「夏への扉 キミのいる未来へ」を観てきました。
ストーリーは、
1995年、東京。ロボット開発に従事する科学者・高倉宗一郎は、亡き父の親友だった偉大な科学者・松下の遺志を継ぐプラズマ蓄電池の完成を目前にしていた。愛猫ピートと松下の娘・璃子との穏やかな日常の中で、研究に没頭する宗一郎だったが、信頼していた共同経営者と婚約者に裏切られ、自身の会社も開発中のロボットや蓄電池もすべて奪われてしまう。さらに宗一郎は人体を冷凍保存する装置・コールドスリープに入れられ、2025年の東京で目を覚ます。
というお話です。
将来を期待される科学者の高倉宗一郎は、亡き養父である松下の会社で研究に没頭していた。宗一郎は、小さい頃に両親を亡くし、父親の親友である松下の家に、ペットのピートと一緒に引き取られたのだ。
孤独だった宗一郎は、自分を慕ってくれる松下の娘・璃子と愛猫ピート、そして新しい家族を大事に思っていた。しかし、松下夫妻も事故で亡くなってしまう。そして璃子の叔父が松下の会社を継ぎ、研究関係は全て高倉が引き継ぎ、開発は続いていた。
ある日、研究の完成を目前に、宗一郎は罠にはめられ、研究成果も全て取られてしまい、冷凍睡眠させられてしまう。
目を覚ますと、そこは30年後の2025年の東京。宗一郎は研究も財産も失い、璃子は謎の死を遂げていた。失って初めて、璃子が自分にとってかけがえのない存在だったと気づく。目覚めた時、目の前にいたのは、人間にそっくりなロボット・ピート。猫のピートと同じ名だ。
宗一郎はピートの力を借り、30年の間に起こったことを調べ始める。そしてある物理学者にたどり着く。その人物に逢い、情報を得て、驚きの事実を知った宗一郎は、再び1995年へと時を超える。ただ、璃子を救うために。後は、映画を観てくださいね。
(この場面、結構、ツボでした。ガラスの仮面って・・。(笑))
1956年にロバート・A・ハインラインにより書かれた小説「夏への扉」。大好きなSF作品です。子供の頃に、表紙の猫の絵に惹かれて読み始め、夢中になって、今も、大切に読んでいます。なんたって1956年のSF小説ですから、現代にどうやって置き換えるのか、期待していました。だって、小説では未来の事を書いているけど、現代は、その未来を超えちゃっているんですから。小説の中では、1970年とか2001年の事を描いていて、ロボットが人間の代わりに仕事をしていたり、タイムマシンが開発されていたりするんです。でも、既に2021年にそれは出来ていないでしょ。どれくらい小説と時を変えるのか、変えすぎると小説の内容と合わなくなるので、ちょっと心配していました。
でも、心配ご無用。上手く出来ていました。原作を壊さない程度に、時代を変え、場所を日本にして、一般の方にも理解しやすいように、構成も考えてありました。SFって、タイムリープすると解らなくなっちゃったりする人いるでしょ。でもね、とても解りやすく整理して、構成してあったと思います。
今、この話を映画化すると、観たことあるような、聞いたことあるような内容に見えるかもしれませんが、このお話が元なんです。今まで観ていたものが、この小説を起点として作られているものなので、今、原点回帰しているという事なんです。古典も古典、誰もが、この小説を読んで、色々なお話を創造して作っていったんです。
今回は、1995年の日本。有名な若手科学者である宗一郎が、罠にハマり、全てを取られてしまい、コールドスリープさせられてしまいます。この罠の部分は、ネタバレになるので書けないのですが、まぁ、頭が良くて子供の頃からチヤホヤされていたので、人を疑わないんですよ。罠に嵌めやすかっただろうなぁ。それで、開発した全てと所有していた権利なども取られてしまうんです。
でも、この罠に嵌めた方ですが、こんな天才的頭脳を罠に嵌めて放り出すなんて、頭が悪いなぁと思いました。この頭脳なら、もっと色々な物を開発して、商売になるって判るだろうに、これだから目先の事しか見えない人間は使えねーなーって言われちゃうんです。私なら、もっと開発させて、奴隷のように働かせちゃうけどなぁって思いました。そしたら、タイムリープなんて事も出来なかっただろうしねぇ。
感想書くの、難しいなぁ。どうしてもネタバレになっちゃうから、書くのに苦労します。小説では、タイムリープをして、例えばある部分で自分が2人になってしまっても、パラドックスは起きなかったという解説がしてあります。映画でも、並列した多次元宇宙ではなく、時間軸は一つになっているという説明を一瞬する場面がありますが、この物語内のタイムリープの解釈では、パラドックスは起きないという事になっています。
山﨑さんの宗一郎、良かったです。小説の主人公より少し若いような印象でしたが、合っていました。そして璃子は、小説ではもっと子供で、イメージが小学生くらいかしら。でも、高校生にしたことで、話がスムーズに進んだので良かったと思います。そして重要なのがロボットのピート。藤木さん、よく演じてくれました。ロボットと言いながら、ロボット三原則を逸脱しているキャラで面白いんです。キャストはピッタリだったと思います。
そして、猫のピート。パスタちゃんとベーコンちゃんという2匹が演じているそうですが、アメショーかなと思います。毛がビロードのようで、もふもふしていて、本当に可愛いです。最高の演技でした。
この「夏への扉」、猫のピートが、寒くなると夏へ続く扉を探して家の中をうろつくということから題名になっているのですが、題名を知った時、このセンスが、ベストセラー作家が考える事なんだなと感動しました。だって、猫は、ただ、温かい場所を探しているだけなんです。日本だと、コタツが置いてあったら、そこから動かないでしょ。扉を開けてくれなんて言わないんです。それを、温かい部屋を探しているだけの猫を見て、夏への扉を探しているという言葉を思いつくというのは、やっぱり凄い事だと思います。簡単な事なんだけど、発想が素晴らしい。こういう部分で、小説家になれるかが決まるんでしょうね。うーん、やっぱり、この小説好き。映画も好きです。
なんかスミマセン。私、原作ファンなので、原作の感想とごっちゃになっちゃった。だって、この映画、ネタバレすると勿体ないんですもん。知らないで観た方が面白いです。それに、必死で観て、時間軸の理解をして貰った方が楽しめると思うんです。
私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。原作ファンのひいき目もあるけど、あの小説をここまで理解しやすく、可愛く、そして日本的に描いてくださって、嬉しかったです。やっぱり古典小説はイイなぁ。猫のピートも良かった。本当にギュギューってしたくなりました。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
P.S : やっぱり文庫の表紙は”これ”でしょ!
「夏への扉 キミのいる未来へ」
(機動戦士ガンダムのコロニー独立の元となっていると思います。)
(機動戦士ガンダムの原案だと思います。)