「名もなき歌」現実にあった事件を映画化した問題作です。ペルー経済危機時代の暗黒面です。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「名もなき歌」を観てきました。

 

ストーリーは、

1988年、政情不安に揺れる南米ペルー。貧しい生活を送る先住民の女性ヘオルヒナは妊婦にラジオで無償で出産させてくれる産院を知り、首都リマのクリニックを受診し、そこで無事に女児を出産する。しかし、直後に院外へと締め出され、生まれたばかりの娘を何者かに奪い去られてしまう。夫とともに警察や裁判所に訴えるが有権者番号を持たない夫婦の言うことは誰も取り合ってくれない。泣きながら新聞社で窮状を訴えるヘオルヒナから事情を聴いた記者のペドロは、事件を追って権力の背後に見え隠れする国際的な乳児売買組織の闇へと足を踏み入れる。

というお話です。

 

 

1988年、政情不安に揺れる南米ペルー。貧しい生活を送る先住民の女性、20才のヘオルヒナは、民族音楽とダンスを披露することを生業としている夫に嫁ぎ、妊娠していた。食べる物にも困るような生活で、ある日、ラジオで妊婦に無償医療を提供する財団の存在を紹介しており、首都リマの小さなクリニックを受診する。

 

優しい対応をされ、産まれそうになったら来るようにと言われ、数日後、陣痛が始まり、再度クリニックを訪れたへオルヒナは、無事女児を出産する。しかし、その手に一度も我が子を抱くこともなく院外へ閉め出され、娘は明日には渡すからなどと適当な事を言われてしまう。驚いたヘオルヒナは、ドアの前で何度も訴えるが、聞き入れてもらえない。そして、そのまま子供は帰ってこず、何者かに奪い去られてしまう。

 

夫と共に警察や裁判所に訴え出るが、有権者番号を持たない夫婦は取り合ってもらえない。先住民族で、税金などを納めていない人々は、国民として認めて貰えていないのだった。新聞社に押しかけ、泣きながら窮状を訴えるヘオルヒナから事情を聞いた記者ペドロは、事件を追って、権力の背後に見え隠れする国際的な乳児売買組織の闇へと足を踏み入れるが・・・。(公式HPより) 後は、映画を観て下さいね。

 

 

この映画、実話を基に作られているのですが、1988年当時、経済危機に陥ったペルーは、ハイパーインフレとなり、誰もが生活に苦しんでいました。そんな時、妊娠中のオルヒナは、無料で出産させてくれるというクリニックをラジオで知ります。何もかもが高くなり、生活が苦しい時期に、無料で出産をさせてくれるなんていう病院があれば、そこに行きますよね。

 

ラジオで宣伝しているくらいだから問題は無いだろうと思って、その病院にかかるのですが、病院で出産をしたら、突然に手のひら返しで、子供を取り上げて、そのまま逃げてしまうんです。驚きますよね。だって、今、産んだのに、そのまま見せてもくれないで、取り上げて逃げてしまうって、悪魔みたいじゃないですか。

 

 

ビックリしたのは、産んだらすぐに、病院の外に母親を締め出して、子供を返さないんです。産んだ後に具合が悪くなる人だっているのに、そのままビルの廊下に出すって、どーいうことなのかしら。現代なら、直ぐにスマホとかで警察を呼ぶんだろうけど、1988年では、ペルーでは普通の電話さえ各家についているのかっていうくらいで、直接、警察に訴えるしかなかったようでした。

 

問題なのは、このオルヒナという女性は、先住民族で税金もろくに払っていなくて、有権者番号(日本で言う住民票のようなもの)を持っていないんです。ペルーに住んではいるんだけど、登録をしていないので、警察は、市民の為の警察だから、市民じゃない人の申し出は受け付けられないなぁと言うんです。これもビックリですよね。日本で言ったら、ホームレスの人が襲われたと警察に駆け込んでも、あなたは住民登録していないから守れませんっていう感じですよ。あり得ないですよね。

 

 

そしてオルヒナは、新聞社に駆け込んで、記者に訴えるんです。記者は、あまり乗る気ではないのですが、一応、調べ始めます。すると、ペルー各地で同じような事が起こっており、赤ちゃんたちは、海外に養子に出されているらしいことが解ってきます。もちろん、善意ではなく、子供を売買しているんです。

 

国の役人なども加担していて、国も、貧しい国民に育てられるより、海外で幸せな養子になった方が良いだろうと考えているんです。これは、驚きました。だって、自分の国で子供が育てられないなんて、未来はどうなるんですか。酷い話だと思いました。この時代のガルシア大統領という人がダメだったんでしょうね。

 

 

産まれたばかりの赤ちゃんは、消息不明のまま、全く何処に行ったのか判りません。新聞記者も、謎を追って行くと、どこかからの圧力がかかり、証拠らしきものを見つけても、公表出来ないようにされてしまいます。あまりにも、沢山の人々が関わっているので、公表されると困るのでしょう。記者は脅されて、何も出来なくなってしまいます。

 

産んだ子供たちは、母親の元には帰らず、消息も不明のままで、今まで隠されていて、それを、この監督が映画化したようです。恐い話ですよね。この時代、子供の売買が公然と行われていたことにビックリしますよね。誰も問題視しないというところにも驚きでした。

 

 

私は、この映画、お薦めしたいと思います。恐ろしい現実を、やっと今、映画化して、知らしめることが出来るというのが、凄い事だと思いました。連れていかれた子どもたちは、今、30歳くらいになっていると思うのですが、どうしているのかしら。本当に養子にされて育てられたのか、臓器提供として殺されたのか、奴隷のようにされてしまったのか、どうなったのかは判りません。恐ろしいです。こんな事が現実に起きていたという事を、知って欲しいです。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「名もなき歌」