「サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ」音楽を生業にしていたのに突然聞こえなくなったら・・ | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ」を観てきました。

 

ストーリーは、

ドラマーのルーベンは恋人ルーとロックバンドを組み、トレーラーハウスでアメリカ各地を巡りながらライブに明け暮れる日々を送っていた。しかしある日、ルーベンの耳がほとんど聞こえなくなってしまう。医師から回復の見込みはないと告げられた彼は自暴自棄に陥るが、ルーに勧められ、ろう者の支援コミュニティへの参加を決意する。

というお話です。

 

 

メタルバンドのドラマーのルーベンはボーカルで恋人のルーとロックバンドを組み、トレーラーハウスでアメリカ各地を巡りながらライブに明け暮れる日々を送っていた。

しかしルーベンは、あるライブの準備中に、聴覚がおかしい事に気が付き、ライブ後に病院で診察を受けると、8割ほどの聴覚を失っている事を告げられる。治る見込みも少ないらしい。このままではバンドの継続は不可能です。恋人のルーはルーベンを心配し、ろうあ者の支援施設へ連れて行きます。



 

説明を受けると、そこでは入所すると外界との連絡を一切遮断しなければならず、考えた末、ルーベンは、ルーと離れ離れになることを決意します。そして車のキーも電話も全て預け、施設に入所することに。

施設では手話を使っており仲間に入れず、何か出来る事をしようとしていると、責任者のジョーから何もしなくて良いと言われ、ひとつ、朝5時にコーヒーを用意するように頼まれます。

段々と落ち着いてきたルーベンは、施設の児童とも交流を持ち、手話を覚えて、打ち解けていきます。そしてジョーにこれからも施設で働かないかと誘われます。



 

しかし、ルーとの生活、外の世界に未練があるルーベンは、考えた末に持っていた車を売って、難聴治療の手術を受けることに。そして、以前とは違うが、僅かな音を取り戻したルーベンは・・・。後は、映画を観てくださいね。

 

とても雰囲気の良い映画でした。画面の構成、色、音、などが、とても上手く組み合わさっていて、観ていると、自分がその世界観に入れるんです。音が聞こえなくなるルーベンに、自分を重ねられるような、そんな映画なんです。

 

音楽をやっているのに、音が聞こえなくなると言う不幸に見舞われて、パニックに陥るルーベンなのですが、彼の心の中の葛藤と、外の世界の静寂が、とてもバランスよく描かれているので、主人公の苦しみがとても伝わってくる反面、外の静寂が彼を冷静に包んでいて、落ち着かせよう、落ち着かせようとしているように感じるんです。冷静に周りをみてみなさいよって言っているような映像で、彼の心が段々と変化していく様子が、良く描かれていたと思いました。

 

 

音楽をやっていて、突然に音が聞こえなくなるって、本当に衝撃だと思います。確か、ベートーヴェンも聞こえなったんですよね。音楽家なのに音が聞こえなくなるって致命的な気がするのですが、それまで音楽を続けてきた音が頭の中にあるから、静寂の中で音を紡ぐことが出来たのかなと思います。このルーベンは、突然に音が聞こえなくなり、戸惑い、どうしようもなくなるのですが、ろうあ者の施設に入り、静寂の素晴らしさも理解し始めたのかなと思いました。

 

それでも、ルーと一緒にバンドをしていた時の事が忘れられず、捨てられずに、どうしてもやっぱり戻りたいという気持ちを抱きます。この辺りの気持ちはとっても解るんです。好きな女性と共に音楽をやって来たのに、自分だけ取り残されたような気持ちになるし、ましてルーが一人でやっている音楽が、もしかしたらルーベンにとっては満足いくものではなくて、自分がいれば、もっとこうなるとか、色々と考えてしまったのかもしれません。

 

でも、どんなに頑張っても、音が聞こえていた時と同じに戻れる訳ではなく、ルーと元通りになりたくても、きっと、感覚が違ってしまっていると思いました。ルーが良いモノと、ルーベンが良いモノとは違ってしまったと思います。以前は、共有出来ていたのかもしれませんが、難しくなったのかなと思いました。

 

 

音が聞こえる時のルーベンって、本当に自分に厳しく、音に厳しくというように、音楽に真正面から向き合っているような男性なんです。それに命を賭けているというか、音楽命みたいな感じなんです。そんな音楽を取られてしまい、自爆放棄状態になります。それに人生を掛けていたような感じだっので、仕方ないですよね。でも、人生って、それだけじゃないし、ただ、音楽と向き合いたいのなら、耳が聞こえなくても、自分の中に音楽を奏でられるのだと思いました。

 

静寂の中の心の音楽の美しさに気が付けば、耳が聞こえなくても、頭の中に音楽は奏でられるし、静寂の中に自分の在りかを見つけられるのではないかなと思いました。そこに、ちゃんと居場所はあるんですよね。それに気が付けば、このルーベンも、平穏を手に入れられるのではないかなと思いました。

 

音は大切な感覚だけど、それ以外にも人間には沢山の感覚があるし、きっと、外からの音が入らなくなったとしても、自分の中の音は無くならないと思うんです。そんな気持ちになりました。

 

 

私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。あまり上映館が無いので、お薦めするのも心苦しいのですが、とても良い映画でした。これ、配信になったら、ヘッドフォンを付けて観れば、彼の感覚が理解出来るのではないかなと思いました。映画館だと、逆に周りの咀嚼音とか話し声とかがあって気になるんです。これはヘッドフォンで、部屋で一人で観た方が良いんじゃないかなと思いました。そうすると、彼の孤独感のようなものが、映画館よりも感じられるのではないかなと思いました。(Amazonプライムで観れると思います。)ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ」