「ベル・エポックでもう一度」過去を振り返りたい気持ちは解るけど、そこにハマってはダメですよね。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「ベル・エポックでもう一度」を観てきました。

 

ストーリーは、

世の中の変化についていけない元人気イラストレーターのヴィクトルは、仕事を失い、妻からも見放されてしまう。息子はそんな父を元気づけようと、友人アントワーヌが始めた“タイムトラベルサービス”をプレゼントすることに。それは映画制作の技術を応用し、利用客の大切な過去を再現する体験型サービスだ。ヴィクトルは「1974年5月16日のリヨン」をリクエスト。指定されたセットを訪れると、そこには当時そのままのリヨンの街並みがあった。用意された70年代ファッションに着替えたヴィクトルは、今はなき思い出のカフェで、アントワーヌの恋人である女優マルゴが演じる“運命の女性”と出会う。

というお話です。

 

 

何もかもがデジタル化された社会についていけないヴィクトルは、かつては売れっ子イラストレーターだったが、今では仕事を解雇され、妻のマリアンヌにも見放されてしまった。冴えない毎日を送る父を元気づけようと考えた息子が、友人のアントワーヌが始めた〈タイムトラベルサービス〉をプレゼントする。映画製作を応用して客の戻りたい過去を広大なセットに再現する、体験型のエンターテイメントサービスだ。

ヴィクトルは「運命の女性と出会った1974年のリヨンに戻りたい」とリクエスト。すると、セットにはあの日のすべてが蘇っていた。用意された70年代ファッションに着替え、想い出のカフェで、アントワーヌの恋人で女優のマルゴが演じる〈運命の女性〉と出会うヴィクトル。幸せだった日々を再体験し、見違えるほどイキイキしたヴィクトルは、唯一にして全財産である別荘まで妻に内緒で売り払い、さらなる延長に注ぎ込む。



 

だが、ある時突然マルゴが降板し、別の女優が現れる。ヴィクトルの楽しい〈再体験〉は、マルゴとアントワーヌの関係にも“ある変化”を与えたのだ。果たして、〈タイムトラベルサービス〉に用意された驚きのエンディングとは?(公式HPより) 後は、映画を観てくださいね。

 

この映画、ちょっと面白い内容だなと思って観に行きました。仕事も無くなり、妻にも見放されたヴィクトルが、過去を体験出来るというサービスにハマっていくんです。自分は、既に老人になっているのに、自分が若い頃の事を再現するので、自分以外は、全て若者なんです。まぁ、過去を体験出来るサービスだから当たり前なんだけど、それで気持ちよくなって、ハマっていくって言うのが、ちょっと笑っちゃうんですよねぇ。

 

 

その選んだ過去って言うのが、自分の妻と始めて出会った頃の事であり、みんな、70年代の衣装で音楽も古い音楽、酒を飲んで、ドラッグで楽しんでという事なんです。若い女優が妻として演技をしてくれているんですけど、段々と、その女優と妻が重なって来てしまい、若い女優さんに恋をしてしまうんです。

 

マルゴという女優が演じているのですが、このマルゴはこの体験型エンタメの代表者・アントワーヌの彼女であり、ヴィクトルがマルゴにのめり込んで行くにつれ、アントワーヌは不安になり、マルゴを心配し始めるという感じで、過去のエンタメなんだけど、現実に影響を及ぼし始めるのが楽しかったかな。

 

 

ヴィクトルの妻って、とっても現実的な人で、ヴィクトルはどちらかというと頑固おやじで、新しいことに順応出来ないんです。こういう人っていますよね。仕方のない事だと思います。長年、やってきたことを、いきなり変えろと言われても、そう簡単には出来ません。かと言って、時間をかけてやるには年を取り過ぎているので、難しいんだろうなぁと思いました。なので、今、ワクチン接種やらで、ネット予約をしてくれと言っても、年配の方には難しいですよね。

 

そんなヴィクトルは、マルゴに恋をしてしまい、仕事を失くしたり、妻からの三行半なんて、どこ吹く風って感じになり、マルゴ一筋で、彼女を追って行きます。でも、それは全て作られたものであり、ヴィクトルがどんなに思っても、彼女は演技をしているだけなんです。それが、普通なら可哀想だなーって思うんだけど、このヴィクトルだと滑稽に見えて、笑えてしまうところが、この映画の良い所かなと思いました。

 

 

過去って、みーんな、「あの頃は良かったな。」と思う部分がありますよね。そこばかりを繰り返していれば、そりゃ、気持ち良くなるし、現実に向き合わなくて済むから、楽しいと思います。でも、それでは先に進めません。ずーっと同じところで立ち止まっていると同じです。時間は止まらないので、周りは変わらないけど、そこにいる自分だけ年を取っていき、気持ちの良い場所に居ながら、自分の老いを感じて行くのではないかなと思うんです。

 

それって、恐怖じゃないですか?周りは変わらないのに、自分だけ劣化していくって、死に向かって行くなんて、怖いでしょ。私はこんなサービス、頼みたくないなぁと思いました。自分の年齢を再確認するだけになりそうですもん。現実だけで十分です。

 

 

映画としては、ちょっと、誰が主人公なんだか、分からなくなる場面とかもあって、一貫していない部分もあったかなと思いました。まぁ、それもいいんですけど、イマイチ、マルゴの心理が理解出来ない部分もありました。

 

ヴィクトルと妻、マルゴとアントワーヌ、というカップルがくっついたり別れたりになるんだけど、もう少し心理描写をして欲しかったかなと思いました。だって、女優が仕事で恋愛を演じているのに、それを見て演出している恋人が怒るって、おかしいでしょ。それなら自分で演出なんてしちゃダメよねぇ。

 

 

私は、この映画、お薦めしたいと思います。万人にお薦めしたいとは言えないかもしれないけど、SFとかでは無いし、何となく雰囲気の良いフランス映画って感じで、良いと思います。70年代の雰囲気も味わえますしね。ぜひ、観に行ってみてください。

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「ベル・エポックでもう一度」