに代わって、自身の思いを込めたラブレターをロクサーヌに書くことになるのだが・・・。
というお話です。
17世紀フランス。ブルゴーニュ座での芝居が始まるかと思いきや、誰かが乱入し、芝居を止めてしまう。看板俳優に文句を言い、引退しろと迫ったのは一人の騎士だった。貴族の観客たちは怒り、一人の貴族が剣を持って決闘を申し込み、騎士は受けて立つ。すると騎士はとても強く、あっという間に貴族を倒してしまう。芝居はあっけなく幕を下ろし、騎士は劇場に居たロクサーヌという女性に目くばしをして去っていく。
その騎士は、剣の腕前だけでなく、優れた詩を書く才能をもつ、フランス軍隊きっての騎士シラノ・ド・ベルジュラックは、仲間たちからも絶大なる信頼を置かれていた。彼は、美しい従妹のロクサーヌに恋をしていたが、自分の酷く醜い容姿を苦にして告白は出来ない。彼は多才だが生まれながらに醜く生まれ、母を含めたあらゆる異性に敬遠されてきたのだ。唯一、従妹のロクサーヌだけは彼を慕っていた。
ある日、ロクサーヌがシラノに逢いたいと言ってきたので、何かと思って期待して行くと、ある兵士に恋をしたというのだ。それはシラノの部隊の新人兵士のクリスチャン。シラノにクリスチャンとの仲を取り持って欲しいと願い、シラノはクリスチャンにロクサーヌの思いを告げる。
しかしクリスチャンには詩の才能は無い。仕方なく、シラノは文章を考えてやるから恋文を書けと促す。そして、めでたく恋を成就させたロクサーヌは、クリスチャンとの結婚を決める。
しかしロクサーヌに求婚していたド・ギッシュ伯爵が嫉妬し、クリスチャンとシラノを戦場に送ってしまう。そして・・・。後は、映画を観てくださいね。
何度も映画化や舞台化をされている「シラノ・ド・ベルジュラック」のミュージカル版を映画化した作品です。内容が素晴らしく良い事は、重々承知しているのですが、この映画化は、キャストが素晴らしかったと思いました。大体、シラノ役は、美しい男性が顔に特殊メイクなどをして出演するのですが、今回はシラノを、ピーター・ディンクレイジさんが演じていて、彼は軟骨発育不全による小人症で、身長が132cmなのですが、演劇を始めると、その才能が開花し、沢山の作品に出演するようになりました。
今回も、シラノ役がピッタリで、愛する人に告白出来ない苦しさを全身を使って表現していて、例え、愛する人が誰かのものになってしまっても、永遠に愛するという姿に涙が出ました。こんなに豊かなシラノは、今までには観たことがありません。元々、カッコいい人が演じている時は、醜い男と言いながらもカッコいいんです。でも、言い方が失礼になってしまうかもしれませんが、見た目がイケメンと言われる俳優さんでは無いのに、凄くカッコ良く観え始めるんです。ある所から、何て美しい人なんだろうと観えてきてしまう。それが、このシラノの素晴らしいところだと思いました。
ロクサーヌを演じているヘイリー・ベネットさんも、初々しくて素直で、コケティッシュなロクサーヌを演じていて、本当に可愛かったです。こんなに可愛かったら、みんなに愛されると思いました。心もとても美しい女性なんです。そして、クリスチャンを演じるケルビン・ハリソン・Jrさんですが、カッコいいんだけど、頭は空っぽの青年にピッタリ。でも、クリスチャンは人の気持ちには良く気が付く、良い人物なんです。本当に、キャストが良かったなぁ。もちろん、3人とも、歌も上手くて、気持ちよく観る事が出来ました。
このシラノ・ド・ベルジュラックは、やっぱり良い戯曲です。何度観ても、全く飽きないんですもん。今回も素晴らしかったなぁ。こんなにも愛する女性に尽くす男性っているんだろうか。悲しくなりました。容姿が醜くて、母親にも敬遠されていた過去があったら、心がねじくれそうだけど、凄くイイ奴で、仲間には信頼されていて、誰もが部隊では尊敬しているような人物なんです。
こんなに素晴らしい人物に成長したのは、やっぱり、ロクサーヌという従妹の存在が大きかったのかもしれません。彼女だけは、シラノに普通に接して、子供の頃から仲良くしていたようで、そんな無邪気な彼女を愛したからこそ、ひねくれる事も無く、素晴らしい男性に成長したのでしょう。だからこそ、シラノは、彼女を愛し続けたのかなと思いました。
この映画に関しては、良い作品ですとしか言いようがないです。無駄な言葉なんて必要なくて、観て欲しいの一言です。こういう良い作品を、子供の頃から観ることが出来れば、後々、エンタメ業界も栄えていくんじゃないかなと思います。子供の頃に観た作品って、忘れないですもん。私だって、子供の頃に観た”東映まんがまつり”を忘れていないし、時々、映画館が満員で、訳の分からない恐ろしいサメの映画とか観せられた記憶もあったりして、そんな子供の頃の経験が、今の映画好きの私を作っているし、お笑いサメ映画を喜んで観てしまう私も作っているのだと思うんです。
なんか思うんだけど、良い映画を何本か文部省が推薦して、小学生以下は補助が出て無料になるとか出来ないのかしら。例えば、前の方の席とか限定で、子供2人と保護者だったら無料にしてあげるとか、もっと映画文化が生活の中に入るように、子供の頃から教育してしまえば、大人になっても、映画館に通うと思うんですよねぇ。アニメだけじゃなくて、文学作品も観せてあげて欲しいなぁ。あ、邦画の文学作品は暗めなので、子供には好かれないと思いますよ。子供にも解りやすい作品を選ばないとね。
話を戻して、シラノ、良かったなぁ。本当に良かった。映像も美しいんですよ。光の使い方が絶妙で、その光の中で歌うので、感情移入してしまうんです。はぁ、また、時間を作って、観に行ってこようかしら。
そうそう、このシラノの原作者エドモン・ロスタンが主役の「シラノ・ド・ベルジュラックに会いたい!」という映画が1年半くらい前に公開されました。こちらの映画も面白かったですよ。どのように、この作品が書かれたのかという内容なので、シラノを知りたかったら、こちらの作品も観てみて欲しいです。
私は、この映画、超!超!超!お薦めしたいと思います。私は、両手を挙げて応援したい作品です。これは、誰が観ても、良いと思うんじゃないかな。子供でも、解りやすいと思います。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「シラノ」