「偽りのないhappy end」を観てきました。
ストーリーは、
中学を卒業後に上京したエイミは、故郷の滋賀で暮らす妹のユウに東京での生活を勧める。最初は拒みながらも、なぜか急に東京に来ることを受け入れたユウだったが、引っ越し早々に行方不明になってしまう。そんな中、エイミは同じく妹が行方不明になっているヒヨリと出会う。やがて地元の琵琶湖で若い女性の遺体が見つかったとの連絡が警察からエイミに入るが、その遺体はユウではなくヒヨリの妹だった。
というお話です。
中学卒業後に故郷の滋賀を離れて以降、東京に住んでいるエイミ。母が亡くなり、葬式に帰省したエイミだが、実家に居たくないようで、直ぐに東京に帰ってしまう。
一人で滋賀にいる妹ユウの事を心配しているが、自分は滋賀に帰る気は無く、ユウに東京に来て一緒に暮らそうと提案をする。ユウは嫌そうだったが、姉に強く言われ、東京のエイミの家で一緒に住むこととなる。
東京で一緒に暮らし始めたユウだが、ある日、突然にフッと姿を消してしまう。ユウの身を案じるエイミは、警察に相談するが、その内帰ってくるだろうと言われてしまい、尋ね人の貼り紙を貼り始めるのだった。
そんなエイミの前に、同じく妹が行方不明になったというヒヨリが現れる。彼女も必死で妹を探していたのだ。やがて警察から琵琶湖で女性の遺体が発見されたと知らされて確認に向かうが、その遺体はヒヨリの妹だった。
エイミとヒヨリは、協力して犯人を探そうと調査を始める。すると滋賀の秘密売春クラブの前で、ヒヨリの妹が写っている写真がSNSに投稿された。ヒヨリはその店に怒鳴り込むが、何の証拠もなく、ヒヨリの妹の事は知らないと経営者は言う。仕方なく帰ろうとするが、ヒヨリの妹とエイミの妹が一緒に店の前で写った写真を見つけてしまう。そして・・・。後は、映画を観てくださいね。
この映画、家族でも、本当姿を全く知らず、知ろうともしなかったことが、転落の原因になるという事が描かれていて、普通のヒューマンドラマかなと思っていたのですが、ちょっとホラーでした。ゾンビとかのホラーじゃなくて、人間って怖いなぁってホラーです。
映画が始まってすぐは、滋賀に一人で住んでいる妹・ユウという子が主人公かなというような感じでした。母親が亡くなって、東京に出ているエイミが帰ってくるのですが、自宅に居たくないようで、直ぐに帰ってしまい、四十九日の法要にも忙しいと言って、帰ってこないんです。酷い娘だなぁと思うのですが、中学卒業時に東京に一人で出て行って、全く帰ってこないというので、これは何かあるのかなと思いました。普通なら、大学で東京に出るとかでしょ。
高校生のユウが、一人で滋賀の一軒家に住んでいるのは危険だと言って、エイミはユウに東京で一緒に暮らそうと何度も話します。ユウは、東京に行く気は無かったのですが、あまりにもエイミが言うので、東京に引っ越すことにします。ここで、既に、ユウは何か考えがあっての事のように見えました。
そして、エイミのそれ程広くないアパートかマンションに、一緒に住むようになります。でも、滋賀の家のように広くはないので、ほとんどプライバシーが無いような状態なので、高校を卒業して仕事も無いユウは、エイミが仕事で出ている間、外に出て、友人と会ったり、ふらふらとしていたようでした。
東京に連れて来て、その後の姿を見ていて、この自分勝手な姉エイミは、全く妹の気持ちなど考えていないんだなと思いました。連れてくるなら、その前にゆっくり話し合う必要があるし、妹の考えも聞くべきでしょ。でも、全く聞いている素振りが無いんです。これは、きっと妹からしっぺ返しをされるだろうなぁと思っていたら、案の定、しばらくしたら、フッと妹のユウは姿を消してしまいます。
私は、そりゃそうだろうなぁと思ったけど、エイミは、狂ったように妹を探し始めるんです。心配なんだろうけど、でも、ちょっとうがった見方をすると、妹が消えて、探さないと体裁が悪いと思ったんじゃないかな。警察だって、高校を卒業した年齢の一人の女性なら、一応、捜索願は受け付けるけど、真剣には探してくれないでしょ。当たり前だと思います。だって、もう一人で生活していけるんだから。
狂ったように探し回り、ユウの友人だという子に話を聞いたりして、手掛かりを探して行くと、エイミが知っているユウとは全く違う姿が見えてくるんです。そして、一人の女性の遺体が、滋賀で見つかります。これは、ユウではありませんが、エイミと一緒に妹を探していたヒヨリの妹の遺体でした。自殺だったようです。
そこから、この映画の雰囲気というか、色がガラッと変わっていきます。それまでは、普通に妹を探す女性たちの交流や、謎解きの様相だったのですが、ヒヨリの妹の遺体が見つかったところから、今度は、彼女を殺した相手を探して報復するという考え方に変わっていくんです。どんどん、恐い方向に行ってしまい、驚くような結末に辿り着くことになります。
なんだか、最初に描いていた、同じ家族でも本当の姿を全く見ていない、というヒューマンドラマが、復讐のサスペンス映画っぽくなってしまうんです。ちょっと、この展開に驚きました。だって、ヒヨリの妹は、確かに遺体で見つかったけど、自殺と断定されるし、エイミの妹ユウに関しては、全く見つかっていなくて、手掛かりも、滋賀に居た時はこんな事をしていたという過去だけで、現在の足取りは、一切見つけられていないんですよ。うーん、観ていて戸惑いました。
エイミの過去にも問題があり、それがあって滋賀の実家に帰ってくるのを嫌がっていたのですが、この映画のエイミを観ていると、自分は不幸で可哀想だから、何をやっても許されると思っているような節があるんです。妹のユウに対しても、一応、彼女の事を思ってやっているような素振りなんだけど、はっきり言って、自分の思い通りにさせる為に、誘導しているようにしか、私には見えなかったんです。なので、ユウが消えた時、当たり前だろうと思いました。
真剣に妹の事を考えての行動なら、もっと妹の話を聞いていたハズです。私は、一人っ子なので、姉妹の感じって解からないのですが、あまり話合ったりはしないのかな。困った時には助け合うとかしないのかしら。この映画で言えば、母親が亡くなった時に、しばらく妹のそばに居るとか、仕事が休めないようなら、直ぐに東京に連れてくるのではなくて、様子を見て、東京に遊びに来させるとか、コミュニケーションを取れば良かったのにと思いました。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。ちょっと驚くような展開があるけど、目新しくて楽しめました。復讐の話になってからは、ちょっと怖い話になるのですが、それを解かって観て欲しいかな。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「偽りのないhappy end」