「ザ・ユナイテッド・ステイツvsビリー・ホリデイ」彼女の人生は国に潰されたようなもんです。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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「ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ」をFan’s Voice独占最速オンライン試写会にて観せていただきました。(@fansvoicejp)。

 

ストーリーは、

1940年代、人種差別の撤廃を求める声が高まっていた時代。合衆国政府から反乱の芽を潰すよう命じられたFBIは、絶大な人気を誇る黒人ジャズシンガー、ビリー・ホリデイの大ヒット曲「奇妙な果実」が人々を扇動すると危険視する。おとりとしてビリーのもとに送り込まれた黒人捜査官ジミー・フレッチャーは、肌の色や身分の違いも越え人々を魅了し、逆境に立つほど輝く彼女のステージに惹かれていく。しかし、その先には、FBIの仕かけた罠や陰謀が待ち受けていた。

というお話です。

 

 

1947年、ジャズ・シンガーのビリー・ホリディは人気の絶頂にいた。白人と黒人が同席出来る、当時のアメリカでは珍しいニューヨークのクラブ”カフェ・ソサエティ”で、夜毎圧巻のパフォーマンスを繰り広げていたのだ。

そんな中、ビリーは夫のモンローとマネージャーから、「奇妙な果実」は歌うなと言い渡される。黒人差別を告発する楽曲で、ビリーは「私には大切な唄」だと抗議するが、モンローからは文句を言うなと押さえつけられる。モンローは、人種差別の撤廃を求める公民権運動を煽ると言われている「奇妙な果実」を危険視していた、連邦麻薬取締局のアンスリンガーから、歌わせないよう圧力をかけられていたのだ。

 

だが、歌うだけでは逮捕できない。アンスリンガーは、ビリーを麻薬使用の罪で追い込もうと罠を仕掛ける。ビリーに仕掛けた最初の罠は、おとり捜査だった。黒人捜査官のジミー・フレッチャーが、ビリーの熱れつなファンを装ってステージに通いつめ、楽屋を訪ねるなどして身辺調査を進めたのだ。そして、ビリーはジミーによって現行犯逮捕される。ビリーは裁判で懲役1年と1日の判決を受け、ジミーは黒人初の連邦捜査官へと出世する。

 


 

ジミーには麻薬から黒人社会を救うという理想があったが、息子の手による逮捕を知った母親から、「あの歌を歌う勇気のある黒人は他にいない」と責められる。さらに、ビリーのスタイリストで親友のミス・フレディから、ビリーの辛い生い立ちを聞かされる。裕福な家庭に育ったジミーには想像もつかない人生だった。ビリーの歌と人間性を知れば知る程、その魅力に心を奪われていく。自分の行いを悔いたジミーは、アンスリンガーから、今度はビリーに面会して騙せと命令されるが、「今後は誰も信じないで。出所後に罠を仕掛け、また私に逮捕させる気だ。」とビリーに忠告するのだった。

1948年、出所したビリーはカーネギー・ホールでコンサートを開き、待ちわびた人々に、熱狂的に迎えられ大成功を収める。だが、連邦麻薬取締局からニューヨークでの労働許可証を取り上げられてしまう。窮地に陥ったビリーは、ショービジネス界にコネのあるジョン・レヴィを頼ってステージを続けるが、あらゆることでジョンの支配下に置かれることになる。

 

アンスリンガーの次なる手は、そのジョンを使っての罠だった。しかし、ジミーの証言で、ビリーの容疑は晴れる。ビリーはジョンと手を切り、全米ツアーへと旅立つ。アンスリンガーの指示で、ジミーはツアーを追いかけるが、もはや心はビリーへの愛と憧れに満ちていた。1949年、ビリーは南部で「奇妙な果実」を熱唱し、「KKKに対抗。南部で勇気ある行動」と称えられる。焦ったアンスリンガーは、さらなる非常な罠を仕掛けるのだったが。 後は、映画を観てくださいね。

 

 

ビリー・ホリデイさんって、名前は聞いたことあるけど、よく知らないんですよね。有名な歌手の方だった事は知っていたのですが、うーん、歌は、きっと聞いたことはあると思うんだけど、その歌がビリーさんの歌だとは認識していなかったと思います。

 

