「スイング・ステート」を観てきました。
ストーリーは、
ヒラリー・クリントンが敗北を喫した民主党の選挙参謀ゲイリー・ジマーは、農村部の票を取り戻す秘策として、YouTube動画で話題の退役軍人ジャック・ヘイスティングス大佐を田舎のディアラーケン町長選挙に立候補させる。大佐の娘ダイアナや住民のボランティアたちと地道な選挙活動がスタートするが、対立候補の現役町長ブラウンに、共和党がトランプの選挙参謀フェイス・ブルースターを送り込む。ディアラーケン町長選をめぐって、ゲイリー対フェイス、民主党対共和党の巨額を投じた代理戦争の幕が切って落とされた。
というお話です。
民主党の選挙参謀ゲイリー・ジマーは、ヒラリー・クリントンが大敗し、打ちのめされていたが、ウィスコンシン州の小さな町役場で不法移民のために立ち上がる退役軍人ジャック・ヘイスティングス大佐のバズっているYouTube動画を見て、リベラルな演説で人々の胸を打つ、彼こそが中西部の農村で民主党の票を取り戻す、起死回生の秘策だと確信。ゲイリーは、スイング・ステート(激戦州)のウィスコンシンを足掛かりに地盤を広げるべきと党を説得し、単身アポなしで田舎の寂れた町、ディアラケンへと赴き大佐に民主党からの町長選出馬を要請する。
ゲイリー自身が指揮を取ることを条件に大佐は出馬を了承し、大佐の娘ダイアナや住民のボランティアと、地道な選挙活動がスタート。しかし、対立候補の現役町長ブラウンに、共和党が宿敵、トランプの選挙参謀フェイス・ブルースターを送り込む。その日から、ディアラケン町長選をめぐるゲイリーVSフェイスの戦い、否、民主党VS共和党の巨額を投じた「仁義なき代理戦争」の幕が切って落とされた。
フェイスの参入で活気づいた町長陣営は、共和党からの資金でテレビCMを投下し始める。それに対抗するべくゲイリーは、大佐を連れニューヨークへ旅立った。大佐は多民族資産階級の典型的な民主党支持者を前に感動的な演説を披露し、資金調達に成功する。今度はゲイリーが大佐のテレビCMを流すと、フェイスはネガティブCMで対抗。フェイスが富豪の支援を獲得すると、ゲイリーはさらなる大富豪の援助を取り付ける。
あの手この手で抗争がエスカレートしながらも、大佐の支持率は上昇し、すべてが順調に思われたある日、数人の女性が苦情を訴えてきた。分析官のミスで、なんとカトリック修道会の尼僧に避妊を推奨するようなパンフレットを配布していたことが発覚。せっかく上がった支持率が一気に落ちたこのニュースはCNNを通じて全米で報道され、次期大統領選挙への影響まで心配される始末。勢いに乗ったフェイスは、トランプ贔屓のFOXニュースを使ってさらに揺さぶりをかけてくる。
いよいよ投票日まであと3日。絶望的と思われた大佐陣営だが、ゲイリーは、世間を揺るがすブラウン町長のスキャンダルを入手する。果たしてこの情報は大佐に勝利をもたらすのか?次期政権を懸けた“なりふり構わぬ選挙戦”に勝つのは、果たして誰なのか!? 後は、映画を観てくださいね。
この映画は、よく出来ていたなぁ。とても面白かったです。アメリカの選挙制度をとても解りやすく説明してくれていて、それによって、どれ程の経済効果が生まれ、どれくらいバカ騒ぎをするのかというのが、よく解りました。面白かったなぁ。
トランプとヒラリーの選挙戦は、まさかトランプが勝つとは思っていなかったのですが、この映画を観ると、統計上は既に判っていたようですね。うーん、ビックリでした。そんなもんなんですねぇ。
特に、私が驚いたのは、選挙を戦うためにお金をどうやって集めるのかという事でした。もちろん、お金持ちに寄付をして貰ったりするのだろうとは思っていましたが、スーパーPACなんていう、あんな便利な制度を作っちゃったんですね。あれダメでしょ。よく知らない私でさえ、それザルじゃんって思いました。表向きは慈善的な寄付に見えていても、選挙に投入されることがあるって事でしょ。それも、際限が無いっていうから、それじゃ裏金と一緒じゃん。酷い制度だなぁと思いました。
確かにスーパーPACの説明だと、選挙活動と政治活動は確かに分けるべきだとは思うから、言われてみればそうかなって考えるけど、でも、政治を自分の支持者にさせる為に使うとなったら選挙で使われちゃうよね。酷い言い訳で、酷い制度を作ったもんだと思いました。
主人公のゲイリーは、選挙戦の戦い方を熟知しているので、そういう裏工作などを沢山して、ディアラケンで選挙戦を始めます。この田舎の地域で民主党候補として町長選に勝てば、話題にもなるし、民主党への票が増え、次の大統領選に有利になると考えたからでした。
それにしても、ゲイリーと、敵方のフェイスの戦いは、えげつなかったなぁ。もう、あまりにも下品で、田舎町では浮いていました。でも、面白かった。この下品さと、長閑な田舎町の雰囲気のバランスが、とても笑えました。
日本の選挙だと、敵の悪口なんて言わないけど、アメリカじゃ、酷い広告をしたり、噂を流したりしますよね。そこまで言っていいの?って言うほどの悪口を言っているので、驚いちゃいます。まぁ、日本でも裏で噂を流したりするんだろうけど、あまり影響は無いよねぇ。アメリカは、その点、凄い悪口合戦になって、影響が出ますから、やられたらやり返さないと負けちゃいますよね。
小さな町なのに、町長選挙によって慌ただしくなり、マスコミも集まって、巨額の選挙資金が動きだします。それまでに、その町では動いたことが無いほどの金額が、選挙戦の騒ぎで使われていくんです。もちっろん、そのおかげで町の経済は活性化し、仕事も増えて行きます。町としては良かったけど、町の人々が、共和党と民主党、現町長派とゲイリー派に別れてしまうのではと心配になりますが・・・。そこは、この映画、とても上手い作りがされていて、面白かったです。
最後の方で、大どんでん返しがやってくるのですが、それが、また、予想もつかない展開なんです。私も、途中でゲイリーの娘・ダイアナの動きがおかしいなぁとは思いましたが、これほどの展開になるとは、予想がつきませんでした。よく出来ていたなぁ。上手い展開でした。最後、拍手をしたくなりましたもん。
私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。私は、こういう映画、大好きです。選挙戦の仕組みなどを解かりやすく伝えてくれて、問題点も組み込んであり、その上、最後に大どんでん返しをして驚かせてくれるなんて、こんな面白い映画、好きにならない訳が無い。私は、とても気に入りました。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「スイング・ステート」