「83歳のやさしいスパイ」のFan’s Voice独占試写会(@fansvoicejp)に行ってきました。
ドキュメンタリー映画なので内容は、
妻を亡くして新たな生きがいを探していた83歳の男性セルヒオは、80~90歳の男性が条件という探偵事務所の求人に応募する。その業務内容はある老人ホームの内定調査で、依頼人はホームに入居している母が虐待されているのではないかという疑念を抱いていた。
セルヒオはスパイとして老人ホームに入居し、ホームでの生活の様子を毎日ひそかに報告することなるが、誰からも好まれる心優しい彼は、調査を行うかたわら、いつしか悩み多き入居者たちの良き相談相手となっていく。
舞台となった老人ホームの許可を得て、スパイとは明かさずに3カ月間撮影された。
というお話です。
この映画なのですが、最初、ドキュメンタリーに見えないんです。探偵社が老人を募集し、探偵として老人介護ホームに潜入捜査をするというんですから。募集で集まってきた沢山の老人たち。そんな中から、一人、セルヒオさんという男性を探偵として雇います。
このセルヒオさん、探偵の助手をしていた経験があるらしいのですが、スマホは使えない、スパイのカメラなども使えない、隠しマイクも上手く使えない、なので、探偵が必死で教えるのですが、まぁ、マトモには使えない状態で老人介護ホームに潜入します。
このホームで、ある老人が虐待を受けているのではないかという疑いがあり、その調査をして欲しいと家族から依頼があったんです。コントのようにスパイ機器を使いながら、ホームに潜入し、老人たちと交流をしていきます。
老人ホーム内での出来事は、すべてドキュメンタリーなので、そこに入っている老人たちの本当の言葉を聞くことが出来ます。ターゲットの老人と知り合いになり、様子を探りますが、虐待されている場面を見る事は無く、他の老人たちに関しても、色々な問題は起きますが、それは虐待ではなく、老人たちを守るためなんです。嫌がる事もあるかもしれないけど、でも、勝手に家に帰るとか、外に出て行くとかしてしまったら危ないので、それを止めていたりするだけなんです。
そんな事よりも、やっぱり老人たちが寂しそうな表情をする時がとても悲しくなりました。本当は、家族と一緒に過せればよいのですが、そうもいかずに、この施設に来たんですよね。家族が会いに来てくれれば良いのですが、全く来ない家族もいるんです。
老人たちも、毎日、変わらない日常だと、段々と痴呆が進んでしまい、娘や息子たちを待っていたのに、母親が迎えに来てくれないとグズるようになって行くんです。子供たちが来てくれていると、それなりに刺激があるので、その時は記憶がしっかりしたりするんですよね。そういう事って、こうやってドキュメンタリーなどで見ない限り、解らないですよね。
セルヒオさんは、ホームの中で人気者になっていき、沢山の老人と交流を持ち、信頼されていきます。そして、老人たちの本当の気持ちを聞いて行くんです。すると、どの老人からも、寂しい気持ちがあふれ出てきて、泣きたいのを我慢しているというのが解るんですよ。もー、観ていて悲しくなっちゃって、涙が出ちゃいました。
虐待しているかもなんていう調査を依頼するくらいなら、家族たちが頻繁に会いに来てあげれば、様子がわかるし、虐待されているかだって解るはずなのに、人に頼んで調査書を読むだけなんて、間違っていますよね。そんなことを、とても良くとらえていました。介護は大変なので、ホームに入って貰う事は仕方ないと思うけど、せめて
それにしても、よく、ホームの中を自由に撮影させてくれたなぁと思いましたが、この監督が、長く交渉をして、信頼を得たからこそ、させてくれたようです。素晴らしいドキュメンタリーでした。これは、アカデミー賞にノミネートされますよ。
私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。ドキュメンタリーは、好き嫌いがあるとは思いますが、これは、沢山の人に観ていただきたいなと思う映画です。だって、誰もが年を取るし、おじいちゃん、おばあちゃんが居るなら、ホームでどんな暮らしをしているのか、知る必要もあるでしょ。チリのお話だけど、きっと日本も一緒だと思います。この映画を観て、寂しがっているかもしれないおじいちゃんおばあちゃんに逢いに行ってあげて欲しいです。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。7/9公開です。
「83歳のやさしいスパイ」