そんなビリー・ホリデイさんの伝記映画、凄かったです。こんな時代だったんですね。差別が色濃く残っていて、黒人はエレベーターにも乗れない、レストランにも入れないなど、映画「グリーンブック」でも描かれていましたが、どんなに素晴らしい才能がある人でも、黒人であるというだけで差別されてしまうという時代だったんです。

 

ビリーさんは、貧しい生まれで苦労をしたようですが、10代の頃から歌を歌い始め、成功したようでした。映画では、既に成功して、夫と仲間と共に、興行を続けているというところから始まります。彼女の歌声は白人をも魅了し、大人気となっていますが、彼女が歌う「奇妙な果実」という歌が問題となります。

 

 

この「奇妙な果実」という歌の内容ですが、その時代、南部では黒人差別が酷く、KKKがはびこっているような時代で、黒人の家が襲撃され、周りの木に吊るされている情景を歌っています。木に吊るされた黒人の死体は、まるで果実のように揺れているというんです。残酷で恐ろしい歌でしょ。この歌が、差別反対の運動を煽るからという事で、歌わせないようにしようと、政府やFBIが動き出すんです。

 

でも、歌をうたうだけじゃ逮捕出来ないから、その時代、麻薬もはびこっていたので、麻薬取締局のアンスリンガーという人物が、麻薬所持ということで、ビリーを逮捕するんです。映画の中でも描かれていますが、実際にも、本当に麻薬を仕込んで逮捕したりという事をしていたそうです。汚いことしますよね。

 

 

それでも、ビリーさんは歌をうたい続けるのですが、最後の最後まで、麻薬取締局とは闘っていましたね。というか、殺されたようなもんです。酷いと思いました。この時代だからでしょうけど、今も、まだ、白人警官が黒人の青年を殺したりというニュースがあるので、根本的な差別の解決は出来ていないのでしょう。映画の最後にテロップで、米国での黒人差別に関しての法案が起案されてはいるけど可決していないという事が書かれていました。まだまだ、問題は大きいようです。

 

どんな世界にでも差別はあるので、ある程度は仕方がないとは思いますが、それでも差別は無い方が良いですよね。ただね、差別をしてしまう気持ちは理解出来るんです。長い年月、ずっと奴隷として使ってきた黒人を同等に考えるのは古い方々には難しいだろうし、その古い考え方を教え込まれてきた子供たちも、そう簡単には、考え方を変えられないのだろうと思います。それに、黒人の方々から、能力の高い方が出てくると、自分たちの下だったのにという妬みもあるのだと思います。もちろん、同じ人間なのだからという考えで、差別を無くした人々も現代では多いと思いますが、このビリーさんの時代には、まだまだ、大変だったんです。

 

 

ビリーさんは、素晴らしい歌手だったけど、彼女を食いモノにする人とばかり組んでいたように見えました。いつも男が近づいてきて、彼女に歌わせて、お金を持って行っちゃうんです。この時代、黒人差別も強かったけど、女性は男性の所有物という考え方も強かったように見えました。女性だけで興行の手配などをするのは、難しかったのだと思います。金儲けの部分は男性の領域という感じで、男にお小遣い程度しか貰えず、悔しい思いをしていたと思うけど、それでも歌って行くには、男と組むしかなかったのだと思いました。本当にイヤな時代ですね。

 

そんな生き方だったので、お酒を凄く飲んでいたようで、肝硬変から腎不全になり、それでも煙草を吸っていたようで、身体はボロボロみたいでした。まだ44歳で亡くなったそうです。まだまだ、これからという年齢なのに、残念です。映画を観た後、YouTubeでビリーさんの歌声を聴いてみましたが、いい声ですね。この映画でビリーを演じているアンドラ・デイさんの歌も素晴らしかったですが、ちょっと声の雰囲気が違いました。ビリーさんのジャズ、これから少し、聞いてみようかな。

 

 

私は、この映画、お薦めしたいと思います。ビリー・ホリデイさんを知っている方はもちろん、私のように、全く知らなくても、この人が素晴らしい声を持っていながら、不幸な人生を送ったということを知ることが出来ました。黒人の方の伝記だと、どうしても差別とは切り離せないので、観ていて辛くなります。彼女の人生を長く描くので、要点だけを描いて何年後というように時間が飛ぶので、ちょっと解り難い部分もありました。彼女と付き合う男性がどんどん変わるので、私はちょっと混乱しました。でも、面白かったです。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ」