フランス映画祭in横浜で「約束」を観ました。
原題「LES PROMESSES」
ストーリーは、
パリ郊外の市長をつとめるクレマンスは、まもなく任期を終え、政治家人生の幕を閉じようとしていた。長年、忠実な右腕のヤジッドと共に、市の貧困や失業、スラム街の問題に真摯に取り組んできたクレマンスは、最後の大仕事を成し遂げるために、市民の説得に頭を悩ます。そんなある日、彼女に大臣職への誘いが舞い込み、政治人生を終わらせることを躊躇し始める。自分の政治家人生と数々の約束。彼女が政治家として選択するのは…?
というお話です。
パリ近郊の貧困層が住む集合住宅を持つ町の市長であるクレマンスは、まもなく任期を終え、政治的キャリアを終えようとしています。
最後の仕事として、秘書のヤズィードと共に、貧困、失業問題に取り組み、貧困層が住む集合住宅が難民などを絡めた貧困ビジネスの温床になっているのを何とか止めようと、区分所有者との交渉を始めていました。しかし管理費さえ滞納してしまう人々との交渉は、そう簡単には行きません。彼らの為に動いていても、その熱意はなかなか伝わりません。
そんな中、クレマンスに一本の電話が入ります。政党の関係者である人物から、次の大臣選定にクレマンスも候補者としていれるというものでした。大臣になる気があるなら、総理大臣と面接をして欲しいということです。クレマンスは、全国区で大臣となれば後世に名前が残ると言われ、欲が出てきてしまい、面接を受ける事にします。
ここで政治家としての野心が出てきてしまい、もっと何か出来るのではないかと思い始め・・・。後は、映画を観てくださいね。
この映画も面白かったです。市長をしている政治家が、任期を終えて、このまま引退しようかと思っていたのですが、中々、今動かしている案件が上手く行きません。最後の案件を解決して、花道にして政界を去ろうと考えていたのに、そんなに簡単に解決は難しそうなんです。秘書と悩んで、色々な手を考えるのですが、どーも上手く行きそうにない。どうしようかなぁ~と考えている所に、大臣の話が舞い込むんです。
貧困層の住む集合住宅のいくつかの部屋を安く買い取って、一部屋に難民を何人も収容して部屋代を取るという、日本でもある貧困ビジネスが、その集合住宅で行われているんです。こいつら、本当に悪徳なのよねぇ。1部屋にごろ寝をさせて、何人も住まわせるから、ボロ儲けなのよ。もし火事とかが起きたら、人が多すぎて避難が出来ないから、大変な事になるのにね。
そんな状態の集合住宅を、国の予算を付けて、正式に改装しようという話なんです。国が介入すると、一部屋の収容人数があるから、貧困ビジネスは出来なくなる訳です。それをしようと思うんだけど、区分所有者が、ちゃんと管理費を払っていないと、いくら所有者でも、権利が無くなるので、国へ要望が出せないんです。ちゃんと管理費を払って、管理人がOKを出して、国に要望するという手順が必要なので、クレマンスたちは、管理費を払うか、それとも管理人である弁護士を解雇して管理費を安くする管理人を雇うか、どちらかの方法を取ろうとするのですが、人が多いので、そう簡単には行きません。
1個の集合住宅くらい、どーでもいいじゃんと思うでしょ。でも、日本のマンションとは違って、とんでもない大きさの集合住宅なんです。日本のマンションを50個くらいくっつけた感じかしら。だって、長さが1kmとかあるんですよ。(笑) 規模が違うからね。
クレマンスは市長として、色々な改革に取り組み、この集合住宅もその1つなんですけど、最後に残っていたんです。そして住民には、必ず悪い様にはしないと約束をするんです。でも、このまま上手く行かなければ、約束は反故になってしまいます。
そんな時に大臣にという電話が来たので、もし、大臣になって政治家として仕事をしていけば、この力を使って、もっと色々な仕事が出来るかもしれないと、ちょっと欲が出てきてしまいます。力と名声が、もっと欲しくなってしまうんです。この気持ち、解るなぁと思いました。改革をして、人々に喜ばれて、羨望の目で見られたら、そんな嬉しい事ありませんもん。お金とは違う、欲ですよね。
でも、事はそう簡単には行きません。ネタバレは出来ないけど、色々な問題が出てきて、クレマンスは難しい決断を迫られていきます。そこが、凄く面白いです。自分の欲と、周りとのバランス、部下の気持ち、住民達の希望、政党からの命令などなど、政治がらみでドロドロしちゃいますが、そこが面白い。イザベル・ユペールが、強い意志で男たちを蹴散らして行く姿がカッコいいです。彼女は、美しく強く前に進んで、ある事に気が付いたら、直ぐに方向転換が出来るという、完璧な政治家を演じています。こんな市長さんだったら、みんな、もっと続けて欲しいと思うだろうなぁ。感動でした。
私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。まだ、日本配給が決まっていないのかな?凄く面白いんですよ。この貧困ビジネス問題は、日本でも問題になっているし、市長がどこまで出来るのかというのは、大阪市長が随分と色々と頑張っていましたよね。空回りすることもあるけど、地方行政の在り方と、国の行政の在り方の違いを描いているし、市長だって人の子だから欲もあるよねって感じが、ユペールさんの演技で、上手く描かれていました。これは、結構、日本人が観ても、うんうんって言えるような場面が多いと思います。公開されたら、ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「約束」