「レミニセンス」を観てきました。
ストーリーは、
多くの都市が水没して水に覆われた世界。記憶に潜入し、その記憶を時空間映像として再現する「記憶潜入(レミニセンス)エージェント」のニックに、検察からある仕事が舞い込む。それは、瀕死の状態で発見された新興勢力のギャング組織の男の記憶に潜入し、組織の正体と目的をつかむというものだった。男の記憶から映し出された、事件の鍵を握るメイという名の女性を追うことになったニックは、次々とレミニセンスを繰り返していく。しかし、膨大な記憶と映像に翻弄され、やがて予測もしなかった陰謀に巻き込まれていく。
というお話です。
都市が海に沈み、水に支配された世界。その世界では未来への希望など持てなくなり、皆、昔の幸せだった頃の緑の自然を懐かしみ、自分の古い記憶に溺れる人々が増えていた。
そんな自分の過去に戻る為の案内人がエージェントのニックだ。人々の記憶に一緒に潜入し、希望する記憶の時間を固定させて人々を幸せに導くのだった。そんな<記憶潜入>を仕事として会社を経営するニック。
ある日、事務所に鍵を失くしたという女性がやってくる。彼女はメイと名乗り、レミニセンスにより鍵を落とした場所を探し出す。その出会いから、ニックとメイは恋に落ちるが、しばらくしてメイはニックの前から姿を消してしまう。
メイを探すニックに検察から仕事が舞い込む。新興勢力のギャング組織の男が瀕死の姿で発見され、その男の記憶に潜入し、ギャングの正体と目的を掴めという依頼だった。記憶から映し出される映像の中にメイを見つけたニック。
ニュー・オリンズの麻薬王セント・ジョーの愛人としてメイは記憶の中にいた。メイの手がかりをつかんだニックは、ギャングのいるニュー・オリンズへ向かうが、ジョーもメイに裏切られ追っていた。そしてジョーの所にいた汚職警官であるブースが全ての鍵を握っている事を知り、ブースを追うのだが・・・。
(公式HPより) 後は、映画を観てくださいね。
この映画、予告を観た時点で、日本の漫画・アニメのパクリなのかな?と思いました。清水玲子先生の漫画「秘密(トップシークレット)」は脳の記憶に潜入して事件解決をするけど、こちらは死人の脳へのアクセス。もう一つがプロダクションIGと士郎先生のアニメ「RD潜脳調査室」。こちらは電脳化が進んだ世界での脳への潜水による事件の捜査です。どちらも、この映画に似ているでしょ。秘密は1999年から描かれていて、RDは2008年の作品です。だからパクリ?と思ったのですが、観てみたら違いました。脳に潜入するという部分は同じだけど、私は、よく出来ていたと思います。
ニックという主人公がダイバーで、人が観たいと思う過去に連れて行く案内をするんです。案内をするから、一緒に潜ることになるので、その人の過去が全部見えるんです。過去を見せるサービス業なのですが、過去が見えるという事は犯罪捜査に役に立つという事で、検事などにも重宝がられているようでした。そんな中で、自分の失踪してしまった彼女メイを探して行くことになります。
これ、人の脳の中を覗いて、そこに出てきた関係者を探して、その人の脳を観てと、数珠つなぎのように観て行くと謎が解明されていくという作り方がされているので、時々、誰の視線なのか解らなくなったりというのがあるかもしれません。その上、現実のニックの動きも出てくるので、結構、あれ、今は誰かの脳の記憶かな、それとも現実なのかな?となる部分もあるかもしれません。でもね、最後までいけば、ちゃんと謎は解けるし、私は、この終わり方で綺麗だと思いました。
メイと出会って幸せそうな頃は、こんな展開になるとは想像がつきませんでした。始まりの映像で、この地球が末期だという事と、富豪が土地を買い占めて、富裕層はどんどん富んで、貧困層はどこまでも落ちていくというような説明があって、デモが行われている映像があるのですが、そこに繋がっていくのだとは思いませんでした。そして、映画の中で何度も、過去に囚われてはいけないという言葉が出てくるのですが、それが、やっぱり繋がってくるのかという所が上手いなぁと思いました。ちゃんと起承転結で出来ているので、終った後にスッキリするんです。
まぁ、現実と人の記憶と、色々入り混じるので、それがこんがらがってしまうと、ちょっと理解が出来ずに、嫌になってしまうかたもいらっしゃるかもしれませんが、整理すると、綺麗に1本の線で繋がっているので、それが解ると、スッキリすると思います。
こんな風に、もう滅んでいくだけという状況になった時代に生まれていたら、やっぱり前に進むことが嫌になっちゃう人も沢山出るんだろうなぁ。いい過去だけを、何度もリピート体験しているだけって人が大勢出るかもしれない。でも、それなら自殺した方がマシのような気がするんだけど、どうなのかしら。私は、新しいことを一つもしないなんて、死んだほうがマシだな。そんな退屈な人生、生きている意味が無いもん。なので、このレミニセンスのハマってしまう人の気持ちは理解出来ませんでした。ぬるま湯につかっていても、ふやけるだけで、何も面白くないでしょ。
映画の中で、ギリシャ神話のオルフェウスのお話が使われています。オルフェウスのお話って、亡くなった妻を取り返しに地獄に行き、ハデスにお願いすると、妻を返してやるが地獄の入口を出るまでは振り返ってはいけないと言われ、後ろをついてきている妻エウリュディケを心配しながら、入口まで来るのですが、あと一歩のところで我慢が出来ずに振り返ってしまい、妻は地獄へ行ってしまい、自分一人取り残されるというお話なんです。この映画の中では、ちょっと違う風に使われていましたが、結局は神話の通り、魂だけになって死者の国へ行き、妻と会えたという内容と一緒になったのだと私は思いました。
私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。但し、SF映画があまり得意ではない方は、ちょっと難しいかもしれません。何度も記憶繋ぎで進んで行くんだけど、過去に遡っていたりするので、SFが好きでないと、考えるのが面倒になっちゃうんじゃないかなって思うんです。でも、SF好きな方は、私と同じように楽しめるだろうし、もし、日本の漫画やアニメを知っているなら、もっと楽しめると思います。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「レミニセンス」