「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊」を観てきました。
ストーリーは、
国際問題からアート、ファッション、グルメに至るまで深く切り込んだ記事で人気を集めるフレンチ・ディスパッチ誌。編集長アーサー・ハウイッツァー・Jr.のもとには、向こう見ずな自転車レポーターのサゼラック、批評家で編年史家のベレンセン、孤高のエッセイストのクレメンツら、ひと癖もふた癖もある才能豊かなジャーナリストたちがそろう。ところがある日、編集長が仕事中に急死し、遺言によって廃刊が決定してしまう。
というお話です。
物語の舞台は、20世紀フランスの架空の街にある「フレンチ・ディスパッチ」誌の編集部。米国新聞社の支社が発行する雑誌で、アメリカ生まれの名物編集長が集めた一癖も二癖もある才能豊かな記者たちが活躍。国際問題からアート、ファッションから美食に至るまで深く斬り込んだ唯一無二の記事で人気を獲得している。
ところが、編集長が仕事中に心臓まひで急死、彼の遺言によって廃刊が決まる。果たして、何が飛び出すか分からない編集長の追悼号にして最終号の、思いがけないほどおかしく、思いがけないほど泣ける、その全貌とは?
とりあえず
自転車レポーターによる記事。
編集長が愛した街アンニュイ=シェーループラゼを自転車で一巡りして紹介するレポート。
ストーリー1
美術界を知り尽くすK.L.ベレンセンによる記事。
殺人犯のモーゼス・ローゼンターラーは、懲役11年目に突然、絵筆をとり、自分の看守シモーヌをモデルに絵を描き始める。彼の絵は、瞬く間に有名になるが、ある時から1作品にかかりきりになる。その絵と、彼の創作意欲を支え続けたシモーヌとの関係は・・・。
ストーリー2
ジャーナリスト魂を貫くルシンダ・クレメンツのペンによる記事。
アンニュイの街から、学生運動が勃発。リーダーのゼフィレッリ・Bは、両親の友人のルシンダに宣言書の校正を頼む。ルシンダは学生運動の記事を書くために彼を取材する。ゼフィレッリの恋の行方と、海賊電波塔の事件を記事に。
ストーリー3
孤独なローバック・ライトによる記事。
その夜、警察署長のお抱えシェフを取材予定だったが、署長の一人息子が誘拐され、犯人は3日前に逮捕されたギャング組織の会計士アバカスを釈放か処刑しなければ息子を殺すと脅してきた。署長はとりあえず食事を差し入れると言って、お抱えシェフと食材を立て籠もった場所に送るのだが・・・。
そして、車内での打合せが始まった。編集長の追悼が始まり、「フレンチ・ディスパッチ」は、廃刊を迎える。後は、映画を観てくださいね。
この映画、どう感想を伝えたらいいんだろう。何となく~って感じの映画で、いかにもウェス・アンダーソン監督の世界という感じでした。と書くと、監督をみんなが知っている訳じゃないと言われちゃうかもしれませんが、この映画は、この監督だからこその世界なので、知らないと言われても知ったこっちゃありません。ウェス監督は、好き勝手に作っていて、それが、何故か、とってもおしゃれにまとまってしまうのです。
ライフ・アクアティックや、ザ・ロイヤル・テネンバウムもそうなのですが、日常を描いていながら、全く日常じゃないんです。とっても変な事をしているんだけど、でも、映画の中では、日常としてやっているから、観ているこちらは、ふーん?と思って、受け入れてしまう。それがイイんですよねぇ。そして、やってることが、とんでもなく酷かったりしたとしても、何故か、それがおしゃれに見えるんです。この感覚は、なんなんでしょうね。私は、この”もわわ~ん”って感じが凄く好きで、今作でも、観ながら、幸せに浸っていました。
そう、映画を観ながら、その世界に浸れる映画なんですよねぇ。例えば、全く意味が無さそうに見える行動でも、意味が理解出来ない出来事でも、”まぁ、そんなもんじゃないのぉ~?”って思えてしまう映画なんです。空気が緩くて、温かい感じなんですよ。
そして、独特な色使いが美しいんです。名優たちが、おかしな事を演じているんだけど、周りとのコントラストや、ビビット&ペール色の使い分け、レトロに見せたり、モノクロにしたり、時々、アニメにしたりと、色々な手法を使って、目を楽しませることもしてくれるんです。それも楽しいんですよね。
だから、この映画で、マトモに人物の観察をしたり、心情を解説したり、そんな事をすると”ヤボ”になるんです。これは、これでイイんだよ~って感じでゆるく観ていないと、まるっきり、映画の良さを理解出来ないんですよ。きっと、このゆるさが、名優にも好かれている部分じゃないのかな。きちっと脚本があり、演出があり、決まったセリフ以外は喋らないでという感じでは、この面白さは出ないんじゃないかな。
今回は、どのストーリーも面白かったけど、ストーリー3の、警察署長の息子誘拐事件が面白かったな。一部は実写で、一部はアニメで描かれているんだけど、上手く組み合わせているんです。追いかけっことかは、まるで古いコントになっていて、観ていて飽きないんです。凄くシュールでブラックな内容で、シェフが無事で良かった~みたいな、何故、息子が誘拐されたのに、シェフが危ないんだって感じなんだけど、それが面白いんです。
きっと、人気なのは、レア・セドゥが看守役をしているストーリー1なんだろうと思うけど。これは、面白いというより、レア・セドゥのヌードが美しいという感じかしら。
細かく書き始めると、ずーっと書き続けてしまいそうなので、辞めますが、この映画、ずーっと何度も観ていても、飽きないでいられそうな気がしました。観る度に、新しい発見が出来そうなんですもん。きっと、DVDが出たら購入しちゃうと思います。というか、ウェス監督作品は、ほとんど持っているんですけどね。
私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。但し、意味不明な進み方でも、文句を言わずに観ていられる方に限られるかな。ウェス監督の良さって、解る人と、どうしても受け入れられない人がいると思うので、好き嫌いがあると思います。それを解かって、ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊」