「昨日より赤く明日より青く CINEMA FIGHTERS project」を観てきました。
6作品の短編を集めたオムニバス映画です。1作品づつ書きますね。
「BLUE BIRD」 監督 SABU
兄のケンジと弟のジュンは、仕事も一緒、遊びも一緒と、何をするにもいつも一緒に行動していた。髪も二人で青に染め、何処からか持ってきたスクーターを運びながら、楽しく夢を語り合っていた。ある時、突然に、ジュンが頭に激痛を訴え倒れてしまう。直ぐに病院へ担ぎ込んだのだが、医師の言葉は冷たい現状を語り、ケンジは言葉が全く理解が出来なかった。そして顔面包帯だらけで横たわるジュンを連れて逃げ出したのだが、患者を取り違えてギャグをかましてしまう。急いで病院に戻ると、病室の前では医師と看護師たちがケンジを待っていた。そして・・・。後は、映画を観てくださいね。
突然に訪れる別れに、驚くより唖然としてしまう姿が印象的でした。今まで一緒にじゃれて、遊んでいたのに、突然に居なくなってしまう。そんな時が来ることを知らず、無邪気にはしゃいでいた二人。この突然の落差と、あっけなさ、そして、あまりの突然の出来事に、ギャグまでかましてしまうという、何とも面白いけど、寂しいお話でした。一人になった彼の中には、今も弟がいるのでしょうという感じで、感動でした。
「言えない二人」 監督 山下淳弘
大学生のあゆむは友人の慶介から、慶介の彼女・柊子にあゆむの口から慶介が別れたがっていると伝えてほしいと頼まれてしまう。慶介に内緒で、柊子が彼の誕生日プレゼントを買いに行くのに付き合うあゆむだが、そんな様子の柊子を見て話を伝えられずにいた。だが、柊子は慶介の気持ちが他の女の子に移っているのに気づいていたようだ。あゆむは慶介から頼まれた話しは伝えられず、己の本当の気持ちを隠したままでいたが、終電の時間は刻一刻と迫っていく。後は、映画を観てくださいね。
この映画は、ちょこっとだけ出てきた坂井さんがイイ味出してたなぁ。飲み屋で一人、定食を食べながら飲んでいて、二人の仲を当てるのですが、この演出は上手かったなぁ。絶妙だと思いました。この部分があるからこそ、言えない二人というタイトルが生きてくるので、うんうんって頷いちゃった。白濱さんと門脇さんも、微妙な距離感が良くて、とても楽しめた作品でした。こういう感じって、イイよねぇ。イイ感じのラブストーリーだと思いました。
「水のない海」 監督 久保茂昭
これは今より少し未来のお話。青年・ユキオは料理の宅配サービス員。唯一の話し相手が人工知能音声アシスタントのOSだ。ある日配達に訪れると、中国人女性のジェニとスケコマシ男・MGが言い争っていた。その場は料理を渡して帰るのだが、その後、また彼女から依頼が入り、届けると、中国語を話し、言葉が通じないジェニに沢山の料理を部屋に運ばされ、そこに置いてあった彼女の描いた未完成の絵に心を奪われる。OSはジェニの辛い過去をユキオに教えるが、ユキオは彼女に関わろうとしない。OSはユキオのため、ジェニに関するナビを始める事にする。後は、映画を観てくださいね。
今回の6編の中で一番好きな作品でした。スマホナビが中国女性との中を上手く行かせようとしてくれるのですが、そんな事が無くても、このジェニはとても魅力的で、ユキオは好きになっちゃうんじゃないかな。可愛くて、憎めないような女性なんです。そんな女性に出会ったら、もうナビなんて必要なくなっちゃうと思うけど、どうなのかしら。ユキオ役の小森さん、素直そうな雰囲気で素敵ですね。ルナさんも良かったな。
「COYOTE」 監督 真利子哲也
晴人はオリンピックのチケットを買いにシカゴから突然日本に帰国する。恋人のハナは驚くが、仲はとても良い。そんな時突然に、新型コロナによる異変が起こってしまう。ハナの所属する人形劇団の公演は中止となり、街の雰囲気も変わっていく。公園でハナが晴人と電話をしている最中に、愛犬サーヤが逃げ出してしまい、野生のコヨーテに殺されてしまう。一方晴人は幼馴染のケンタ夫婦の家を訪ねる。緊急事態宣言が発表されるが、誰もその事を気にせずに、仲間で集まってゲームをしながらバカ騒ぎをしてしまう。次の朝、晴人に傷心のハナから電話がかかってくるのだが、晴人は彼女の様子に気が付かず・・・。後は、映画を観てくださいね。
破天荒な晴人は、あまり考え無しに行動するようで、こういう人と付き合うのは大変だろうなぁと思いました。だって、大切な恋人がいるのに、友人の家に行ってその奥さんに誘惑されたりと、なんか酷いんです。その女も女だけど、そういう隙のようなところがある男なんです。恋人のルナの苦しみも全然解ってないし、中身が無い男は嫌だなぁと思いました。突然のコロナで、色々な物が壊れ始めた時を思い出してしまい、そんなに好きになれる作品ではありませんでした。
「怪談 満月蛤坂」 監督 森義隆
老舗料亭「松月楼」の若手料理人・良介は、ある夜蛤坂で見知らぬ女と出会う。妖艶な女に連れられ、良介は一夜を共にしてしまう。その日から、良介の体に奇妙な変化が訪れ、魚の臭いが鼻について気分が悪くなり、厨房の仕事ができない。そして三週間後、良介のお腹は妊婦のように膨れ上がる。困った良助が蛤坂を歩いてみると、あの女と再会し、女の腹も同じように膨れていた。松月楼の女将は、良介の変化に気が付き、女将だけが知る松月楼の話をし始める。その女は200年前料亭にいた、たみという仲居の幽霊で・・・。後は、映画を観てくださいね。
夜な夜な窓の外から呼ばれるとかの怪談ではなかったので、まだ良かったかな。でも、妖艶な女が出てきたとこは、やっぱり怖いと思いました。どうなっちゃうのかしらと思ったら、想像妊娠って話しで、ちょっと笑いました。でも、ちゃんと怖かったし、俳優さんも良い方が出てました。筒井さんの女将、やっぱり良かったなぁ。好きな女優さんです。内容も良かったですよ。面白かったです。
「真夜中のひとりたち」 監督 新城毅彦
バス停で待つ青木のそばに、女性が引き出物の袋を置いて立ち去った。その女性・里実は初恋の相手の結婚式に出席した後だった。追いかけてきた青木も、実は誰かに贈るはずだった婚約指輪を持っていた。彼も想い人の式の帰りだったのだ。捨てることが出来なかった指輪を質屋に入れて、二人は東京の街を歩きだす。ふたりで歩きながらも、孤独を感じている青木と里実。共に、愛しい人を失い、心に空いた穴を感じながら、深夜の東京を彷徨い続ける。そして・・・。後は、映画を観てくださいね。
失恋の痛手をお互いに癒し合おうって感じの映画かしら。でも、彼女は本当にフラれていたけど、青木はどうだったのかな。もう3回フラれていると言っていたけど、それでも式に行ったという事は、ずっと好きだったんだろうな。もしかしたら、次はOKになったかもしれない。そんな期待は、もう出来ないというのがとても可愛そうな気がしました。夜の新宿で飲み歩いていて、それで夜が明けるというシチュエーションは、イイかなって思いました。今は出来ないけどね。メンディーさん、思っていたよりもシリアスな演技が良かったなと思いました。
以上、6本ですが、このショートフィルムのオムニバスって、こうやって、時々作っていただけると、楽しめるし、今後の映画の種になりそうで、良いと思いました。ショートフィルムから大きな1本の作品になることもあるので、重要ですよね。私、この6本の中では、「水のない海」を長編にしても良いんじゃないかなって思いました。きっと、そこらの青春ラブストーリーよりも、よっぽど上手く出来そうな気がしました。
私は、この映画、お薦めしたいと思います。ショートフィルムで観やすいので、超!を付けても良いかなと思ったけど、良い作品ばかりではないので、シビアに評価をしました。でも、楽しめましたよ。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「昨日より赤く明日より青く CINEMA FIGHTERS project」