「弟とアンドロイドと僕」を観てきました。
ストーリーは、
孤独なロボット工学者・桐生薫は幼い頃からずっと、自分が存在している実感を抱けないまま生きてきた。そしてその不安を打ち消すため、自分そっくりなアンドロイド開発に没頭している。そんな彼のもとに、ずっと会っていなかった腹違いの弟が訪ねてくる。実は、桐生と「もうひとりの僕」の間には、ある計画があった。
というお話です。
主人公の桐生薫は、孤独なロボット工学者。子どもの頃からずっと、自分が存在している実感を抱けないまま生きてきた。今は大学で教鞭をとっているが、依頼されている”アスファルトの割目を見つけるロボット”の開発はほとんどやっておらず、学長から文句を言われていた。
桐生は、母の実家であり、母が病院を営んでいた大きな洋館で一人暮らしている。そこで、精神的な不安を打ち消すため、「もう一人の“僕”」として、自分そっくりのアンドロイド開発に没頭していた。
そんなある日、ずっと会っていなかった腹違いの弟が桐生のもとに訪れる。寝たきりの父親の借金と医療費が払えず、桐生にお金を貰いに来たのだった。
その日から弟は頻繁に桐生に金の無心に来るようになり、父親が桐生の名を呼んだと言って病院で会わせたりするようになる。桐生は、父親が延命措置を拒否したと聞き、延命措置をさせるようにし、資金援助を続ける。
一方、アンドロイドの開発も最終段階になり、もう一人の"僕"は、動き始める。桐生とアンドロイドには、ある計画があるのだった。そして・・・。後は、映画を観てくださいね。
この映画、難しかったなぁ。どう解釈したらよいのか、ちょっと良く解らなかったのですが、私の個人的解釈を書いていきたいと思います。なので、これがネタバレになっちゃうのか、全く的外れなのか良く解らないのですが、やっぱりネタバレだと思いますので、まだ観ていない方は、ここでやめて頂いて、観た後に読んだ方が良いかな。
主人公の桐生は、大学に入学してすぐに母親を亡くして、それから一人で、その大きな洋館に住んでいるんです。彼が作っているアンドロイドを見る限り、天才的な工学者だと思います。年齢としては50代くらいの設定かな。そんな桐生は、子供の頃から自分の存在を実感出来ない思いを抱えています。
この存在を実感出来ないというのは、子供の頃の記憶によるものだと思います。母親が医者をしていて、自宅が診療所のようになっているんです。そこは、母親の実家であり、父親は形見が狭かったらしいのです。ギャンブル好きで、母親の医院に勤めていた看護師か誰かに手を出して、自宅で浮気をしていました。桐生は子供の頃からそれを見ていて、母親は知っていながら見て見ぬふりをしているんです。その内、父親が女と出て行って、家には母親と桐生の二人になりました。
この父親の行動のせいで、実感がわかなくなったと思うのですが、同じ家にいて、父親に全く無視をされていたわけです。父親なのに、家の中で母親以外の女性と情事を重ね、それを見せていて平気なんですから。そして、勝手に女と出て行ってしまった。桐生は恨んでいたと思います。
今になって、意識不明の父親の援助をすることになり、そりゃ、殺したくなると思います。自分がこうなったのは、父親のせいだと思っているし、母親の死も父親のせいだと思っています。きっと、父親を取った家族も、良く思っていなかったんじゃないかな。だから、弟にも復讐したいと思ったんじゃないかな。
弟が元妻のところに行ったら男がいて、そいつの足を刺したら逃げてしまったというセリフがあり、最後の最後で、桐生の足にペンが刺さっていたんです。なので、元妻のところにいた男は桐生だったのかなと思うと、桐生は、父親をアンドロイドに殺させようとしていて、弟は自分の手で追い詰めていこうとしていたのかなと考えました。
元々、実感がないのですから、早く死にたいと思っていたかなと思います。だけど、ただ死ぬよりも、復讐をしたいと思い、父親をアンドロイドの自分に殺させ、弟を追い詰めて、自分を殺させても良いと思ったんじゃないかな。だって、そうじゃなきゃ、弟の元妻のところに行く意味が無いと思ったんです。ま、でも、計画通りにはいかないんですけどね。
話の途中で、少女が出てくるのですが、彼女も生きている実感が無いと言っていて、結局、生きている実感が無いなら、人間でもアンドロイドでも一緒なんじゃないか、というのが結末なのかなって思いました。アンドロイドと少女が一緒にいる場面で、そんな風に見えました。
桐生は、ずーっと子供の頃の思い出や母親、そして大きな家に縛られていて、そこから離脱する為に、アンドロイドに父親を殺させれば、きっと、自分の心は自由になって楽になると思ったのかな。可哀想な人ですよね。天才なのに心の病に侵されていて、もし、あんな父親でなければ、もっと良い人生だったと思うと、切なくなります。
私の解釈が合っているのかは解りません。だって、私も良く理解が出来なかったんですもん。でも、気になった場面をつなぎ合わせて考えると、こんな風に感じました。もし、違う解釈があったら、教えていただきたいです。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。自分で勝手に解釈して、解決させれば、キャストは良いし、不思議な雰囲気は良いのかなと思いました。豊川さんのぬぼーっとした感じが、私は好きでした。ちょっと怖かったですけどね。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「弟とアンドロイドと僕」