「GUNDA」の試写会に行ってきました。トーキョー女子映画部さんのご招待でした。( @TKJoshiEigabu )
ドキュメンタリー映画なので、内容は、
とある農場で暮らす母ブタ「GUNDA」。生まれたばかりの子ブタたちが、必死に立ち上がり乳を求める。一本脚で力強く地面を踏みしめるニワトリや、大地を駆け抜けるウシの群れ。研ぎ澄まされたモノクロームの映像と驚異的なカメラワーク、人工的な音楽及びナレーションを排した迫力の立体音響で、動物たちの本質に宿る美しさや躍動感あふれる生命の鼓動を映し出す。
という映画です。
この映画、今までにない凄い映画なんだけど、間違って観に行くと、途中で出てくるハメになるので、よく考えて観に行ってください。この映画はドキュメンタリーで、ブタの生活を追っているだけの内容です。何も起きません。ブタが子どもを産んで、ブタ小屋で一緒に生活して、お乳をやって、ただ、一緒に寝転んでいる、そういう生活を映しているだけなんです。
音楽もありません。彼らの生活音だけが響きます。但し、ここも農場で、人間が営んでいるものですので、車の音や機械音、酪農場で起こる音は聞こえます。でも、人間は出てきません。
自然の音がずーっとしているので、鳥の声や風の音、藁を踏む音や、ブタの鳴き声、お乳を吸う音、そんなものが、耳に入ってきます。とても繊細な音で、はっきり言って、あまりに気持ち良くて眠くなります。ヒーリング効果音を聞いているような感じなんです。
そんな映像と音の中で、ブタのグンダと子どもたちは生活をし、大きくなっていきます。でも、もちろん、いつまでも一緒にいられるわけではありません。酪農ですから、ある程度で親とは離されますし、商売品として売られたり、色々あるようでした。
ブタって汚いけど、結構子どもの面倒を見ているんだなぁとか、子ブタ可愛いなぁとか、動物でも家族なんだなって事を感じられて、そんな彼らの生活の横では、人間が動かす大きな機械が動いていて、轟音が響いているんです。大きなタイヤがブタの家の横をギリギリで走って行ったりして、恐いと思うけど、ブタたちは、あまり気にせず。毎日のことなので、慣れてしまっているのでしょう。
そんなブタの生活を、90分間、ずーっと観せられるだけなんです。私は、動物好きなので、ブタの顔や態度を見ながら、眠いんだなぁとか、子どもが煩いと思っているなとか、自分の心の中でアフレコしながら楽しんでいましたが、これ、それほど、動物好きとかじゃなかったら、辛いだろうなぁ。もう、だって、自然の音がずーっと流れているので、本当に気持ち良くて眠くなるんですよ。私も、何度、うとうとしたことか。その度に、”ぶーちゃんぶーちゃん”と頭の中で考えながら、我慢したものです。
でも、映画をあとから思い返すと、自分があのブタの小屋に一緒に暮らしていたような気持ちになり、人間の音ってうるさい事に気が付くんです。そして家畜として生きている、人間に飼われている、人間の糧になる為に生きているという事を突きつけられて、グンダの気持ちはどうなんだろうと考えてしまいました。最後に、カメラを見つめるグンダの姿が映るのですが、まるで「おい、人間たち、どう思うんだよ。」って言われているような気がして、命を食べている自分は、食べ物を粗末にしないように、ありがたくいただかなくちゃいけないなって思いました。音楽が無い、言葉が無いことで、無言の訴えを去れているように思えるんです。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。本当は、もっと凄くお薦めしたいんだけど、これ、賛否が分かれると思うんです。動物の気持ちを解かる人、動物が好きな人には良いけど、家畜として観ていたら、全然面白くない映画なので、よく考えて観て欲しいかな。興味を持たれたら、ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「GUNDA」