「全員切腹」たった26分間に深い内容が詰まっており、そこらの長編映画以上の作品でした。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「全員切腹」を観てきました。

 

ストーリーは、

物語は明治初期。ある流れ者の浪人の侍が、「井戸に毒を撒いて疫病を広めた罪」で 切腹を命じられる。果たして、その侍は・・・。

というお話です。

 

 

この映画、全部で26分のショートフィルムです。短い映画なので、ほとんどあらすじがネタバレです。でも、少々のネタバレくらいでは語れない内容です。

 

ストーリーは、上記の通り、ある村で疫病が流行り始め、どうも誰かが毒を撒いているらしいという噂が流れます。映画の最初の場面で、鬼の面を付けた遊女が、自分の小指を切って井戸に入れている場面があるので、疫病の彼女が、きっと不幸な身の上を呪って、病気の自分の身体を切って、井戸水に投げ入れ、病気を媒介させたのだと思います。

 

病気が蔓延した町では、犯人捜しが始まり、役人の侍は、よそ者の怪しい奴を片っ端から捕まえて、責任を負わせて、切腹させています。病気を媒介させている現場を綺麗にすることも無く、無料で薬を配るでもなく、病気の町民に対しては何の助けもせずに、犯人捜しだけを優先し、次々と殺して行く。

 

 

今の日本と同じだと思いませんか?コロナ感染したかもって苦しむ人たちに、直ぐに検査を行うでもなく、何度も保健所連絡させて、やっと検査を受けて陽性だと解っても、病院に入れずに自宅で寝ているだけ。何もしてくれないんです。電話で連絡をすると言っても、急激に悪くなったら電話に出れないでしょ。今時、ペットを外出先のスマホで見れる時代に、病気で寝ている人の容態を電話の声だけに頼っているなんて、不思議じゃないですか?せめてモニターだけでも配って、いつも監視する必要は無いけど、定時観察として顔を見るとか、もしも定時観察時にカメラの前にいなければ、直ぐにカメラを動かして部屋内をチェック出来るようにするとか、何か出来ないの?倒れていたら大変でしょ。

 

何の対策もせずに、飲食店が媒介しているとか、人が集まるからダメだとか、国民に制限をするばかりで何もしないですよね。確かに、私も飲食店での会食が媒介していると思いますよ。デルタ株なら、もしかしてある程度空気感染していると思います。飛沫が気流に乗って、電車の中、会社の中、店舗の中、映画館の中など、飛んでしまうのは判っていますもんね。でもね、お願いばかりじゃなくて、何か対策をしろって言うんです。犯人捜しなんてしなくていいから、感染したらすぐに収容して、それ以上広げない対策をするべきでしょ。犯人捜しは、もう判っているんだからイイんです。検査も無料でいくらでもやって、陽性になったら直ぐに収容することが、感染対策でしょ。

 

 

そして、この映画でも、犯人にされた窪塚さん演じる侍が、長台詞で訴えるんです。そして「世が世なら、おまえら全員切腹だ!」っていう、宣伝に使われているセリフを叩きつけて、切腹していく。これ、もう、窪塚さんが飲食店みたいな気がして苦しくなりましたよ。自分がここで死ぬのは、もう仕方ないかもしれないけど、でも間違っているって訴えているんです。誰かが犠牲にならなきゃいけないのかもしれないけど、これ、違うからなって言っているんです。たった26分のショートフィルムで、長いストーリーがある訳じゃないのに、あまりにも衝撃的で、凄い深い事を訴えていて、短い映画なのに、脳が凄く疲れました。そして、2時間モノの映画を観たほどの内容のような気がしました。

 

映像も凄くカッコいいんです。映像にも音楽にもこだわっていて、本当にカッコいいです。映画好きの方なら、きっと、下らない内容を長々と2時間もやっているより、この26分の方が、よっぽど映画らしいと思っていただけるような内容だと思いました。

 

 

この映画、よく上映までこぎつけてくれました。だって、普通なら、ショートフィルムとか言ったら、ネットで流すとか、何本かセットにして、公開でしょ。こんなに良い内容なら、30分くらいでも、十分にお金を取って上映しても良いと思うけど、それがシネコンなどでは出来ないのだと思うんです。これは、良い試みだと思いました。良い作品なら、時間が短くても、ちゃんと観に行くんですよ。1000円で観れるし、お得だと思います。

 

ミニシアターも、こういう良いフィルムを長編映画の合間にはさんで行くというのは、営業的にも良いんじゃないかな。沢山の映画を上映出来るし、お客様も増えるし、今後、こういう事も選択肢に入れて欲しいと思いました。

 

 

ま、それには、良質のショートフィルムが出来てくれないと困るけど、あの「JUNK HEAD」だって、元はショートフィルムでしょ。本当は良い作品があるのに、公開場所が無いだけなんじゃないかな。映画監督たちも、大きな作品ばかりじゃなくて、少ない予算でショートフィルムを造ってくれると嬉しいな。そのショートフィルムが長編になるかもしれないし、若手の監督も育ちやすくなるんじゃないかと思うんです。

 

豊田監督、この作品の前にも「狼煙が呼ぶ」というショートフィルムの公開をしたようですね。私、知りませんでした。観れば良かったなぁ。

 

 

私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。これは、新しい試みだと思って、凄く嬉しくなりました。それに、素晴らしい内容の映画です。ショートフィルムだと思って、バカにしないで欲しい。これは、そこらの長編よりも映画らしくて、深い内容でした。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「全員切腹」