「国境の夜想曲」良い邦題が付きましたね。内容が伝わると思います。衝撃のドキュメンタリー映画です。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

「国境の夜想曲」をFan’s Voice独占最速試写会にて観せていただきました。(@fansvoicejp)

 

ドキュメンタリー映画なので内容は、

 

3年以上の歳月をかけ、イラク、クルディスタン、シリア、レバノンの国境地帯で撮影したドキュメンタリー。9・11米同時多発テロやアラブの春、そしてアメリカのアフガニスタンからの撤退。さまざまな情勢によって巻き起こる侵略、圧政、テロリズムなどにより、多くの人々が犠牲となり、数多の痛みに満ちた土地を、ロージ監督は通訳も伴わずにひとりで旅をした。ロージ監督が旅の中で見聞きしたものを通し、暗闇の中に一条の希望を見いだし生きようとする者たちの姿を浮かび上がらせる。

 

 

哀悼歌
かつて牢獄として使われたであろう小部屋の中、女性たちが亡き家族の痕跡を探し、嘆き悲しむ。息子を失った母親が哀悼歌を歌い上げる。
釣り人
油田の炎が夜空を染める中、遠くに銃声が響く。バイクを川辺に止め、小舟に乗り込み川を下り、男は釣りの仕掛けを投げ入れる。銃声と隣り合わせに毎日の糧を得る方法。
恋人たち
活気あふれる夜景を見下ろし、シーシャ(水たばこ)を嗜むカップル。部屋で正装に着替え、太鼓を片手に詠いながら、男性は夜の街をねり歩く。

 


 

ペシュメルガ
自分たちの国を持たないクルド人たちの自治区の治安部隊ペシュメルガ。ISISの襲撃を見張りつつ、クルドの独立を目指す。一時も休まらずに、銃を構え続ける兵士たち。
精神病棟での演劇
精神科病楝。患者たちが芝居の練習をしている。祖国で起こった悲劇を描いたシナリオ。「我々は祖国を売らない」
少年
夜明け前から家族のために、海で魚を捕らえ、草原で猟をする少年。時には猟師のガイドをして日銭も稼ぐ。幼い兄弟たちが起きてきたころ、また少年は眠りにつく。自分の時間などない生活。


 

難民キャンプ
アメリカ国旗がたなびく難民キャンプでは子供たちの声が飛び交う。また今日も、新たな家族がやってくる。
子供たちの記憶
まだ幼いヤジディ教の子供たちが描いた絵。「夜眠れなくなるの」ISISに襲われた記憶を語る。「もう大丈夫、ここは安全よ」と語りかけるカウンセラー。
囚人たち

オレンジ色の囚人服を着た大勢の男たち。高い壁に囲まれた刑務所の広場の中で、思い思いに歩き、身体を伸ばす。そんな時間もつかの間、また、暗い部屋で折り重なるように身をひそめる。
娘のメッセージ
ISISに連れ去られた娘が残した音声メッセージ。「すごく怖い」「これが最後かもしれない」スマートフォンの中に残された音声を、涙をぬぐいながら何度も聞き続ける母親。

 


 

それぞれの国境地帯で、それでも生きていく人々の生活が映し出される。(公式HPより)

というお話です。

 

この映画、一昨年の東京国際映画祭で上映されたのですが、他のプログラムとかち合っていて、どうしても観れずに残念だと思っていた作品です。日本公開してくれることになって良かったです。

 

国境地帯を監督が歩いて、沢山の人々の生活を撮影しながら、思いや哀しみ、苦しみを映像に収めた作品です。音楽が全く無くて、本当にそれぞれの生活音が流れてくるだけなんです。静寂だと、全く音が無い映像なので、本当の事言って、途中で眠くなりました。だって、心地良い音だけのところもあるんですもん。

 

 

映画が始まると、兵士たちの訓練所が映ります。画枠に兵士が入ってくると、凄く大きな音で、掛け声と土を踏む音が聞こえて、ドキッとしました。音の使い方が独特で、バイクが走っている場面も、バイク音がとても大きいんです。それも、エンジンが悪そうな音なので、とても不快なんです。でも、バイクが止まると、水の音が聞こえたり、風の音が聞こえたりと、そのメリハリが素敵だなって思いました。なので、途中でちょっとだけウトウトしても、音でドキッとして直ぐに起きるんです。(笑)

 

あらすじにも書きましたが、あまり幸せそうな映像はありません。人間の澱(オリ)を集めた様な映像でした。色々な出来事があって、それにより不幸を背負った人々、上澄みの人々が去って、何かを背負って重くなり沈殿した人々を追って行く内容です。

 

 

牢獄で亡くなった息子を想い泣く母親のお話や、銃声が響く中でも生活の為に食料を取りに行く男や、家族の為に休む間もなく働く少年や、囚人たちが狭い部屋で寝る場所も無く座って寝ている様子など、これが日常とは思えないような映像でした。

 

幾つも驚くような映像があるんだけど、1つは、刑務所の囚人たちが、学校の教室ぐらいの大きさの部屋に、何十人も入れられて、一人一人が座ったらみっちりになっちゃうような状態で幽閉されていた様子かな。よく撮影させて貰えたなぁと思って、ビックリでした。マジでみっちりなんですよ。みんな体育座りをして、余裕が無いんです。恐いよねぇ。あんな状態で、今も同じなら、全員コロナにかかって死んでますよ。

 

 

娘がISISに連れ去られ、娘が母親に当てて残した音声メッセージを何度も涙ぐみながら聞いている様子もあり、悲しいだろうなぁと何とも言えない気持ちになりました。どんな目にあったのか、生きているのか、全く分からないのでは、諦めがつきませんよね。

 

子供たちの映像もあるのですが、子供の頃にISISなどに襲われた恐い経験があると、どんなに安全な場所に保護しても、そのショックは簡単には消えないという事が証明されていました。絵を描くと、そこには消すことが出来ない恐怖が描かれてしまうんです。本当にやるせない気持ちになりました。

 

ちょっと普通では目に出来ないような映像が、この映画では観る事が出来ます。同じ世界に生きていながら、こんなにも生き方が違うのかと驚くと思います。銃声が鳴り響く場所で魚を取るとか、あり得ないでしょ。だって、いつその銃弾が飛んでくるかわからないんですから。恐ろしい地域が、まだ地球にはあるんです。

 

 

私は、この映画、お薦めしたいと思います。驚くようなドキュメンタリー映画ですが、音楽が一切無く、生活音のみで、じっくりと描いて行く映画なので、無音の時は眠くなります。でも、突然に大きな音が鳴ったりするので、起きるとは思います。ウトウト、(音)、ドキッ!という感じが、何度も続くと思ってください。そこらのドキュメンタリー映画とは違い、ヤラセは無いと思います。衝撃作ですよ。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「国境の夜想曲」