「彼女は好きなものは」を観てきました。
ストーリーは、
高校生の安藤純は、自分がゲイであることを周囲に隠して生きている。ある日、書店を訪れた彼は、クラスメイトの三浦紗枝がBL漫画を購入しているところに遭遇する。BL好きであることを秘密にしている紗枝は、純に口止めをする。純には妻子ある同性の恋人マコトがいるが、書店での出来事をきっかけに紗枝と急接近。友人とダブルデートをしたり、クラスメイトと遊園地で遊んだりするうちに、純は紗枝から告白される。純はある思いを胸に、彼女と交際を始めるが・・・。
というお話です。
高校生の安藤純は自分がゲイであることを隠していた。ある日、書店でクラスメイトの三浦紗枝が、男性同士の恋愛をテーマとした、いわゆるBLマンガを購入しているところに遭遇してしまう。BL好きを隠している紗枝から「誰にも⾔わないで」と口止めされ、純は黙っている代わりにBLマンガを借りることにする。初めてのBLは目新しい事ばかり。純は恋人と笑いながら現実的ではないことを楽しんでいた。
後日、紗枝に学校で会い借りていた本を返すと、紗枝にデートに誘われ行ってみると、紗枝の腐女子仲間とのダブルデートで、何故か、限定販売のグッズの列に並ばされる始末。利用されてると思いながらも、紗枝といると楽しいことに気がつき、彼女が気になり始める。
そこから2人は急接近していき、紗枝は本当に純が好きになってしまう。そして、学校の友達たちと一緒に遊園地へ遊びに行った時に観覧車の中で二人きりになった紗枝は、純に告白する。純は複雑な気持ちを抱えながらも、紗枝と付き合えば、もしかしたら彼女への気持ちが恋愛感情になるかもしれないし、そうなれば普通の人生が送れると思いと思い、紗枝の告白を受け入れることにする。
「自分も“ふつう”に女性と付き合い、“ふつう”の人生を歩めるのではないか?」と考えた純だったが、そう簡単に気持ちが変わるわけもなく、紗枝と付き合いながらも、彼女を裏切っているのではないかと悩んでしまう。
そして、あるデートの時、純の恋人と鉢合わせをし、紗枝は純が男性と付き合っていることを知ってしまう。男性が好きなのに、何故自分と付き合ったのか、納得のいかない紗枝は、学校の教室で二人だけで話し合いをするのだが、その話をクラスメイトに聞かれてしまい・・・。後は、映画を観てくださいね。
この映画、またベタで面倒くさい青春ラブストーリーかと思ったら、全然違いました。凄く良い映画です。主人公の純は、ゲイで、男性しか好きになれないことにとても悩んでいます。このままだと、結婚も出来ないし、子供も作れない。母親に申し訳ないと思っているんです。母子家庭で、母親にずっと面倒をかけてきたのでこれ以上迷惑を掛けたくないと思っているんです。
でも、どんなに頑張っても、自分の気持ちは変わることがなく、紗枝と付き合ってみても、苦しくなるばかりで追い詰められていくんです。純は、男なのに男しか好きになれない自分は変なんだって思っていて、ゲイであることをとても恥じているんです。本当に可哀想になりました。だって、全然変なことじゃないでしょ。好きな人が好きなんだから、仕方ないでしょ。でも、やっぱり本人は悩むんですよ。
一方の紗枝は、ノーマルな女子で、ただ腐女子なだけ。BLが好きだけど、男子が好きなんです。BLで楽しんではいるけど、実際に純がゲイだと知ると、ショックを受けます。これ、ショックは受けるだろうけど、それは別に、ゲイだからではなく、自分以外の人が好きだからショックだっただけだと思うのよね。
それはショックでしょ。だって、自分と付き合っている彼が、他の人を好きだってことを知ってしまったんだから。それって、男女関係なく、二股でしょ。男だからとか女だからとか、そういう事じゃないんですよ。純は悩んで、ゲイを治したくて紗枝と付き合ってみたんだけど、それは二股だからダメなのよ。男の方の恋人と別れてから、紗枝ちゃんと付き合うなら良いけど、二股は裏切りになっちゃう。やり方が間違っていたんです。追い詰められていたから、仕方ないとは思ったけど、ダメだよね。
どんなに周りが気にしないと言っても、やっぱりLGBTの人は、自分が人とは違うから変だと思ってしまうのかしら。どんな考え方も性格も、それは個人の違いだから、個性だと思うのが一番だと思うけど、まだまだ頭の固い人はいるから難しいのかな。
私も、文章を書いている時に、表現の仕方を知らないので、男女の恋人はノーマルと書いてしまうし、同性だとゲイとかレズとか書いてしまい、この表現の仕方でいいのかなといつも疑問に思います。男女だとノーマルという考え方が変なのよね。これ、何か表現の仕方がないのかしら。今までになかったことだから、基本の考え方を作るのが付いて行ってないんです。
そんな現代の問題を良く描いている作品だと思いました。そこらのアホな青春ラブストーリーとは全く違う、社会問題を描いた作品だと思います。これは、出来るだけ沢山の方々に観て貰いたいと思いました。同性愛の方が、どんなに悩んでいるのか。カミングアウト出来ない苦しさや、家族に認めてもらえない苦しさ、そして、自分自身を変だと思ってしまうような教育を与えてしまう教育機関、様々な社会の問題を、若い二人を使って描いています。凄く解りやすいので、上手いと思いました。
主人公の純を演じた神尾くん、悩んで苦しむ姿が本当に可哀想で助けてあげたくなりました。上手かったなぁ。そして紗枝役の山田さんは、若手ながら、貫禄がありますね。本当に上手いです。そして、純の恋人役の今井さん。ジャニーズを辞めて良かったですね。これから熟成していきそうな気配。いい役者になってきました。素敵でしたもん。他にも、周りに良い役者が沢山出演していました。前田さんや三浦さん、そして、驚きの後ろ姿だけの磯村さん。ちょっと横顔があったかな。上手い使い方だなぁ~と思いました。
私は、この映画、超!超!超!お薦めしたいと思います。これは、本当に沢山の人に観て、考えて欲しいです。ゲイでもレズでも、トランスジェンダーでも、それは変なんじゃなくて、たまたま、その人が生まれ持った個性なんです。周りがそう考えてあげなくちゃ。私は、とても考えさせられました。これは、ぜひぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「彼女が好きなものは」