「キネマの神様」を観てきました。
ストーリーは、
映画監督を目指し、助監督として撮影現場で働く若き日のゴウは、撮影所近くの食堂の娘・淑子や仲間の映写技師テラシンとともに夢を語らい、青春の日々を駆け抜けていた。しかし、初監督作「キネマの神様」の撮影初日に転落事故で大きなケガを負い、作品は幻となってしまう。大きな挫折を味わったゴウは夢を追うことを諦めてしまい、撮影所を辞めて田舎へと帰っていった。それから約50年。かつて自身が手がけた「キネマの神様」の脚本が出てきたことで、ゴウの中で止まっていた夢が再び動き始める。
というお話です。
無類のギャンブル好きなゴウは妻の淑子と娘の歩にも見放されたダメ親父。そんな彼にも、たった一つだけ愛してやまないものがあった。それは「映画」。行きつけの名画座の館主・テラシンとゴウは、かつて映画の撮影所で働く仲間だった。
若き日のゴウは助監督として、映写技師のテラシンをはじめ、時代を代表する名監督やスター女優の園子、また撮影所近くの食堂の看板娘・淑子に囲まれながら夢を追い求め、青春を駆け抜けていた。そして、ゴウとテラシンは淑子にそれぞれ想いを寄せていた。
しかしゴウは初監督作品の撮影初日に転落事故で大怪我をし、その作品は幻となってしまう。ゴウは撮影所を辞めて田舎に帰り、淑子は周囲の反対を押し切ってゴウを追いかけて行った。
あれから約50年。歩の息子の勇太が、古びた映画の脚本を手に取る。その作品のタイトルは、『キネマの神様』。それはゴウが初監督の時、撮影を放棄した作品だった。勇太はその脚本の面白さに感動し、現代版に書き直して脚本賞に応募しようとゴウに提案する。
最初は半信半疑で始めたゴウであったが、再び自身の作品に向き合う中で、忘れかけていた夢や青春を取り戻してゆく。(公式HPより)後は、映画を観てくださいね。
この映画、志村けんさんが亡くなって、撮影がどうなるのかと心配された作品でしたが、沢田研二さんが志村さんの代わりに演じてくださっていて、出来上がっていました。松竹の100周年記念であり、原田マハさんの原作小説を映画化したものです。
主人公のゴウの若い頃を菅田将暉さん、年を取ってからを沢田研二さんが演じています。このゴウですが、若い頃は血気盛んで、映画に情熱を燃やしていました。今の映画関係の人たちもそうだと思うけど、ああでもない、こうでもない、人物の心理描写はとか、カット割りはどうかとか、もー、イライラするほどこだわるんですよね。芸術だと思っているだろうから、そりゃ、こだわるのは理解出来るんですけど、周りからしたら、めんどくせーなーって思うような事も多いと思うんです。きっと、凄い監督って、そこで周りを納得させることが出来るモノを持っている人なんだろうと思うんですよねぇ。それが何かは解らないけど。
で、ゴウちゃんは、結局、周りを納得させられず、自分も納得出来ずに映画を辞めてしまうんです。それから50年後、お爺ちゃんになったゴウは、ギャンブルとお酒が好きで、サラ金に借金をしてまで遊んでいて、娘に怒られているという状態です。どうしてもギャンブルが辞められないみたいで、こういう人って困っちゃうよねぇ。そんなにギャンブルって面白いかしら。
私は、ゲームは面白いと思うけど、それでお金を儲けようっていう気持ちに全くならないんです。お金は仕事で儲けるものと認識していて、ギャンブルをするならお金を捨てるとしか考えていないんです。なので、ギャンブルにお金を継ぎ込む人の事は理解が出来ません。このゴウは、酷かったなぁ。どこで、あの真面目そうな菅田くんのゴウから、酒好きギャンブル好きのゴウに変わっちゃったのかなぁ。
グータラ親父なんだけど、どこか憎めない感じのあるゴウ。妻の淑子は、そんなゴウが大好きで甘やかしているんです。なので娘の歩に凄く怒られているんですよ。困った夫婦だけど、良い家族でした。そして、歩の息子勇太が、ゴウが書いた脚本「キネマの神様」を見つけて、年を取った今、また映画の夢が動き始めるんです。ちょっと、良かったですよ。
若い頃に、ゴウや淑子、テラシンの憧れだった女優・園子を北川さんが演じていて、凄く素敵でした。古い映画に出てくる女優さんのように作ってあって、ホント、綺麗だったなぁ。いや、もう、改めて美しい女優さんだと認識しました。大好きです。
映画の中で、ゴウが歌を歌う場面があって、そこで「東村山音頭」を歌うんですけど、なんか、悲しくなってきちゃいました。志村さんにあてて書かれた脚本を、沢田さんは、よく受けて演じてくださいました。きっと、誰が観ても、どうしても志村さんを思い出してしまうだろう内容なのに、それを解かって、演じて下さった沢田さんにありがとうと言いたいと思いました。確かに、志村さんだったら、もっと笑えたのではないかと思います。でも、若い頃に菅田くんなんだから、容姿は沢田さんの方が繋がっているかな。沢田さんは、真摯に向き合って、志村さんの役を演じてくださいました。その気持ちが伝わってきて、それだけで、この映画を観た甲斐があったと思います。
内容は、山田洋次監督なので、まぁ、そんなに他の映画と変わりはありません。いつもの感じかな。映画の中で、リリーさんが演じる監督が他の人に言われるんだけど、平凡なカットなんだけど、繋げていくと凄い映画になると言っているんです。山田監督もそのタイプだよなぁと私は思っています。目新しさは無いし、描くモノも毎作、それほど違いは無いけど、繋がると、何となく良いんだよなぁと思えるんですよね。
私は、この映画、超!お薦めしたいと思います。色々、出来る前に話題になった映画ですが、映画になってからも、もっと話題になってもいいんじゃないかな。よく出来ていますし、ちゃんとコロナ禍の事も描いているし、なんたって北川さんが美しい!軽い気持ちで観に行って、ちょっと感動して帰ってくるのも良いのでは?ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「キネマの神様」