「アンテベラム」を観てきました。
ストーリーは、
人気作家でもあるヴェロニカは、博士号を持つ社会学者としての顔も持ち、やさしい夫と幼い娘と幸せな毎日を送っていた。ある日、ニューオーリンズでの講演会を成功させ、友人たちとのディナーを楽しんだ直後、彼女の輝かしい日常は、矛盾をはらんだ悪夢の世界へと反転する。一方、アメリカ南部の広大なプランテーションの綿花畑で過酷な重労働を強いられている女性エデンは、ある悲劇をきっかけに仲間とともに脱走計画を実行するが・・・。
というお話です。
リベラル派として知られるベストセラー作家のヴェロニカは、心優しい夫、幼い娘と幸せに暮らしていた。ある日、エリザベスと名乗る謎めいた女性のオンライン取材をこなした彼女は、講演会のために単身ニューオーリンズを訪れる。力強いスピーチで拍手喝采を浴びたヴェロニカは、現地で合流した親友らと高級レストランでのディナーに繰り出す。しかしその行く手には、公私共に順風満帆なヴェロニカを奈落の底へと突き落とす恐ろしい罠が待ち受けていた。
奴隷制度を信奉する南軍の旗が掲げられたアメリカ南部のプランテーション。ここに囚われの身となったエデンは、過酷な労働を強いられていた。脱走を試みた者は監視役に殺され、焼却炉で処分される。自由に言葉を発することも禁じられたエデンは、屈辱と恐怖の日々を耐え忍び、脱出のチャンスをうかがっていた。やがてある悲劇をきっかけに、エデンは奴隷仲間の男性イーライとともに脱走計画を実行するが。
まったく異なる境遇を生きるヴェロニカとエデンは、それぞれ自分が突然引きずり込まれた理不尽な極限状況さえのみ込むことができない。果たして、彼女たちを脅かす得体の知れないものの正体とは何なのか。そして、ヴェロニカとエデンが生き延びるために解き明かさなくてはならないものとは?(公式HPより) 後は、映画を観てくださいね。
この映画、凄かった。この恐怖は、もし自分が体験したら、死ぬほど恐いだろうなぁ。いや、だって、一歩間違っていたら殺されているからね。でも、この映画を、全くネタバレせずに感想を書くって、難しいです。何とかしてみるけど、うーん、出来るかな?
ヴェロニカという女性は、社会的な地位も確立され、俗にいうアメリカでの成功者です。社会学者であり、作家であり、議員との対談などもしています。話題の人という感じですね。そんな彼女に、オンラインでの取材依頼が入り、PCの前に座ってみると、エリザベスという白人女性が相手でした。取材のハズなのに、ヴェロニカを卑下するような言葉っぷりで、ほとんど話をせずに切ります。不穏な空気を感じたヴェロニカですが、それほど重要と感じずに、他の仕事に移動してしまいます。
そして、出張先での仕事を終えて、ホテルに帰ろうと、迎えのタクシーに乗るのですが、このタクシーの運転手がエリザベスで、誰かに押さえつけられて意識を失くしてしまいます。こんなに有名な人が、ちゃんと確認しないでタクシーに乗っちゃダメでしょ~!絶対に危ないよね。乗る時に、おいおい~!って思ったもん。そして拉致されちゃいます。
そして、場面が変わり、何故か1860年代の南北戦争時の南部のプランテーションで働かされているエデンという女性に視点が変わります。白人に管理され、酷い労働環境で生活を強いられています。この女性は何なんだろうと観ていると、そこで働いている黒人たちは、どーも、奴隷としての立場を受容れていない様子。この時代だと、リンカーンが奴隷解放宣言を1863年に出したので、勝ち負けが決まっていないなら、奴隷解放はされていないから、黒人奴隷は我慢して労働するしかなかったと思うんです。だけど、誰も納得していないみたいなので、おかしいなぁと思いました。
そして観ていくと、あれ?エデンの言っている事がおかしいなって事に気が付くんです。「まだ、その時じゃない。」とか、「今は我慢するしかない。」というような事を言っているので、凄い違和感を感じ始めるんです。
これ以上はあらすじを書けないっつー、難しい話なんだけど、この辺りから、とんでもない展開になっていって、ヴェロニカの時の映像を忘れずにいる事も大切だし、エデンに切り替わってからも、沢山の伏線が貼ってあるので、見落とさないように気を付けてください。驚くような関係が解ってきます。確かに、ヴェロニカは美しいからねぇ。狙われるのは仕方ないけど、それにしても酷いと思いました。
うん、まず、有名人は、セキュリティに気を付けないと危ないです。タクシーを確認しないで乗っちゃいけません。ホテルでも、レストランでも、変な様子があったら、直ぐにマネージャーみたいな人を呼ばないと、何があるか解らないです。観ていて怖かったですもん。どう考えても、狙われているって判ったのに、何で本人は気が付かないのよ。うーん、恐かった。
変わって、エデン視点の方ですが、アメリカの奴隷解放前って、本当に自由が無かったんですね。白人に対して、先に言葉を発してはいけないとか、何かあればすぐにムチ打ちしたり、焼き印したり、脱走したら殺されて焼却炉で焼かれるとか、もう、こんな事、本当にやっていたんだなって思って、驚きました。どう考えても、人間として扱っていないんです。平然とそんな事が出来る人達を見て、ゾッとしました。
こんな二人の女性が、実は、どう繋がっているのか、よく考えられていました。設定が上手すぎると言って良いほど、よく出来ていて、観た後に、ため息が出て、直ぐに立ち上がれませんでした。これは凄いです。ネタバレしたいけど、この内容は出来ません。知らないからこそ、驚きと恐怖が、凄い勢いで押し寄せてくるんです。これは、凄い!
私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。本当に良く出来ているストーリーで、恐かった。もし、自分がヴェロニカだったらと思うと、ぞっとして、外に出れなくなるかもしれません。凄いホラーというのか、スリラー映画なのかしら。素晴らしいとしか言いようがありません。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「アンテベラム」