「ハウス・オブ・グッチ」華麗なる一族の転落は面白いです。人の不幸は蜜の味とは良く言ったものです。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「ハウス・オブ・グッチ」を観てきました。

 

ストーリーは、

1995年3月27日、GUCCI創業者グッチオ・グッチの孫にあたる3代目社長マウリツィオが、ミラノの街で銃弾に倒れた。犯人の特定が難航する中、犯行を指示した驚きの黒幕が明かされる。

というお話です。

 

 

街の小さな運送会社を営む家庭出身だが野心的なパトリツィア・レッジャーニ。ある日、友人と盛大なパーティーに潜り込み楽しんでいた。カウンターでバーテンに酒を頼むと、客がカウンターの中におり、酒を作ってくれる。名前を交わすと、マウリツィオ・グッチと名乗る。パトリツィアはグッチの御曹司だと気が付き、これは逃すべきじゃないと思い、彼を執拗に追いかけ、デートにこぎつける。

パトリツィアは、イタリアで最も裕福で格式高いグッチ家の後継者の一人であるマウリツィオ・グッチをその知性と美貌で魅了するが、マウリツィオの父親・ロドルフォは、パトリツィアはお前じゃなく金が目的だと勘付き、結婚を反対する。マウリツィオはグッチ家を出て、パトリツィアの実家に転がり込み、運送会社で働きながら、弁護士の免許を取得する。そして、二人は結婚することに。



 

二人の結婚を知ったロドルフォは、兄のアルドの力も借りて二人と和解するのだが、ほどなく亡くなってしまう。

アルド・グッチは、マウリツィオにロドルフォの後を継がせ、グッチの後継者として会社に引き入れる。これで安泰かとおもわれたが、次第にパトリツィアが一族の権力争いまで操り始め、強大なファッションブランドを支配しようと口を出し始める。

順風満帆だったふたりの結婚生活に陰りが見え始めた時、パトリツィアは破滅的な結果を招く危険な道を歩み始める…。(公式HPより)  後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画、よく出来ていました。さすがリドリー・スコット作品だと思います。映画が長くても苦にならないし、実話が元になっているから、先が解かっているのに、ドキドキしてしまう展開が良かったです。楽しかったな。

 

ブランドのグッチ一族のお話ですが、やっぱり3代目で潰したんですね。他人の手に渡ってしまった。大体、一族経営をしている大きな会社は、3代目が潰すという伝説のようなものがありますが、グッチは、その最たるものでした。初代は、きっと、経営の才能はあったけど、教育する才能は無くて、二代目に教育が出来なかったんでしょう。だから、初代の力が効いている二代目の時は、何とか持っていたけど、三代目では、どうしようもなくなり、他人に会社を渡すことになってしまったのだと思いました。

 

 

アルドとロドルフォが二代目になるんですよね。三代目がマウリツィオとパオロかな。アルドは、脱税をバンバンしていて、酷いなぁと思いました。脱税したい気持ちは解るんです。会社をやっていれば、いくら稼いでも税金で持っていかれるので、何とかしたいと思うのは当たり前なんですけど、不正をしちゃマズいですよね。まして、金額が尋常じゃなかったようなので、そりゃダメでしょって感じです。でも、その脱税は、息子のパオロが告発したから判っちゃったっていうことで、まぁ、結構、誤魔化していても見つからないんでしょうね。

 

そんなグッチ一族にパトリツィアみたいな女が入ったので、一気に崩壊したんだけど、でも、もしかしたらパトリツィアのおかげで回復したかもしれない。彼女には、経営の才能はあったのでしょう。小さな運送会社の家に生まれて、経理などをしていたので、自然とそれは身に付いたんじゃないかな。無駄なモノを省き、有意義なモノだけを残して、まず、主力部分だけを強固にしてから、他にも手を広げていくという事を考えているようでした。

 

 

アルドがやっていたのは、主力部分をおろそかにして、どんどん海外に進出した為に、会社の体力が落ちてしまったという感じでしょうか。確かに、グッチはアルドのおかげで世界的な会社になったのかもしれないけど、ブランドとしての価値は地に落ちてしまったんですよね。それを、パトリツィアが回復させようと動き出したのに、やり過ぎちゃって、夫のマウリツィオが嫌になってしまうんですよ。

 

パトリツィアは、美しいしボディも完璧だし才能に溢れているとは思うけど、下品で教育を受けていないんです。会社を良くするための才能はあったかもしれないけど、知識が無いし、人との関わり方も下手だから、上手く行かないんですよね。自分に知識が無いことがコンプレックスになっているから、必死で、誰かれ構わず、自分を良く見せようと虚勢を張ってしまうんです。そりゃ、グッチ一族が付き合っているような人々は、冷たい目で見ますよ。私も、こいつバカな奴だなぁって思ったもん。大体、クリムトを知らないってどーいう事よって思っちゃった。

 

 

そりゃ、マウリツィオの父・ロドルフォは、直ぐに見抜いて、金目当ての女は辞めなさいって言うよね。でもね、その後の展開で、マウリツィオがグッチ家を出て、パトリツィアの家に入ったので、本当に好きなんだなと思ったんですよ。このパトリツィアの家で、マウリツィオが少しでも、会社の経営的な部分を勉強していれば、グッチに帰ってからも、パトリツィアと力を合わせて会社を立て直せたと思うけど、マウリツィオは、やっぱりお坊ちゃんで、何も勉強をせず、パトリツィアの強引な性格も治らなかったので、最後の結果に繋がったのかなと思いました。

 

この映画に出てくる人、みーんな、自業自得だと私は思いました。これだけ好き勝手やっていて、社会のルールのようなものを無視していたら、それは報いを受けますよ。パトリツィアって、観ていると全く人の話を聞いていないんです。自分の考えだけをバンバン言うだけで、人の気持ちを理解しようという気が無いんです。そんな独りよがりでは、誰も助けてくれません。

 

 

マウリツィオは、そんなパトリツィアに押されて、何も言えない状態もあったかもしれないけど、どこかで”言い過ぎだ”とか、”口を出すな”とか、言わないと、それはずーっと溜まって行って、逃げたくなるわよね。夫婦は、お互いの話を聞かないと、一方的にどちらかが進めていると、どちらかが付いて行けなくなる。辛くなってしまうんです。まして、マウリツィオからみたら、パトリツィアはとても下品に見えたと思います。教育が無く、表面だけの人間は、薄っぺらく見えるんですよ。

 

いやぁ、あまりにも面白かったので、感想がどんどん出てきてしまいますが、そろそろ切らないと。レディ・ガガさんとアダム・ドライバーさんの演技は最高でした。マジで楽しめました。その上、アルド&パオロの父息子コンビが、イイ味出してました。アル・パチーノさんとジャッド・レトさん、上手いなぁ。特にジャッド・レトさん、ハゲの小太りオッサンなんて、イケメンの彼から想像がつきません。ビックリでしたけど、上手かったです。

 

 

この映画、私は、超!超!超!お薦めしたいと思います。これは、面白いですよ。高級ブランド一族の転落劇は、最高でした。特に、社会情勢や経営などに興味がある方には、楽しめると思うなぁ。こういう映画こそ、知識があると、主人公の下品さが際立って見えて楽しめると思います。上流と下流、天と地、差別をする訳ではありませんが、やっぱり知識が豊富でないと、何事も上手く行かないんです。一方に秀でていても、ダメなんですよね。考えさせられました。どの時代にも、沢山本を読むことは大切です。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「ハウス・オブ・グッチ」