「フォーリング 50年間の想い出」を観てきました。
ストーリーは、
航空機のパイロットであるジョンは、パートナーのエリックや養女モニカとロサンゼルスで暮らしている。ある時、田舎で農場を経営する父ウィリスが認知症となり、引退後に住む家を探すためジョンのもとへやって来る。ジョンは思春期の頃から保守的な父との間に心の溝があったが、認知症で過去と現在の出来事が混濁する父と向き合ううちに父子の50年間の記憶がよみがえり、不器用な父の秘めた思いに気づいていく。
というお話です。
空軍で航空機のパイロットを務めるジョンは、パートナーのエリック、養女のモニカとロサンゼルスで暮らしている。ある日、田舎で農場を経営するジョンの父親ウィリスが認知症を発症し、引退後に住む家を探すためにジョンの家へ連れて来る。
思春期の頃から、ジョンと保守的な父親との間には、ずっと埋まらない心の溝があった。だが、認知症のために過去と現在の出来事が混濁してゆく父と向き合ううちに、親子の50年間の記憶がとめどなく溢れ出していく。
保守的な父親のウィリスは、昔から口が悪く、自分以外の人間を見下したような人物だった。酷く差別的な考えを持ち、女は男の所有物と考えており、同性愛など以ての外。ジョンが子供の頃は、まだ相手をしてくれていたが、段々と暴力的になっていった。母親は、そんなウィリスに愛想を尽かし、ジョンがまだ少年の頃に離婚して、ジョンと妹を連れて、ウィリスの元を去ったのだった。
その後、ウィリスは再婚をしたが、その妻も亡くなり、今は、一人で農場を経営していた。そんなウィリスも、認知症が酷くなったようで、時々、全く違うことを話したり、過去と現在がごっちゃになってしまう。口は悪いままなので、周りの人々を酷く傷つけていた。ジョンも、妹も、そんな父親に我慢をしていたが、さすがに我慢しきれないほどの悪態を言われて、妹は涙ぐみ、その場を去ってしまう。
ジョンは、どんなに酷いことを言われようと我慢していたが、さすがに、キレてしまう事もあった。そして、ウィリスを入れようと考えている介護付きホームを見て回るのだが、あまり良い顔をしない。ジョンは、ウィリスを扱いかねて、とうとう、ウィリスに向かって怒鳴ってしまう。そして・・・。後は、映画を観てくださいね。
この映画は、監督・主演のウィゴ・モーテンセンさんが、自分の父親との親子関係を反映させた、半自伝的な内容の映画でした。私は、あまりにも父親が酷い男なので、マジで半自伝的なのかとビックリしましたが、まぁ、本当らしいです。映画を観て頂けると解るのですが、本当に酷く下品な父親です。子供の前で、平気で下ネタをバンバン話すし、放送禁止用語とされるモノも、平気で言い連ねます。映画を観ていて、さすがに、このジジイはダメだろうと思いました。
このウィリス、本当に酷い男なんです。若い頃は、ジョンの母親と結婚して、良い父親になりそうなんだけど、そう見えたのは、ほんの少しの間だけでした。気持ちの起伏が激しくて、機嫌が良ければ、息子の面倒を見て、遊んでくれるのですが、機嫌が悪いと、息子の誕生日だろうと酷い言葉を投げかけ、周りを凍り付かせていました。
大体、小さな子供たちが集まっているのに、その場でタバコを吸い、文句を言った母親に、「ここは俺の家だ。」と言い放つんです。今、そんな事を言ったら、パワハラだと言って、直ぐに離婚原因になりますが、当時は違うようでした。家の権利はあんたのモノかもしれないけど、そこに住んでいる家族のモノでもあるんだぞ!
息子が髪の毛を伸ばしていると、女みたいだから切れと言って、反発すると殴って馬から落としたり、とにかく、同性愛などは理解が出来ずに許せないらしいんです。息子がゲイだと知って、一応は、納得したんだろうけど、酷いことを言っていましたよ。よく、ここまで人を傷つけることが言えるなぁというほど、酷い言葉を投げかけていました。さすがに、文字に書くのも躊躇するような内容でした。多様性と言われる時代に、化石のような人物でした。
でも、一応は、息子の事も愛しているし、それなりに、彼なりに努力はしたのだと思います。介護老人ホームに行こうとしたり、色々と考えてのだとは思いました。でもね、親子でも、口に出して伝えないと伝わらない事って、思っているより多いんです。誰もが以心伝心なんて出来る訳が無い。感謝の言葉は、どんなに親しくても言うべきだし、間違ったら謝るべきだし、そういう基本が出来ないのは、問題だと思いました。昔の人だから仕方ないというのは、やっぱり通らないですよ。それは、家族が教育しなくちゃ。大勢で一緒に住む、介護老人ホームなどにはいったら、周りと仲良く出来ないと大変な事になっちゃいます。
それにしても、酷い父親だったなぁ。本当に、観ていて気分が悪くなりました。子供たちがいるのに、”女にツッこむ”とか、”ファック”とか、”ホモ野郎”とか、もっと酷いことも言っていましたが、書きたくありません。私も若い頃に、大工さんや土工さんに鍛えられたので、十分に酷い口のきき方をすることが出来ますが、さすがに、このウィリスほど、下ネタ連発で、相手を下げずむ言葉は言えません。
差別用語やセクハラも、若い頃に仕事場で言われていたので、ある程度は我慢出来ますが、このウィリスの言い方は酷かったです。ウィゴ・モーテンセンさんは、私より一世代くらい上なのかな。私が受けたパワハラ、セクハラよりも、もっと酷い時代だったのだと思います。昔は、差別が酷かったのでしょう。
そんな父親でも、心の中では、子供たちを愛していたのだろうと思うし、元妻も好きだったんだろうなぁという事が描かれていました。昔の人は、言葉に出すことが出来なかったんでしょうね。そんな事を言うもんじゃないという考えを、親から受けてしまったのだろうと思いました。ちょっと一言いえば、それで上手く行くのに、それが出来ないんですよ。可哀想だけど、生き難い人生だったでしょうね。
そんな事を思う映画でした。良い映画でしたよ。ウィゴさん、監督も出来るんですね。上手かったと思います。解りやすかったですもん。でも、ちょっと内容がハードだったかな。あそこまでウィリスが酷い言葉を言っていると、どうしても好感が持てないので、そこが残念でした。でも、そのおかげで、心の中が見えるんですけどね。良い映画だったと思います。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「フォーリング 50年間の想い出」