「声もなく」をFan’s Voice独占最速オンライン試写会にて観せていただきました。(@fansvoicejp)
ストーリーは、
口のきけない青年テインと片足を引きずる相棒チャンボクは、鶏卵販売をしながら、犯罪組織から死体処理などを請け負って生計を立てていた。ある日、テインたちは犯罪組織のヨンソクに命じられ、身代金目的で誘拐された11歳の少女チョヒを1日だけ預かることに。しかしヨンソクが組織に始末されてしまったことから、テインとチョヒの疑似家族のような奇妙な生活が始まる。
というお話です。
鶏卵を車で移動販売している口のきけない青年テインと片足を引きずる相棒のチャンボク。しかし、これだけでは食べて行けず、貧しさゆえ、犯罪組織からの下請け仕事である”死体処理”で生計を立てていた。
ある日、犯罪組織のヨンソクに命じられ、身代金目的で誘拐された11歳の少女チョヒを、仕方なく1日だけ預かることになる。チャンボクは、妹と二人で暮らしているテインにチョヒを押し付け、仕事を終わらそうとする。しかし、ヨンソクがヘマをして犯罪組織に殺されてしまい、誘拐がどうなっているのか、全く解らなくなってしまう。テインはそのままチョヒを預かることとなり、チャンボクは、親との交渉や身代金がどうなっているのかを調べ始める。
何とか話しが解かる人物を見つけ、チョヒを引き取って欲しいと頼むのだが、誘拐したのだから身代金を貰えないならその分のお金をよこせと言われ、仕方なく誘拐を続けることに。
テインとチョヒの疑似家族のような奇妙な生活が始まるが、チョヒの親から身代金が支払われる気配はなく、本当に手紙が渡っているのかも解らない。やっと身代金の受渡しの手順が示されるのだが、またもトラブルが起こり・・・。そして、誘拐は思いもよらない方向へ。後は、映画を観てくださいね。
この映画、良かったです。主人公のテインは、口がきけないので、その表情と仕草だけで、感情などを伝えるのですが、このユ・アインさんが上手いんです。表情と仕草で十分に話しをしてくれているように見えるので、それで感動するんです。目で訴えるというのかしら。それが凄いんです。
妹と二人で貧しく暮らしているテインは、きっと親に捨てられたのかな。子供の頃からチャンボクが面倒を見てくれていたらしく、両親は二人を捨てて出て行ったのかもしれません。妹の年齢が7歳くらいかなと思うので、7年前に親が出ていったとして、テインは18歳くらいの設定かなと思います。教育を受けていないので、キッチリしたことが出来ないので、良い教育を受けているチョヒが、テインの家に来てからは、部屋を片付けて、食事もテーブルの上できちんとするようになって行きます。
テインは、自分の方が年上だし、偉そうに見せようとしているんだけど、チョヒのやる事を許すようになって行きます。自分と妹に、家族の生活を教えてくれて、何となくしあわせな家族的な雰囲気になっていくんです。テインは、こんな事は間違っていると分かっているのですが、チャンボクの事もあるし、自分一人では何も出来ないと思い込んでいるんです。
この映画の設定が、現代なのか何年か前なのか、ちょっと分かりづらかったのですが、現代でも、こんなに子供が誘拐されたり、売買されたりってあるのでしょうか。それに、こんなボロボロの家に兄妹で住んでいたら、行政が下の子だけでも保護するんじゃないかな。だって、学校も行っていないんですよ。
日本なら、テインがここまで成長する前に、兄妹を保護して、施設から学校に通わせますよね。田舎だから見つからなかったということなのかな。早く保護してあげていれば、こんな死体処理の仕事なんてしなくて良かったし、誘拐にも関わる事は無かったのに。こんなに貧しい兄妹をほおっておく国にも問題があると思いました。
それにしても、死体処理といいながら、ただ、森の中に死体を埋めているだけで、笑ってしまいました。雨が沢山降ったら、直ぐに骨が出てきちゃいそうです。とってもいい加減でした。そんな場面があるのに、一方の誘拐の手順の中では、親に送る手紙を舌で舐めて封をしたら、DNAが検出されちゃうからダメとか言われたりして、ちょっとちぐはぐな部分もありました。面白かったから良いんですけどね。
テイン役のユ・アインさんも上手かったけど、チョヒ役の女の子も上手かったなぁ。テインとチョヒのやり取りが多いのですが、チョヒが話すだけで、テインが聞いているだけなんだけど、ちゃんと会話をしているように見えるんです。そして、見つめ合うだけで、言いたいことが伝わっているように見えて、ちょっと感動でした。それに、韓国の子役にしては、とても綺麗な女の子でした。こういう綺麗な子がいるのに、なんでイモっぽい子を使いたがるのかなぁ。不思議です。
この映画を観ていると、貧しい者はどこまでも貧しく、ツイてない奴はどこまでもツイてないんだと言われているようで、どこかでチャンスを与えてあげて欲しいなぁと思わずにいられませんでした。だって、テインは、悪い子じゃないんですもん。たまたま、貧しくて、教育を受けてこなかったことが、こうなっているんですから。誰か一人でも、彼の助けになって欲しいなぁと思いました。
私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。とても良い映画でした。こういう人間の心情を深く描くような作品は、やっぱり韓国映画は上手いですね。感動でした。ちょっと、最後のところで、その後、どうなっちゃうの?って思ったけど、そこは観る人の想像で良いんだろうなと思いました。こんな出会いがあったのだという事実が、きっと、彼らを変えていくのだろうと思います。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「声もなく」