「ブルー・バイユー」国外から養子に貰われてきたのに、何故移民法で強制送還されることになるの? | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「ブルー・バイユー」を観てきました。

 

ストーリーは、

韓国で生まれ、3歳の時に養子としてアメリカに連れてこられたアントニオ。現在はシングルマザーのキャシーと結婚して自ら家庭をもち、幸せに暮らしていた。ある時、些細なことで逮捕されたアントニオは、30年以上前の養父母による手続きの不備が発覚。移民局へと連行され、国外追放命令を受けてしまう。アントニオとキャシーは裁判を起こして異議を申し立てをしようとするが・・・。

というお話です。

 

 

アントニオ・ルブランは、妊娠中の妻キャシーと娘・ジェシーと共にニューオーリンズ郊外に住んでいます。韓国系アメリカ人であり、3歳の時に養子としてアメリカに連れてこられました。家族の為に仕事を探していますが、前科があるため雇ってもらえず、個人でタトゥースタジオを開いています。

ある日、アントニオは些細な事で警察に逮捕されてしまいます。警察官のエースは、キャシーの前夫でありジェシーの父親で、アントニオを良く思っておらず、アントニオの情報をICEに送り、彼はICE(関税執行局)に収監されてしまいます。



 

アントニオの養父母は2000年の児童市民権法に従って彼を帰化しなければならないのに怠っていたんです。このままでは、彼は韓国に強制送還されてしまいます。

アントニオとキャシーは移民弁護士を訪ね、アメリカに居られるように裁判を起こすことを考えますが、まず5000ドルが必要となり、貧しい二人には直ぐに用意出来るお金ではありません。その上、裁判が出来たとしても、訴えが失敗した場合は二度とアメリカに戻る事は出来なくなります。



 

養父母を証人として呼ぶように言われますが、アントニオは断ります。彼は養父に酷い虐待を受けていて、そこから逃げた過去があったのです。でも、背に腹は代えられません。仕方なく裁判の証人を頼みに行くと、養父は亡くなっており、養母だけが残っていました。出てくれるか分かりませんが、話はしてきました。

そして、裁判の日になるのですが・・・。後は、映画を観てくださいね。

 

アメリカでは、こんなことが起こっているんですね。この映画で初めて知りました。何となく、アメリカに養子として貰われていった子供たちは、幸せになったのだろうなぁなんて、漠然と考えていましたが、やっぱり色々な問題があるんですね。話を聞いていたら、養父母が何度も変わったというようなことを、主人公のアントニオが話していたので、難しい子だったのかもしれませんが。

 

 

アントニオは、キャシーと結婚して一緒に暮らしていますが、アメリカには戸籍などが無いので、アントニオがアメリカ人としての国籍を持っていなくてもそのままだったようなんです。そして、ある事件で逮捕された時に、国籍がアメリカに無いことが発覚し、強制送還されてしまうことになるのですが、本人は知らなかったのかしらと、ちょっと不思議に思いました。彼の経歴の中に前科があるから国籍を取るのは難しいと弁護士に言われていたので、その時に国籍の事で問題にならなかったのかしらと思いました。

 

アントニオは、養父にDVを受けていて、養父母の家から逃げたようなんです。虐待をするような養父母なので、養子の手続きなんてやっていないですよね。養父母が手続きをしていれば、何の問題もなく国籍取得が出来たのに、やっていなかったから、こんなことになったんです。でもね、養子を貰った養父母の全てが裕福なわけではなく、知識がある訳ではないので、こんな法律が決まりましたよと、国が勝手に告示か何かをしても、知らなかったり、面倒臭がったりして、やらなかったのかもしれません。何か届け出をすれば、お金がかかったでしょうからね。それに、DVで逃げ出したのでは、申告も出来ません。

 

 

裁判でアメリカ国籍をとれるようにするには、養父母の証言が必要だと弁護士に言われ、今まで音信不通にしていた養父母に、アントニオは会いに行きます。既に、養父は死んでいましたが、養母は生きていました。その昔、アントニオは、自分と一緒にDVを受けていた養母に、一緒に逃げようと言ったようですが、養母は逃げようとせず、アントニオは母親に捨てられたと思ったと言っていました。逃げる勇気が無かったのか、二人で逃げたら事件になってしまうと思ったのか。でも、養母はアントニオの事を心配していたようでした。なんで分かり合えなかったんでしょうね。難しいですね。

 

そんな養子の人々は、実はたくさんいるようで、アントニオは韓国からの養子でしたが、他の沢山の国からの養子の方々が、手続きの不備で、強制送還されることになっているようです。おかしいですよね。だって、3歳くらいの時にアメリカに連れてこられて、故郷の事は殆ど覚えていないんです。自分の国はアメリカだと思っているのに、突然に、自分の国に帰れと言われても、自分の国はここですって言いますよね。もう少し、何か手助けする手段のようなものって無いのかしら。映画の中では、裁判をして懇願するしかないと言っていましたが、それだけ?って思いました。


 

確かに、アントニオは盗みを働いたりして、悪いことをしていたので、犯罪者は国から出て行けというアメリカ側の気持ちも解らないではありません。日本だって、外国人の方が犯罪ばかりしていれば、出て行って欲しいと考えますよね。日本には、戸籍というものがあるので、結婚して日本国籍を取得してしまえば、日本から出て行けとは言えないのですが。これを悪用している人たちがいて、時々、偽装結婚で捕まっていますよね。

 

アントニオが突然に収監されてしまい、何も知らなかったキャシーは慌てます。お腹に子供がいるのに、父親がアメリカから追い出されてしまうんですから。キャシーの母親は、アントニオの事を良く思っていないようでした。彼がアジア人だからなのか、犯罪を行っていたからなのか、それについては描かれていませんでしたが、出て行ってくれて良かったというような表情をしていました。何とかアントニオを強制送還させないようにしようと、お腹に子供もいるし、キャシーの連れ子も懐いているということを裁判で訴えようと考えているのですが、そう簡単にはいきません。

 

 

キャシーの前夫が出てくるのですが、イヤな奴かと思ったら、思っていたよりも良い人でした。最初は、イヤな感じで出てくるのですが、それはキャシーと離婚する時に、娘のジェシーと会わせて貰えるという約束だったのですが、ジェシーが嫌がるので、キャシーが会わせなくなったようなんです。それで、関係がギクシャクしていたようでした。でも、最後には、和解していたようでしたよ。

 

この映画で、養子に貰われた子は、自分の国にいるよりも幸せになれたんだろうなと思っていた私には、ちょっと衝撃でした。だって、幸せにしてあげるために、他国から連れてきて養子にしたんでしょ。それなのに不幸になるなんて、と思いましたが、そのまま自国に残っていても、不幸だったのだろうから、どうなのでしょうね。それぞれの運だとしか言いようがないのかしら。それにしても、養子に来たのに、国籍が取れないって、やっぱりおかしい気がしました。

 

 

私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。とても良い映画だし、アメリカの悪い部分を描いた、問題作だと思います。この映画で、沢山の人が、こういう問題を知って、動いてくれると良いなぁと思いました。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「ブルー・バイユー」