「スウィート・シング」を観てきました。
ストーリーは、
マサチューセッツ州ニューベッドフォードで暮らす15歳の少女ビリーと11歳の弟ニコ。一緒に暮らす父アダムは普段は優しいが酒のトラブルが尽きず、ある日ついに強制入院させられることに。他に身寄りのない姉弟は、家を出ていった母イヴの元を目指すが・・・。
というお話です。
普段は優しいが酒を飲むと人が変わる父アダム。家を出て行った母親イヴ。頼る大人がいないビリーとニコの姉弟。アダムはイブとやり直したいと思っているのだが、イブは、今付き合っている男に入れ込んでいて話を全く聞く気がない。思うように行かないアダムは、酒に溺れてしまい、とうとう警察に捕まり、矯正施設への入院を余儀なくされてしまう。
ビリーとニコは母親の元へ行くように言われ、イブと彼氏がいる海辺の別荘でしばらくは暮らすことになる。最初のうちは上手く言っているのだが、イブの彼氏は、ビリーやニコに性的虐待を行い始め、二人はそこにいられなくなり、海辺で出会った少年マリクと一緒に、マリクの父親がいると言っていた都市を目指して旅を始める。
子供3人での旅は快適で楽しいのだが、どうしても目立ってしまう。大人の目をかいくぐりながら、車を盗んだり、空き家で暮らしたりしていたのだが、ある日、老夫婦と出会い、優しくしてもらって、そこに泊まってしまう。そして・・・。後は、映画を観てくださいね。
ストーリーとしては単純なんですけど、結構、内容は複雑かなと思いました。両親が別れて別々に暮らしているのだけど、子供たちは、両親をすごく愛しているんです。両親が自分勝手で酷い生活をしていて、子供たちはお金もなく、廃品を売って食べ物を買ったりしているんですけど、それでも父も母も、何も気にしてないんです。酷いでしょ。
一応、父親は看板持ちらしきバイトをしているんだけど、あれじゃ給料なんてほとんどお酒に消えていたと思うのよね。だから、家族3人が生活なんて出来ないんです。そんな状態でも、なんとか父と子供2人で暮らしていたんだけど、父親がとうとうアルコール依存症で矯正施設に入れられちゃうんです。
母親がいるんだからということで、子供たちは母親のところに行かされるんだけど、母親が付き合っている男が、酷い男なのよ。DVはするし、子供をかわいがっているように見えていたけど、段々と変態の本性を現してくるんです。ネタバレになるから書かないけど、まぁ、酷い男でした。よく、母親のイブも、こんな男と付き合っていたなと思うわよ。一目で解ると思うけど、何故か、解らないのよねぇ。
で、ビリーとニコは、海辺に住んでいたマリクと旅に出るんです。マリクも複雑な環境で育っていたようで、父親は刑務所に入っていて、母親はいるみたいだけど、虐待をしていたみたいでした。なので、父親が入っている刑務所に近い都市へ行くことにするんです。
ここからは、スタンド・バイ・ミーみたいに子供だけでの旅になって、楽しい雰囲気で描かれるけど、子供だけだし、段々と行き詰っていく姿が描かれています。映像はモノクロとカラーの場面を混ぜて、雰囲気も良く、美しいんですよ。子供たちの心情を色を付ける付けないで表していたのだと思います。楽しい場面もあるけど、すぐにまた不安になるという子供の心が、良く表れていたと思いました。子供にとっては、父親も母親も大切なんですよ。
シンプルな内容なんだけど、観た後に心にちょっと残るような、そんな映画なんです。あの子たち、しあわせになれたかなぁなんて思い出すような映画で、作り方が上手いなぁと思いました。
アレクサンダー・ロックウェル監督が、自分の娘と息子、そして今のパートナーを俳優として使って、映画を作っていて、家族愛があふれているような映画でした。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。これは、好みが分れるかな。好きな人は、凄く好きだというだろうけど、あまり合わない人は、つまらなかったと言いそうな感じかな。私は、結構、お気に入りの1作品になりました。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「スウィート・シング」