「彼女来来」を観てきました。
ストーリーは、
キャスティング会社で働く30歳の佐田紀夫は、交際3年目になる恋人・田辺茉莉と平穏な毎日を過ごしていた。ある夏の日、帰宅した紀夫は、窓から差し込んでいた焦げつくような夕陽を目にした瞬間、奇妙な感覚に襲われる。気づくと部屋にいたはずの茉莉の姿はなく、代わりに見知らぬ若い女がいた。透き通るような白い肌のその女・マリは、困惑する紀夫に「ここに住むために来た」と話す。
というお話です。
都内郊外のキャスティング会社で働く男・佐田紀夫、30歳。彼は交際三年目になる恋人・田辺茉莉と、穏やかな毎日を送っていた。
ある夏の日。紀夫が家に帰ると、窓から強い夕陽が差し込んでいた。焦げるようなその日差しを目にした瞬間、紀夫は奇妙な感覚に襲われる。気付くとそこにあるはずの茉莉の姿は無く、代わりに見知らぬ若い女がいた。
困惑する紀夫に、"ここに来る前の記憶は無い。何となくここに住むために来たみたい"、と無茶苦茶なことを言う。透き通るような白い肌のその女は「マリ」と名乗り、ここには自分以外のマリもいるのかと聞く。
突然失踪した恋人を探しながら、別人との奇妙な関係に迷い込んでいく佐田。段々と”マリ”への想いが曖昧になっていく。後は、映画を観てくださいね。
この映画、淡々としているように見えて、じわじわくる内容で、面白かったです。主人公の紀夫は、平凡な男性です。何処にでもいるような、ちょっと仕事が出来て、イケメンとは言えないけど適度にカッコ良く、誠実な人です。そんな彼には、可愛い恋人がいて、同棲しています。もう3年も一緒に居て、とても仲が良いです。もう、理想のカップルでしょ。それなのに、突然、彼女・マリが居なくなります。失踪しちゃうんです。
警察に相談すると、まだ1日だから、帰ってくるかもしれませんよって言われ、しばらく待っても帰ってこないので、マリの姉に話しをして、必死で探すのですが、見つかりません。すると、突然、部屋に知らない女性が寝ていて、”私、マリだけど。”って言うんです。部屋に来るまでの記憶は無くて、出て行ってと言っても、行くところが無いと言うんです。
うーん、変でしょ。気持ち悪いですよね。もちろん紀夫も気持ち悪いから追い出して、またマリを探し始めるんだけど、新しいマリは行くところが無いから、紀夫の部屋の周りでウロウロしているんです。紀夫は、仕方がないので部屋に入れて、早くどこか行くところを見つけて出て行って欲しいと言うんです。
私は、この新しいマリを家に入れてしまった時点で、「紀夫、詰んだな」と思いました。だって、こんな奇妙な女、自分から家に入れてやったら、アウトでしょ。居ついちゃいますよ。でもね、入れてしまう気持ちは解らなくはないんです。もし、好きな人が突然にいなくなって全く理由も解らなくて、家族にも知らないと言われたら、ちょっと精神的におかしくなりますよね。
そして、新しいマリが現れて、ここに住むと言われたら、あれ?自分がおかしいのかな?と思ってしまうかもしれないと思いました。もしかして、これが本当のマリで自分に見えているものが違っているのかもしれないとか、中身だけこのマリに入ったのかなとか、最初からこのマリだったのに気が付かなかったのかもとか、訳わからなくなってしまうかもって思ったんです。
まぁ、普通なら、記憶が無いと言ったら警察に連れて行って記憶が無いらしいですと届けるはずだけど。だって、最初のマリが居なくなった時は、失踪届を警察に出しているのだから、新しいマリも記憶が無いなら届けるべきなのよね。だって、証明書が何も無いという事でしょ。どうやって生活をするのかな?と思いました。証明書が何も無くて身元が分からないと言うのは、思っているよりも深刻で、生活を続けるのは大変なことなんですけどね。まぁ、紀夫が面倒を見てるなら、ペットを飼ってるようなもんなんだけど。
それにしても、じわじわくる、面白いお話でした。派手な映画じゃないんだけど、何か、こう、じわじわくる、後に残る映画でした。これ、忘れられないかもしれない。今でも、ふと、あのマリはどうなったんだろうとか、新しいマリは身元は判ったんだろうかとか、紀夫は納得して、結婚したのだろうかとか、何が引っかかっているのか分からないけど、自分の日常にも起こりそうな気がして、じわじわしたんです。うーん、面白い映画でした。
キャストも良かったな。最初のマリを奈緒さんが演じていて、笑顔がとっても可愛いのですが、新しいマリを天野はなさんが演じていて、最初笑わないし、のっぺりした顔に見えるし、恐いんです。このギャップが、段々と無くなって、どちらもマリになっていくところが、面白いし恐いんです。
私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。この映画、あまり宣伝していないし、話題に上って無いけど、私は、これ、良い映画だと思いました。じわじわくる、日常に潜む不安要素を良く描いていたと思います。面白かったです。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「彼女来来」