「明け方の若者たち」の舞台挨拶付特別試写会に、Fan's Voiceさんのご招待で行ってきました。(@FansVoicejp)
ストーリーは、
明大前で開かれた退屈な飲み会に参加した“僕”は、そこで出会った“彼女”に一瞬で恋をする。世界が“彼女”で満たされる一方で、社会人になった“僕”は、夢見ていた未来とは異なる人生に打ちのめされていく。
というお話です。
2012年、東京・明大前で開かれた学生最後の退屈な飲み会。そこで出会った<彼女>に、一瞬で恋をした。始まって間もなく、退屈そうな彼女は席を立ち、帰ろうとしていた、すると僕の後ろで呼ぶ声が。携帯が見当たらないから電話をして欲しいと言う。番号を聞き、彼女の電話を呼ぶと、コートのポケットから見つかった。そして彼女は帰ってしまう。
僕は退屈で、飲み会の席を立ち、店のカウンターで一人休んでいると、さっきの彼女からメッセージが。「私と飲んだ方が、楽しいかもよ笑?」
そんな始まりで彼女と付き合う事になった僕は、それから5年間、沼のような時間を過ごすことになる。
下北沢のスズナリで観た舞台、高円寺で一人暮らしを始めた日、フジロックに対抗するために旅をした7月の終わり・・・。
世界が<彼女>で満たされる一方で、社会人になった<僕>は、〝こんなハズじゃなかった人生″に打ちのめされていく。大手の上場企業に入り、順風満帆に行くかと思いきや、企画などの仕事には付けずに総務部に配属され、息の詰まる毎日。夢見た未来とは異なる現実。
夜明けまで飲み明かした時間と親友と彼女だけが、救いだった。でも僕は最初からわかっていた。いつか、この時間に終わりがくることを。(公式HPより) 後は、映画を観てくださいね。
この映画、きっと誰もが経験した、若い頃の苦い思い出ってヤツかしら、それを描いているような気がしました。20代って大学を卒業して、やっと大人になれて、これから好きな事が出来るという夢を見ているんですよね。でも、いざ社会に出てみると、ルールで雁字搦めにされていて、学校に行っている時よりも、何倍も自由じゃないんです。
周りの目は厳しいし、変わったことをしていれば、直ぐに白い目で見られてしまう。学校に行っている頃は、若いから仕方ないわねといって許されていたことが、社会に出ると許されないんです。そりゃ、もう、息苦しいし、自信を失くすし、今までの人生は何だったんだって思うんです。そしてそれを通り越すと、ま、こんなもんかって諦めが出てくるので、社会で上手く泳げるようになって行くんですよねぇ。
主人公の僕は、大学卒業の頃に彼女と知り合い、付き合い始めて、お互いに社会人として働き始めるんです。僕は大きな会社に入って、勝組だと言われて、いい気になっていたのですが、入社すると、企画などはやらせて貰えず、総務部に配属され、会社の雑用を続ける日々が待っていました。仕事では落ち込みますが、彼女とは上手く行っていて、彼女がいる事で、何となく楽しく過ごせていたという感じなんです。
まぁ、若いから、明日はどうなるかは判らないですよね。一目惚れから付き合ったんだから、また一目惚れで違う人が好きになるかもしれないし、フラれるかもしれない。明日の事は判りません。でも、この二人は、本当に楽しそうに過ごしていました。
でもね、彼女には秘密があるんです。僕も彼女も、知っていながら口には出さないけど、お互いにそれは心のどこかに引っかかりながら、付き合って楽しんでいるんです。心に何かを持ちながら付き合うって、どういう感じなのかな。私、そういう事が出来ないタイプなので、無理そうだけど、そんな引っ掛かりがありながらでも好きで付き合うって、本当に好きだから出来るんだと思うんです。そんなに好きでも、上手く行かなくなったりするし、難しいよね。
僕は、彼女を忘れられず、ずーっと引きずりながら毎日を過ごします。そんなに好きなのに、なんで何の行動もしないんだろうと思ったのですが、それは、彼の優しさなのかなと思いました。彼女の秘密を大切に思うからこそ、相手の幸せを願って、耐えているという感じに見えました。きっと、それが人間を成長させてくれるから、素晴らしい人間になって行くと思います。
仕事の部分は、観ていて、辛くなりました。だって、会社に入ったはいいけど、誰もが花形の企画とかをやれるわけじゃないでしょ。入社する時は、御社のデザインが良いので自分もデザインしたいとかって言って、入社する訳じゃないですか。だけど、入社したとたんに、営業とか総務とかに回されて、全く関係無い仕事をすることになる。よく考えれば当たり前なんだけど、やっぱり落ち込みますよ。
私も同じでしたもん。みんな、そんなもんなんだけど、でも、これは自分のやりたい事じゃないとかって思って、転職するのよね。大手にいて転職しない人って、その会社の看板と給料だけが目当てで、何もやりたい事が無かった人だと思うのよ。だから、ゴマすり野郎しか残って無かったりするんでしょ。そんな奴ばかりだから、パワハラやセクハラが横行し、新しい風が入らないから旧体制のままで、ブラック企業になっていくのだと思います。
この映画、誰もが辿ったような道を、主人公の僕が辿って、懐かしさと切なさと、そして夜が明けて、新しい道を進んで行くというお話で、本当にジーンとするような、感動が訪れる内容なんですけど、つい、私は、彼が務めた会社の旧体制という所にも目が行ってしまいました。
それにしても、北村さん、上手かったなぁ。良かったです。夜が明けて、きっと、吹っ切れて行くのかなっていうのが、彼の表情からにじみ出ていて、この子、良くなったなと思いました。彼女役の黒島さん、今回は、ちょっとブラックな部分があって、同性から見るとイヤな女だなって見える部分があるので、私は、あまり共感は出来なかったな。私は嫌いなタイプです。黒島さんは、明るくて、本当に可愛く美しいのですが、この役の中身は黒くてやな奴でした。でも、横顔の美しさで、男なら何でも許しちゃうんだろうなぁ。うんうん、綺麗だった。友達役の井上さん、嫌味が無いイケメンですね。私はとても気に入りました。もっとこれから観たいなぁと思うような俳優さんでした。
私は、原作を読んでいません。きっと原作は読まないと思います。映画で、十分に堪能させて貰えたので、これで満足しています。
私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。本当に良い映画でした。そして、美しい映画でした。黒島さんがとっても美しく撮れているんです。それを見ると、主人公が秘密を持ってでも、一緒に居たいと思った気持ちも理解出来るような気がしました。公開は12月31日です。そして、ヒロインの彼女の側から見た世界が、アマゾンプライムで、1月8日に配信されるそうです。私は、今のところ、彼女が嫌いですが、その彼女の側から見たドラマを観たら、もしかして彼女も好きになるかもしれません。楽しみです。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「明け方の若者たち」