「ディナー・イン・アメリカ」型にハメられた生活で息が出来ない二人が出会って恋に落ちて行きます。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
スミマセンが、ペタの受付を一時中断しています。ごめんなさい。

「ディナー・イン・アメリカ」をFan’s Voice独占最速オンライン試写会にて観せていただきました。(@fansvoicejp)

 

ストーリーは、

過保護に育てられた臆病な少女パティは、孤独で単調な毎日を送っていた。そんな彼女にとって、パンクロックを聴くことだけが、平凡な人生から逃避できる唯一の楽しみだった。ある日、パティはひょんなことから、警察に追われる男サイモンを家に匿う。なんと彼の正体は、パティが大好きなバンド「サイオプス」の覆面リーダーであるジョンQだった。

というお話です。

 

 

パティは孤独で臆病な少女。過保護に育てられ、したいこともできず、単調な毎日を送っている。唯一、平凡な人生から逃避できる瞬間、それはパンクロックを聴くことだった。高校生からもバカにされ、いつもおどおどしている。ペットショップでアルバイトをしていたが、ある日、最低賃金設定が上がったからという理由で突然にクビを言い渡され、外のベンチで茫然としていた。

そんな彼女の目の前を不審な男が走り去る。どうも警察に追われているらしい。警察がパティに似顔絵を見せて見ていないかというが、知りませんと言い、警察は行ってしまう。



 

逃げていた男はサイモン。ある場所で知り合った女性の家に行ったが、あまりにも酷い家族だった為、ムカついた腹いせに窓を壊し、庭に火をつけて逃げてきたのだった。

サイモンは2週間ほど行くところが無いので匿って欲しいと言い、パティは自宅へサイモンを連れて行く。両親と弟は不審に思いながらも、とりあえずは迎え入れる。実はその男こそが彼女の愛するパンクバンド“サイオプス”の心の恋人、覆面リーダーのジョン Q だった。(公式HPより) 後は、映画を観てくださいね。

 

 

この映画、好きだったなぁ。型にハメようとする人々が多い中で、その型をぶち壊して息をしようとする姿が、とても活き活き描かれていて、観ていて嬉しくなる作品でした。若い頃って、周りが鬱陶しくて、息苦しく感じるのよね。うんうん、解るなぁって感じでした。この何ていうか、大人なんだけど大人になり切れない部分と大人にならせて貰えない部分があって、二人がそれに抗っている姿が、凄く良いんですよ。

 

パティは、過保護?に育てられていて、大人になった今も、親がとっても厳しいんです。ロックのライブに行きたいと言っても、危ないんじゃないかって言われて、家に居なさいって言われちゃうんです。その危ない理由が、フラッシュがチカチカするからって、ポケモンのアニメかよって笑っちゃいました。そんな家ですが、ご両親は悪い人ではありませんでした。

 

 

この映画、3つの家族の食事風景が出てくるのですが、まず最初がサイモンが放火しちゃう家族の食事。この家族、父親が食事の時もTVをずっと見ていて、全然食事を見ていないんです。ただ食べ物を口に運んでいるだけ。酷いでしょ。次に、パティの家の食事は、家族の事について話したり、このご飯美味しくないとか美味しいとか、そんな家族の会話を楽しんでいるんです。そしてサイモンの家族の食事は、家族の事を話しているのですが喧嘩ばかり。相手の言い分も何も聞かずに、ただ非難するだけなんです。

 

色々なアメリカの食卓が描かれていて、それぞれに、家族の在り方が見えてきます。ただ、自分たちの欲望のみを満たせば良いと思っていたり、周りからの目を気にしすぎて家族を罵倒したり、家族を思いながらも変化を極端に拒んでいたり、それぞれに問題があるんです。でも、みんな違うのは当たり前だし、どの家にも問題があるのは当たり前。それが嫌ならぶち壊せば良いだけなんですよね。

 

 

そんな感じでパティとサイモンは、自分の家族の形をぶち壊して、新しい自分を探し出すという、何とも素敵なお話でした。うんうん、新しい自分を探すためには、一歩踏み出さなくちゃね。恐いし、不安だけど、それを克服しない限り、世界は開けないんです。

 

最初は、サイモンはあまりにも強烈に壊れているし、パティは引き籠っていて自分の意見も言えない感じなんだけど、二人が出会って、それぞれに刺激し合って行くと、変化していくんです。その変化が、何とも不思議にカッコ良く見えるのよねぇ。パティは”ダサい”し、サイモンは”ラリってる”風なのに、それが、映画の中で一番マトモな事を話している人物に見えてくるところが、不思議でした。魅力的な二人でした。

 

 

それにしても、パティが着ている衣装があり得ないほど笑えました。星条旗柄のワンピースってなんだよっ!(笑) バイト先の作業着も酷かったなぁ。よく、ここまでダサい服を見つけてきたというか、作ったんでしょうね。だって、メガネを取ると、パティはとっても可愛いんですもん。それが、ダサい服で、ドン臭い演技を披露してくれて、徹底的にやってくれているので、凄く面白いんです。

 

サイモンのバンド仲間も出てくるのですが、こいつらはメディア志向で、やりたい歌をやるというサイモンとは上手く行っていないんです。曲はサイモンが作っているのに、なんだか友達を裏切る感じが嫌な奴らだなぁと思いました。バンドの話になると、こういうのが多いけど、実際にそういう事が多いのでしょうね。歌が好きなだけじゃ続けられないのかな。

 

 

私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。この映画がサンダンス映画祭などで絶賛されたのが解ります。ブラックユーモアの描き方が上手いんです。ぼんやり見ていると、ただアウトローな二人の話に見えちゃうんだけど、家族や食事風景などを良く観ていくと、深い事を描いていて、社会をぶった切っているんです。面白いです。ぜひ、観に行ってみてください。9月24日から公開です。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「ディナー・イン・アメリカ」