「リング・ワンダリング」をFan’s Voice独占最速オンライン試写会にて観せていただきました。(@fansvoicejp)。
ストーリーは、
漫画家を目指す青年・草介は絶滅したニホンオオカミを題材に漫画を制作しているが、肝心のオオカミをうまく形にできずにいた。そんなある日、彼はバイト先の工事現場で、逃げ出した犬を探す女性ミドリと出会う。草介は転倒して怪我を負ったミドリを彼女の家族が営む写真館まで送り届けるが、そこはいつも目にする東京の風景とは違っていた。草介はミドリやその家族との出会いを通し、この土地で過去に起きたことを知る。
というお話です。
漫画家を目指す青年・草介は絶滅したニホンオオカミを題材に漫画を描いているが、肝心のオオカミをうまく描けず前に進めない。ニホンオオカミの痕跡を求めて入った山中で、草介はレトロなカメラを構えた少年と出会う。少年は「オオカミは、多分まだここにいる」と意味深な言葉を残して去っていく。
ある日、草介はバイト先の工事現場で、動物の頭蓋骨の一部らしきものを見つける。漫画のヒントになるかもしれないと考えた草介は、骨をこっそり持ち帰り調べるが、その正体は分からない。気になって仕方ない草介は、誰もいない夜の工事現場に向かう。
すれ違う街の人々は冬の花火大会へと繰り出している。更なる発掘を続けていると、飼い犬のシロを探しに来たミドリと遭遇するが、驚いた彼女は転倒し足を怪我してしまう。歩けないミドリを、彼女の家族が営む写真館まで送り届けると、そこはいつも見る東京の風景とは違っていた。
ミドリの家で一時を過ごし、家路に着く草介。すると、花火の音が聞こえる。やっぱり今日は花火の日だったと思い出し家路を急ぐ。後日、工事現場で犬の首輪のようなものが掘り出され、もしかしたら、ミドリが探していたシロという犬ではないかと思い、首輪と骨を持って、ミドリの家を訪ねようとするが・・・。後は、映画を観てくださいね。
漫画家を目指す草介は、結構、こだわりが強い性格のようで、自分が描くニホンオオカミに自信が持てないんです。何度描いても、ニホンオオカミにならないから、本物はいないと解っていても、山の中とかを探し回っているんです。そんな時、出会った少年が、オオカミはいると思うよと言って消えていく。ここからお話が始まるんです。
工事現場で掘っていたら、犬の骨らしきものが出てきます。普通なら、何か出てきたら工事監督に申告しなければいけないんですけど、草介はこっそりと隠してしまいます。その骨、何となく鼻筋に段差が無く、ニホンオオカミの特徴を捉えていたからなんです。家に帰って、骨の事を調べると、やっぱりニホンオオカミの特徴に酷似しているので、もっと骨が残っているのではないかと、夜遅くに工事現場に戻り、再度、掘り出していると、そこに女性が現れます。
ミドリという女性は、犬を探しに来たようで、草介の姿に驚いて転倒し、足をくじいてしまいます。そんな出会いから、ミドリを家に送って行くと、写真館で、ご両親と一緒に食事を振る舞われます。出てきたのは柳川鍋。ドジョウ鍋です。ええ~!普通の家でもドジョウって食べるんだって驚きましたが、映画の中の草介も驚いていて、初めて食べると言っていました。昔は、普通の家でも食べたんですかね。東京の浅草の辺りでは、お店も多いので、普通だったのかもしれませんね。私は、昔、魚やさんにドジョウが売っていたので、買って来て、家の池に放した事があります。親に怒られましたが・・・。でも、いつの間にかいなくなっていたから、鯉に食べられちゃったのかな。
柳川鍋をごちそうになって、ミドリの家から帰ります。何かおかしいなぁと思いながらも、その時は、何も考えずに家に帰るんです。それがタイムリープしているとは気が付かず、楽しい一時を過ごして、現在に戻ったようでした。
ここまでは、序章と言って良いのかな。この後に、タイムリープしていた事に気が付くのですが、東京の至る所に眠る人々の思いや、回想などが、彼のニホンオオカミに会いたいという願いに呼応するように現れたのかなという感じでした。ニホンオオカミも、忘れられ消えてしまった過去だし、東京に眠る人々も、忘れられた過去なので、全てが繋がったのだと思いました。
考えてみれば、現在、普通に歩いている場所も、住んでいるマンションも、人が住んでいて、空襲で焼け野原になってしまった跡なんですよね。桜の木の下には死体があると言うけれど、東京は、何処でも誰かの哀しい思い出が埋まっているんじゃないかな。たまたま桜の木が植えられていたからそう言われただけなのだと思います。そんな過去を忘れ、生きている私たちだけど、時々、過去は私たちの横をすり抜けて歩いているのかもしれません。気が付かないだけなのかも。
いつまでも過去に囚われる必要は無いと思うし、新しい生き方を見つけて前に進んで行けばよいと思いますが、時々は、懐かしいノスタルジーに浸るのも良いのではないでしょうか。セカセカした世界だけじゃなく、少しゆったりした時間を過ごして、今は居なくなってしまったニホンオオカミに思いを馳せるのも、素敵かもしれません。
映画の途中に、草介が描いている漫画が実写化されて、組み込まれています。草介が想像して描いた漫画なので、主人公は草介の分身なのかなと思いました。ちょっと、突然に組み込まれているので、イマイチ、この漫画部分の理解に苦しみました。漫画の主人公は、マタギでニホンオオカミを追っているという設定でした。ちょっとここだけ消化不良でした。
この映画、何がどうなる訳ではないのですが、何となく、この街に残っている空気が、彼を過去に連れて行って、”忘れないで”と囁いたのかなと思いました。とても優しい映画でした。観た後、気持ちよくなる感じがしました。
あ、気持ちよくなったのは、最後の”もふもふ”があったからかもしれません。何がもふもふなのかは、映画を観てのお楽しみです。最後に、私、凄く嬉しくなっちゃったもん。私も”もふもふ”したくなりました。そうよねぇ、そんな事も、あるかもしれないわよねぇ。(*・ω・)(*-ω-)(*・ω・)(*-ω-)ウンウン♪私も、草介の横に転がりたいです。
草介役の笠松さん、良い味を出す役者さんですよねぇ。イケメンという感じではないのだけど、どこか目を離せない感がある。系統でいうと、柄本佑さん系かしら。今までも良かったけど、これからも様々な役をこなしていける、面白い役者さんですよね。楽しみです。好きです。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。単館系の映画で、上映館が少ないので、観て欲しいんだけど、困っちゃいますね。映画としては、面白かったと思います。雰囲気も良い映画でした。ちょっと漫画実写部分が、私は引っかかったけど、それ以外は、好きなタイプの作品でした。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「リング・ワンダリング」