「さがす」を観てきました。
ストーリーは、
大阪の下町に暮らす原田智と中学生の娘・楓。「指名手配中の連続殺人犯見たんや。」と言う智の言葉を、楓はいつもの冗談だと聞き流していた。しかし、その翌朝、智が忽然と姿を消す。警察からも「大人の失踪は結末が決まっている」と相手にされない中、必死に父親の行方を捜す楓。ある日雇い現場の作業員に父の名前を見つけた楓だったが、その人物は父とは違う、まったく知らない若い男だった。失意に沈む中、連続殺人犯の指名手配チラシが目に入った楓。そこには、日雇い現場で出会った、あの若い男の顔があった。
というお話です。
大阪の下町で平穏に暮らす原田智と中学生の娘・楓。「お父ちゃんな、指名手配中の連続殺人犯見たんや。捕まえたら300万もらえるで。」と話す父。いつもの冗談だと思い、相手にしない楓。しかし、その翌朝、智は煙のように姿を消してしまう。
ひとり残された楓は孤独と不安を押し殺し、中学校の先生に事情を話して父をさがし始めるが、警察でも「大人の失踪は結末が決まっている」と相手にもされない。チラシを作って撒きはじめると、父からメールで”探さないでください。”と連絡が入る。
それでも必死に手掛かりを求めていくと、日雇い現場に父の名前があることを知る。「お父ちゃん!」と近づくが、その声に振り向いたのはまったく知らない若い男だった。
父が見つからない、失意に打ちひしがれる中、無造作に貼られた「連続殺人犯」の指名手配チラシを見ると、そこには日雇い現場で振り向いた若い男の顔写真があった。「お父ちゃんが言っていた男・・・」先日、父親が話していた事を思い出した楓は、まさかアイツを捕まえに行って・・・。後は、映画を観てくださいね。
この映画、感想が難しい~!素晴らしい映画過ぎて、前半の部分だけ書いたのでは、素晴らしさは伝わらないんです。でもね、ネタバレすると、これから観る方は面白くないだろうからしたくないのよ。うーん、なので、私は頑張ってネタバレせずに良さを伝えられるように頑張ってみますね。
大阪の下町で、父子家庭で暮らす中学生の楓。ある日、父親が万引きをして、呼び出されるんです。スーパーの事務室で店長と警察に囲まれて、イジイジしている父親の智は、どう見ても、昼から酒を飲んで、ブラブラしているようなオヤジの感じ。こんな父親じゃ、楓は大変だろうなぁという感じなんです。
そんな智が、ある時、楓に、「指名手配犯を電車の中で見つけた」と言うんです。そいつを捕まえれば、懸賞金の300万円が貰えるからって、言うんですけど、まさか、何を言ってんだ、このオヤジって楓は思っちゃって、ほおっておくんです。すると、次の日から父親がいなくなり、行方不明になってしまいます。
そして、楓は必死で父親を探すのですが見つからず、警察に言っても何もしてくれず、学校の先生は手伝ってくれたけど、父親が帰ってこないと解ると、施設の人を連れてくるんです。楓は、そんなのを蹴散らしながら、必死で父親を探して行くと、ある工事現場で原田智の名前を見つけ、行ってみると、指名手配犯が父親の名前を語って働いていました。この時点で、智は指名手配犯に殺されて、全て入れ替わられてしまったのかなと思いますよね。きっと、楓もそう思ったと思います。
楓は、指名手配犯の山内照巳を追いかけるのですが、逃げられてしまい、山内から剥ぎ取ったズボンから見つけた手掛かりを元に、男を探し始めます。楓は、父親を探しているんだけど、何故か、山内を追い始めるんです。映画を素直に観ていると、父親の名前を語った山内を捕まえて、父親はどうしたのかを聞くために捕まえに行くんだろうというシチュエーションなんですよね。確かに、それで辻褄は合っていくんです。
そして、今度、後半は、父親の原田智の目線からの物語が紡がれ始めるんですよ。これが、上手いんです。よくここまで噛み合わせたなと言うほどに、話しが出来上がっていました。プロットがしっかり組まれているのでしょうね。何故、智が、指名手配犯を見たと言った後に、行方不明になってしまったのか。そして、メールで”探さないでくれ”と送ってきたのは何故なのか。大体、智は生きているのかということが、ここから描かれていきます。
あまりにも、完璧に作られていて、楓が、結局、何を探して、何を見つけたのかというのが、この映画の「さがす」なのですが、やっぱり、子供は良く見ていますよ。親は、子供には何も解らないだろうと思っているけど、子供はちゃんと理解をしているんです。あえて口には出さないけど、父親の苦しみや色々な事を理解していて、その上で、父親を愛しているんです。そんな事が描かれていて、感動でした。「親の心 子知らず」と言うけれど、反対に「子の心 親知らず」でもあるんです。
いやぁ、凄い映画でした。これは、今年のベストに入ってくるだろうな。佐藤さんも上手いけど、楓役の伊東さんが素晴らしかった。他の作品でも気になったけど、この作品で、誰もが使いたい女優と思われるんじゃないかしら。これは素晴らしかったです。そして、私、清水さんも好きなんですよねぇ。子役から出てらしたけど、独特な雰囲気があって良い雰囲気に成長してくれました。これからも楽しみです。もう一人、ある重要な役で森田さんが出演されているのですが、彼女、”全裸監督”の黒木薫役の方だったんですね。驚きました。彼女も上手かったです。
とにかく、この映画、本当によく練られていて、まるで細密画を映画にしたように思えて、最後は感動だけじゃなく、拍手も送りたくなりました。いやぁ、久しぶりに痺れた映画でしたよ。素晴らしかったという以外の言葉が出てきません。
私は、この映画、超!超!超!お薦めしたいと思います。よく出来た映画です。片山監督、この映画が商業映画デビュー作なんですね。ビックリしました。助監督をやられていたそうで、ポン・ジュノ監督作品に付かれたり、山下監督作品に付かれたりしていたようです。うーん、凄い監督が出てきました。これは、必見だと思います。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「さがす」