「明日の食卓」3タイプの母親のどれかが自分に当てはまってしまいそうで怖くなります。 | ゆきがめのシネマ。劇場に映画を観に行こっ!!

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観てきた映画、全部、語っちゃいます!ほとんど1日に1本は観ているかな。映画祭も大好きで色々な映画祭に参加してみてます。最近は、演劇も好きで、良く観に行っていますよ。お気軽にコメントしてください。
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「明日の食卓」を観てきました。

 

ストーリーは、

2人の息子を育てる43歳のフリーライター・石橋留美子、アルバイトを掛け持ちする30歳のシングルマザー・石橋加奈、年下の夫と優等生の息子に囲まれて暮らす36歳の専業主婦・石橋あすみ。年齢も住む場所も家庭環境も異なる彼女たちには、“石橋ユウ”という名前の小学5年生の息子がいるという共通点があった。それぞれ忙しくも幸せな毎日を送る彼女たちだったが、些細な出来事をきっかけにその生活が崩れ、苛立ちと怒りの矛先はいつしか子どもへと向けられていく。

というお話です。

 

 

神奈川に住む43歳のフリーライター・石橋留美子は、二人の息子を抱え、仕事に復帰したばかり。育ち盛りの兄弟は隙あらばケンカを始め、しつけに手を焼くあまり、長男の悠宇にはつい「お兄ちゃんでしょ!」と強く当たってしまう。その戦場のような毎日を、bログ「鬼ハハ&アホ男児Diary」に綴ることが、せめてもの息抜きになっていた。そんな折、フリーランスのカメラマンである夫の豊が、大きな収入源だった仕事を打ち切られる。自分が大黒柱として一家を養うべく、ライター稼業に励む留美子だったが、豊は家事にも育児にも積極的に協力する素振りがない。家計を支える責任、母親業との両立、夫への苛立ち。ストレスの矛先はどうしてもやんちゃな子供たちに向ってしまう。母の仕事を応援していたはずの悠宇もまた、留美子から向けられる怒りの表情を内心で恐れるようになっていた。あるとき自宅で唯一の聖域だった仕事部屋を荒らされた留美子は、思わず悠宇に掴みかかり・・・。



 

30歳のシングルマザー・石橋加奈は、コンビニやクリーニング工場の仕事を掛け持ちしながら、昼夜を問わずがむしゃらに働いてきた。家計は苦しく、お洒落や服装に気を遣う暇もなく、楽しみといえば一人息子である勇と過ごすわずかな時間くらい。離婚してから女手一つで育ててきた勇は、加奈の生きる糧であり、誇りだった。そんな母の苦労を目の当たりにしてきた勇は文句も言わず、親子で助け合いながらささやかながらもかけがえのない暮らしを守ってきた。勇にはやりたいことをさせてあげたい、そのためにもお金を稼がなくては。息子の将来を願うあまり、加奈は目の前の勇が胸の内に抱える寂しさや悩みに気付けない。そして借金の完済を間近にしたある日、加奈は仕事の一つであるクリーニング工場でリストラに遭う。さらに勇が一人で留守番中に訪ねてきた弟の正樹に通帳と印鑑を奪われてしまう。問い詰められた勇の口から「オカンはほんまはぼくのことも嫌いなんや!」という言葉を聞いた加奈は、思わず頭に血がのぼり・・・。



 

36歳の専業主婦・石橋あすみは、遠距離通勤の夫・太一を、毎朝車で駅まで送っていく。太一の地元の静岡に家を建て、息子の優は、恵まれた環境で健やかに成長していた。ところがある夜、優の同級生であるレオンの母から、突然電話がかかってくる。優がレオンに暴力をふるっていると言うのだ。優を問いただすと涙を流して否定し、一度は濡れ衣であったかに思えたが、後日衝撃の事実が判明する。優は別の同級生の光一に命じてレオンを殴らせていただけでなく、少しも悪びれることなく「実験だよ」と言い放つ。素直で優しくて天使みたいな「いい子」だったはずの優は、物事を自分の都合よく解釈して現実から目を背けるあすみや、そんな妻を支配しようとする太一に失望し、世の中を冷めた目で見ていた。うろたえるばかりのあすみに太一は「お前のしつけが悪い」と追い打ちをかける。書道教室で知り合った友人の奈々に助けを求めた帰り、同じ敷地内に住む姑の雪絵を踏みつける優を目撃したあすみは、咄嗟に優を引き剥がそうとして・・・。

 

 

そして、石橋ユウくんが殺されます。一体、何があったのか。何故、殺すことになってしまったのか。同じ名前を持つユウくんの、誰に事件が起きたのか。後は、映画を観てくださいね。(WOWOWで、6/11より配信、放送されます。)

 

この映画、身につまされるというか、どんな母親にも起きるのではないかと思うような出来事が描かれていて、誰が息子を殺してしまってもおかしくないような展開でした。本当にちょっとしたことの積み重ねで、段々と、息子がウザく感じてきちゃうんですよね。それに、息子が理解出来なくなって、怖くもなって行くんです。自分の愛する息子がウザくて怖いだなんて、信じられないかもしれないけど、思いが伝わらないと、そんな事にもなりえるんですよ。

 

 

公開されて直ぐに観に行ったのですが、内容が濃すぎて、どうしても感想を書く気になれず、遅くなってしまいました。こんなことなら、WOWOWで観ても良かったかな。この映画、観ていて、子供を育てたことがある人なら、必ずどれかの同じ道を通っていると思えるような作品でした。子供は親の映し鏡と言われるけど、子供には、親の不安や辛さなど、色々な事が伝わってしまうんですよね。どんなに隠していても、綺麗に見せていても、その心が見えてしまう。子供の立場からすれば、迷惑をかけたくないと思ったり、自分の方を向いて欲しいと思ったり、それぞれに思う所があるんです。だから、母親のイラつきや怒りや恐怖を買ってしまうのかなと思いました。だって、自分は隠しているのに、核心を突いてくるんですから。

 

あらすじが長くなってしまいましたが、これ公式HPからの引用なのですが、これを書かないと、どうして母親が息子に対して殺意を抱いてしまうのか伝えられないんです。殺意というか、衝動的に目の前のモノを無くしたいという、本能のようなものなのかしら。どんなに愛している息子でも、どうしようもなく目障りに見えてしまう。それは、自分の中にある汚い部分を、息子の中に見てしまうからだと思うんです。それって、辛いし、見たくないと思うから、廃除したくなるんだと思います。

 

 

そんな母親の気持ちを、あまりにも生々しく表現していて、観ていて辛くなりました。これ、映画でイッキに観ると、本当にシンドイです。出来れば、WOWOWのオンデマンドで、分けて観た方が良いかもしれません。だって、私、観た後に、頭の中がグルグルしちゃって、凄く考えちゃいましたもん。

 

一人一人の母親は、それぞれ頑張っているんです。一人目は、2人の男の子を育てながら仕事を始め、それと入れ替わるように夫は仕事を失くし、全てが自分だけの肩にかかってきてしまい、いっぱいになってしまいます。彼女を助けてくれる人は誰もおらず、唯一、味方になってくれるかと思っていた長男も面倒ばかり起こすんです。それは、忙しくて自分たちを見なくなった母親に向けたシグナルなのですが、母親は心の余裕が無いのでイラつくばかり。良くある話でしょ。

 

 

二人目の母親はシングルマザーで、仕事を掛け持ちしながら頑張っているのですが、金銭的余裕がありません。自分たちの生活だけでも精一杯なのに、弟までが面倒をかけてきて、その上、息子までもが学校で問題を起こして呼び出しをされてしまいます。息子の虐め問題も発覚し、虐められているのに文句を言われ、それでも自分の考えを曲げずに貫いていく姿は、凄いなぁと思いました。

 

三人目の母親は、一見裕福で息子も素晴らしく”良い子”なので、とても幸せそうに見えるんです。隣には夫の母親も住んでいて、絵に描いたような幸せな家族に見えるのですが、実は、夫は妻はこうあるべきだという考えのガッチガチの男尊女卑タイプで、いつも何を言われるのかビクビクしているんです。言葉のDVを受けているという感じかしら。そんな母親の姿を見ている息子は、実は裏表があり、良い子の顔をしながら同級生に虐めをしているんです。ちょっとサイコパスって感じですね。色々な事が発覚してきて、頭がパニックになって行ってしまうというのが、この母親です。

 

 

なので、どの母親が息子を衝動的に殺してしまってもおかしくないという程、追い詰められて、周りが見えなくなっていく姿が、あまりにも生々しくて、見ていられないなぁと思いました。これは、女性が観ると、結構、キツいと思います。だって、完璧に幸せな人なんていないでしょ。どこかに暗い部分を持っているし、悩みもあると思うんです。そんな辛い部分を目の前で晒されたら、ちょっとキツいですよね。

 

でも、この映画を観る事によって思い止まるというか、自分が追い詰められる前に気が付いて、改善して行くことが出来るのかもしれません。その為にも、観た方が良いのかもしれないですね。

 

 

私は、この映画、お薦めしたいと思います。感想を書きたくなくなってしまうほど、辛い映画でしたが、これを観る事によって、自分は気を付けようと言う気持ちになれて、一歩先に進めるかもしれないです。子供が愛しいのは当たり前だけど、それでも・・・という事もあり得るという事を解っていれば、良い関係が築けるかもしれません。ぜひ、観に行ってみてください。今は、WOWOWで観れるんじゃないかな?

ぜひ、楽しんできてくださいね。カメ

 

 

「明日の食卓」