「スーパーノヴァ」を観ました。Fan’s Voice独占最速オンライン試写会で観せていただきました。(@fansvoicejp)
ストーリーは、
ピアニストのサムと作家のタスカーは互いを思い合う20年来のパートナーで、ともにユーモアや文化を愛し、家族や友人にも恵まれ、幸せな人生を歩んできた。ところが、タスカーが不治の病に侵されていることがわかり、2人で歩む人生は思いがけず早い終幕を迎えることとなる。最後の最後までともに生きることを願うサムと、愛しているからこそ終わりを望むタスカー。それぞれが相手を思う2人は、ある決断をするが・・・。
というお話です。
ピアニストのサムと作家のタスカーは、ユーモアと文化をこよなく愛する20年来のパートナー。お互いを尊重し、愛し合ってきた。家族や友人にも恵まれ、幸せな人生を歩んできた。
ところが、タスカーが病に侵されてしまう。彼が抱えた病は、かけがえのないふたりの思い出やこれまでの人生を忘れ去らせ、その内にサムさえも判らなくなってしまうかもしれない。タスカーは、自分の存在がサムを苦しませると思い、ここで二人の生活を終わりにしないかとサムに話しをする。
サムは、どんなになってもタスカーと添い遂げる覚悟でおり、別れるなんて考えられなかった。どんなにタスカーに別れようと言われても、受け入れられることが出来ない。しかし、タスカーの意志は固く、長い年月を添い遂げるはずだった二人の未来を消し去ろうとしていた。
二人の考えは平行線をたどるが、タスカーの病気はどんどん進行していってしまう。そして、大切な愛のために、それぞれが決めた覚悟とは。後は映画を観てくださいね。
この映画は、同性カップルで描かれていますが、普通の夫婦にも起こりえるお話で、とても考えさせられて、私の中では結論は出ませんでした。うーん、良いお話なんだけど、辛い映画でした。
タスカーは、宣伝では一切書かれていませんが、痴呆症の一種ではないかと思われました。何処にいるのかが判らなくなったり、文字が書けなくなったり、サムのことさえ判らなくなるかもしれないと脅えているんです。本人は怖いと思います。だって、明日、自分がどうなっているのか、全く分からないんですから。だからこそ、解るうちに、好きな人に迷惑をかけないように、別れようと話しをしたのだと思います。
きっと、私も自分が夫よりも先に痴呆症になって、明日はどうなるとなってきたら、離婚はしないとしても、一人で病院に入って、自分の事は忘れて良いと話しをしたいと思います。だって、好きな人に迷惑をかけたくないですもん。だから、このタスカーの気持ちは痛いほど解るんです。本当に、サムの事が好きだからこその決断だったのだと思いました。
だけど、サム側からすれば、愛している人なら、どんなになっても、最後まで面倒を見たいと思いますよね。私もそうだもん。大変だと解っていても、ほおりだすなんて出来ません。どんなになろうとも、自分の事を忘れてしまっても、面倒を見たいと思うと思います。もしかして、面倒を見ながら嫌になる事もあるかもしれないけど、それでも、別れるという選択肢は選ばないと思いました。これ、本当に辛いです。
どちらの立場も理解出来るし、こんな事、決着なんてつきませんよ。どちらにも決められませんもん。もー、観ていて、二人の葛藤が何とも言えずに突き刺さってきて、のめり込みました。
この映画では、二人がこの問題を抱えたまま、サムの故郷に向かって旅をします。そして、サムの家族に迎えられ、楽しそうに過ごして、そして、二人になって、その後の事を話し合うという内容です。映画としては、この事を二人がどう決着をつけるかというだけなので、面白い展開などは一切ありません。二人は、淡々と日常をこなし、お互いの未来を考えて意見をぶつけ合います。
お互いが、どれ程思い合っているかも描かれており、それぞれの思いが解ればわかるほど、答えが出なくなっていくんです。そりゃ、そうですよ。お互いに好きだからこそ、思い合っているからこその、結末を考えようとしているんですから。その気持ちが、痛いほど伝わってきて、本当に凄い映画でした。
こんなにも、お互いの気持ちを描き切ってくれてしまうと、もう、観ていても涙が出てくるんですよ。自分がそうなったらどうしようと言う不安も出てきてしまうし、相手がそうなったら自分は全部背負えるのかしらとか、もう、頭の中をグルグルしちゃって、映画の中に自分を置き換えてしまうんです。本当に辛かったけど、でも、誰もがこの二人のような出来事にぶつかる可能性はあるし、そうなった時に、どんな結末が最良なのかなんて、誰も決められませんよね。
もう、主演の二人が上手すぎるんです。サム役をコリン・ファース、タスカー役をスタンリー・トゥッチが演じていて、こんなにピッタリのキャストを誰が考えたんだって思うほど、合っていました。素晴らしかったです。ホント、高級な料理を食べに行ったような気持ちになりました。他の映画とレベルが違い過ぎるんです。なので、この映画は単独で観た方が良いと思います。邦画と連続で観たりしたら、お腹壊しそう。(笑)
そうそう、コリン・ファースがピアノを弾く場面があるのですが、それが何とも気持ちが籠っていて、感動でした。色々な考え方があると思いますが、そのピアノを弾く場面を観て、自分ならどうしようかと、本当に考えました。それくらい、その場面は神々しい感じがしたんです。
私は、この映画、超!超!お薦めしたいと思います。映画の中では、ほとんど何も起きません。二人の感情だけの映画です。なので、単館系の映画も好きという方にお薦めいたします。痛快コメディやアクションが好きな方には、ちょっと合わないかもしれません。でも、素晴らしい映画でした。心が洗われます。ぜひ、観に行ってみてください。
ぜひ、楽しんできてくださいね。
「スーパー・ノヴァ」